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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

アルメ時代(2)

2019-04-02 20:19:44 | アルメ時代
室町ふたき旅館



磨き込まれ水のように光る玄関の板の間
おばあさんが夕刊を読んでいる
奥の柱や階段が板に映って黒く透き通る
広げられた新聞は小さな舟
おばあさんは夕暮れの光を利用して
短い旅に出る
けれどすぐ引き返してしまう
「人間はどうして同じ道ばかり
たどるんだろう」
それからおじいさんに小さな嘘をつくために
きれいに四つに畳んで
まがった腰で奥へ消える
「読み終わったら世の中のこと
おしえてくださいね 私には
わからないことばかりだから」



(アルメ229、1984年11月10日)


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