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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

斎藤茂吉『万葉秀歌』(17)

2022-12-17 20:30:02 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(17)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)
          
矢釣山木立も見えず降り乱る雪に驟く朝たぬしも             柿本人麿

 雪を描写する「矢釣山木立も見えず降り乱る」が、とてもいい。山はかすかに見えるが木立は見えない。雪が降り乱れる。もっと激しくなると、山も見えない。雪だけが見える。そのなかで馬に乗って走る。私は馬に乗ったことがないが、楽しいだろうなあ、と思う。「うくつくあしたたぬしも」は、肉体が熱くなるような響きを持った音である。馬の体と、乗っている人間の体が一体になって熱くなる感じ。

もののふの八十うぢ河の網代木にいさよふ波のゆくへ知らずも       柿本人麿

 音がとてもまっすぐ。現代短歌にはない響きだなあ、と思う。「矢釣山木立も見えず降り乱る」と違って、何も描写していないような前半部分がおもしろい。「八十うぢ河」は固有名詞なのかもしれないが、「矢釣山」のような存在感(?)が感じられない。焦点が「網代木」へとすっと移っていく。それもおもしろいと思う。「の」の繰り返しが効果的なのかな?

 

 

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