8月9日の読売新聞(西部版・14版)。コロナ感染禍での東京オリンピックを「大成功」のように書いている。どの記事にも批判したいことがやまほどあるが、きりがないので、3面「スキャナー」の分析記事だけとりあげる。いかにでたらめな分析かを指摘しておく。
見出しは、「コロナ対策機能/関係者62万件検査 陽性0・02%」。記事には、こう書いてある。
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7月1日から8月6日まで、組織委は大会関係者に約62万4000件の検査を行い、陽性者は138人、陽性率は0・02%だった。海外から約4万3000人の関係者が来日し、空港での検査の陽性者は37人、陽性率は0・09%。入院した人は3人で、重症者はいなかった。
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ここに書かれている「数字」はだれが発表したものか。あるいは調査したものか。たぶん「大会組織委」だろう。「数字」そのものに「嘘」はないだろう。しかし、それは「正しい数字」か。
検査対象数、陽性者数、陽性率を書いているが「検査対象数」の書き方がおかしい。この記事の中だけでも、体会関係者は約62万4000件「件」、海外関係者は約4万3000「人」。「件」と「人」をつかいわけている。なぜ「人」に統一しないのか。理由は簡単である。大会関係者は「毎日検査」している。約62万4000件というのは「延べ人数」なのだ。空港での検査は「延べ人数」と「実数」が同じかもしれないが、大会関係者の場合、「延べ人数」と「実数」は違う。実数は延べ人数よりも、はるかに少ない。大会期間は17日。17日間とおして全員が日本に滞在したとは言えないが、全員が滞在したと仮定すれば、実数は62万4000÷17=3万6705人。これで陽性率を検査すると、138÷3万6705=0・0037、つまり約0・4%になる。選手や関係者は出入りがあるから、実際に大会期間中に日本に滞在したのは5万から10万人のあいだだろう。5万の場合、138÷5万=0・27%、10万の場合、138÷10万=0・14%。いずれにしろ、読売新聞の書いている「0・02%」にはならない。「0・02%」は完全なデタラメである。
さらにもっと大きな問題もある。
「スキャナー」に書いてある数字と、1面本記に書いてある数字が違うのだ。1面には、こう書いてある。
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組織委は8日、新たに大会関係者26人が検査で陽性判定を受けたと発表。7月1日の公表開始からの陽性者は計430人となった。
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陽性率「0・02%」という数字を算出した「陽性者は138人」は「陽性者は計430人」とあまりにもかけ離れている。約三分の一である。つまり、本記にある「430人」をもとに計算すれば、陽性率は3倍に跳ね上がるのである。
読売新聞は(あるいは、数字をリークした体会関係者は)、意図的に東京五輪関係者の「陽性率」を小さくみせようと数字の操作をしている。読売新聞が独自に計算したのなら、これは悪質としか言えない。リークされた数字をそのままつかっているのだとしたら、検証不足(単なる算数のチェックにすぎないが)ということになる。
こんな数字の操作が行われている大会が「安心安全」であったはずがない。
中止すべきだったのだ。
国内の感染状況は、どうなっているか。
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国内の新型コロナウイルスの感染者は8日、全都道府県と空港検疫で新たに1万4472人確認された。1万人以上は6日連続で、感染拡大が続いている。死者は9人、重症者は前日より70人増えて1138人となった。
東京都では、4066人の感染を確認した。1日当たりの感染者が4000人を超えるのは5日連続。1週間前から1008人増え、日曜日として過去最多となった。直近1週間の平均新規感染者は前週(3105人)から30%増の4037人で、初めて4000人台となった。
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日曜日は感染者が減るのが一般的なのに、前週比で増えている。
702人の感染者が出た福岡県に関する記事には、興味深いことが書いてあった。
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中央署では12人の感染が確認され、福岡市はクラスター(集団感染)と認定した。県警は7日までに福岡地区の留置施設に留置された12人の感染を発表していたが、施設名は明らかにしていなかった。
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さて、12人の「感染源」はどこなのか。中央署から東京オリンピックの「警備」のために出張していた職員はいないのか。私は疑り深い人間だから、どうしても、そういうことを考える。警官や、留置されている人が「福岡県外」に出ていないのなら、どこから感染したのかなあ、と思うのである。
新聞に書かれている「情報」はあまりにも限られている。その限られた「情報」のなかには、私のようなしろうとが読んでも、どうしてと思わずにいられないようなことが書かれている。
情報が隠蔽され、奇妙な数字で「安心安全」を大宣伝する東京オリンピックは中止すべきだったのだ。濃厚接触者の情報がジャーナリズムから消えたことが、それを端的に語っている。「数字」はいかにも客観的にみえるが、そこに落とし穴(罠)がある。「数字」はときには非常に恣意的である。
さらに、東京五輪が終わったいまから、東京五輪の影響が深刻になってくる。札幌のマラソン大会は沿道を観客が埋めつくしていたようだ。そこからどれだけ感染が拡大するか。結果は、きょう、あす、すぐわかるものではない。無症状の感染者がウィルスを媒介し、感染を広げ、症状が出てくるのは(陽性者が検査を受けるのは)一週間後くらいだろう。その一週間のあいだにも無症状者はウィルスを拡散しつづける。
ほんとうの「検証」は、そのあとにはじまる。
だから、私はコロナ感染が終息するまで「東京オリンピックは中止すべきだ/中止すべきだった」と言い続ける。