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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

指と、ことば

2015-01-11 00:44:11 | 
指と、ことば

人指し指、中指、薬指……
女の三本の指は額を横にたどっていたが、
頬骨のふくらんだあたりで薬指は宙に浮き、
残った二本がゆっくり下の方へすべる。
唇のところで薬指がおりてきて、触れる。
人指し指と中指は口の横にとどまり、
支点のように薬指を動かしている。
薬指は上唇の上を往復したあと
ぬれた下唇をたどり、
「私の指をことばにして」と突然要求する。
その目が何を思い出したのか遠いところから輝く。

階段に猫。うずくまっている。濡れたままの靴下。エレベーターの開く音
--次々に思い出すが、いつのことか覚えていない。
外は雨。枯れた枝を雫が動くときに光るに違いない、
女の指のように……と
ことばは言いたことを絵にして目を閉じた。


*

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