斎藤茂吉『万葉秀歌』(6)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)
河上の五百箇磐群に草むさず常にもがもな常処女にて 吹黄刀自
「常にもがもな」という音は「早口ことば」のようなおもしろさがある。全体に「な行」「ま行」が揺れる。
茂吉は結句の「にて」を繰り返して味わうべきと書いている。倒置法が「にて」のあとの「省略」に、いっそう余韻を与えているということか。
春過ぎて夏来るらし白妙の衣ほしたり天の香具山 持統天皇
いくつかの「読み方」があるらしいが、この読み方がいちばん明るい感じがする。「来るらし」「ほしたり」と二回切れるが、「天の香具山」でさらに念押しの、三回目の「切れ」がある。それが不思議とリズミカル。
「来るらし」でいったん切れるからこそ「白」が目立つ。さらに「ほしたり」で切れからこそ「天の香具山」が引き立つ。
この「切れ」の効果は、ピーポー、ピーポー注意してください、こっち見てね、次に大事なことばが来ますよ、というようなものかもしれない。
「野守は見ずや/君が袖振る」「常にもがもな/常処女にて」の倒置法も、次に来ることばが大事ですよ、注意して聞いてください、という効果がある。万葉のひとは、リズムの変化でこれを実現する。とても耳がよかったのだろうと思う。きっと声もすばらしかったに違いない、と私は想像する。
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