大橋政人『朝の言葉』(思潮社、2018年07月25日発行)
大橋政人『朝の言葉』は、表題作になっている「朝の言葉」がいちばん印象に残る。
「同じ(こと)」は「いつ(聞いて)も」(いつも)と言いなおされている。「いつも」とは「普遍(永遠)」でもある、と要約してはいけないのかもしれないが。さらに、この「いつも」は「えらい」と言いなおされているのかもしれない。「普遍/永遠」に達したものは「えらい」。
この「同じ」「いつも」の反対のことばは「いろんな」(同じではない、同じとは違う)と「新しい」(いつもと違う)だね。しかし、反対のことばなのに、知らない間に「同じ」「いつも」と重なってしまうところがある。
どうしてだろうか。
繰り返すからだ。
「同じことを言っている」(同じことをしている)、「同じことを聞いている」には、繰り返しがある。繰り返すから「同じ」だとわかる。でも「同じ」を繰り返しながら「同じ」ではない。「新しい」。
何が?
ここから先を説明するのはむずかしい。
「同じ」に見えるが、「同じ」ではないのだ。毎回、「まあ、花はえらいね」ということばは生み出し直されている。違う日に言っているのだから、そこには「違い」があるはずだ。でも、「違い」よりも「同じ」ことの方を強く感じる。そして、「同じ」ならば退屈するかといえばそうではなくて、「同じ」であると「新しく」判断するのである。「新しい」は聞く側からも生み出されている。「同じ」ではなく「新しい」が毎日生み出される。
「永遠/普遍」は、どこか遠いところにあるのではなく、日々、「同じ」を「新しく」生み出し続けるとき、その瞬間の中にあらわれる。
*
評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』を発行しました。190ページ。
谷川俊太郎の『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455
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大橋政人『朝の言葉』は、表題作になっている「朝の言葉」がいちばん印象に残る。
まあ、花はえらいね
いろんな色に咲き分けて
隣に住んでる
田野倉トメさん、八十九歳
毎朝、勝手にわが家の庭に入ってきて
ひとまわりして出て行く
花はえらいもんだよ
だれが色を塗ったという訳でもないのに
毎朝、同じことを言っているのに
本人はそのことに気づかない
毎朝、同じことを聞いているのに
聞いている方も聞き飽きない
いつ聞いても
新しい
朝の言葉だ
「同じ(こと)」は「いつ(聞いて)も」(いつも)と言いなおされている。「いつも」とは「普遍(永遠)」でもある、と要約してはいけないのかもしれないが。さらに、この「いつも」は「えらい」と言いなおされているのかもしれない。「普遍/永遠」に達したものは「えらい」。
この「同じ」「いつも」の反対のことばは「いろんな」(同じではない、同じとは違う)と「新しい」(いつもと違う)だね。しかし、反対のことばなのに、知らない間に「同じ」「いつも」と重なってしまうところがある。
どうしてだろうか。
繰り返すからだ。
「同じことを言っている」(同じことをしている)、「同じことを聞いている」には、繰り返しがある。繰り返すから「同じ」だとわかる。でも「同じ」を繰り返しながら「同じ」ではない。「新しい」。
何が?
ここから先を説明するのはむずかしい。
「同じ」に見えるが、「同じ」ではないのだ。毎回、「まあ、花はえらいね」ということばは生み出し直されている。違う日に言っているのだから、そこには「違い」があるはずだ。でも、「違い」よりも「同じ」ことの方を強く感じる。そして、「同じ」ならば退屈するかといえばそうではなくて、「同じ」であると「新しく」判断するのである。「新しい」は聞く側からも生み出されている。「同じ」ではなく「新しい」が毎日生み出される。
「永遠/普遍」は、どこか遠いところにあるのではなく、日々、「同じ」を「新しく」生み出し続けるとき、その瞬間の中にあらわれる。
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評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』を発行しました。190ページ。
谷川俊太郎の『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
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「詩はどこにあるか」5、6月の詩の批評を一冊にまとめました。
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注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
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(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料250円)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
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(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料450円)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
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(3)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料250円)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
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