外教生活 in 中国山東省濰坊-淄博-泰安-済南&北京=>故郷へ

北京五輪の翌年(2009年)からの外教(外国籍教師)生活と地元での留学生との触れ合いを綴っています。

恐ろしい不公平-中国の受験制度

2010年12月02日 | 日記
12月2日(木) 晴れ

前回の中国語の授業中のこと、テキストの本文が日本人の目から見た中国の
文化・特に時間に関する概念であったことから、中国と日本・韓国の違いの
話し合いが始まりました。そこで先生が教えてくださった中国の大学受験の話。

中国の大学受験は1度しかなく、その成績によって入れる大学が決まることは
このブログでも何度か紹介しておりますが、その中でも省によってかなりの
不公平が生じているようです。
中国でNO.1と言えば言わずと知れた「北京大学」ですが、この大学受験の
最高点数が約740点なのに対し、山東省から北京大学へ入学できる成績は
680点以上、北京市からは550点なのだと。国立大学なのに地域の差。

そしてこれはたけしの話なのですが、この山東省は孔子の故郷ということで
特に教育熱心な省であるそうで、全中国でも特に試験が難しいのだそうです。
この大学受験の問題は省によって違うのだそうで、難易度が違うのに成績は
そのまま反映されるのだとか。つまりこの維坊学院は550点が入学基準
なのですが、同じ能力を持っていれば北京市ではほぼ北京大学に入学
できるということなのですね。そしてこの山東省で680点をクリアして
北京大学に入学する際は学費や寮費が免除されて更に小遣いがついてくる
特待生のような待遇を受けられるのだとか。エリート中のエリートですね。

高等教育まで教育水準が高い為、高校途中まで子供を山東省で育てて
途中から子供だけを北京に移住させる親もたくさんいるのだとか。
ただ、その場合は5万元(約70万円)の手数料だか裏金かが必要だそうです。

たけしは更に怖い話をしてくれました。
今年から編入制度が厳しくなるのだとか。
今3年生の数人が必死になって勉強している4年制大学(本科)への
編入試験。一般的に合格率が1割もない厳しき門なのですが、そんな中でも
維坊学院は市内の専科大学(3年制)への門戸を広げていたそうで
この学校からも合格率は30%以上あったのだそうです。
ただ、この制度も条件があり、編入できる大学が予め決められているそうで
一部大学(一流大学)への門戸は無く、昨年までは二部(二流)までの
編入が可能だったそうです。維坊学院はこの二部にあたるのです。
しかし、つい最近この二部さえも認められず三部にしか門戸が開かれない
という発表が山東省でなされたのだそうです。
ちなみに中国の本科は三部が最底辺になります。

最近、Kさんから本科への編入を諦めている生徒が増えているという話を
聞いていたのですが、難関であること以上に試験を突破したからと言って
入れる大学が三流では入る意味がない、ということのようです。

これは今の2年生にも大きな問題になります。
専科大学にしか入れなかったものの本科への編入を目指していたものが
その夢さえも閉ざされてしまうのです。
教育熱心である山東省が何故そんなことを・・・とたけしに尋ねましたら
これがこの省の不公平なところです、という応えでした。
青島のある専科大学では今年の新入生が20人未満だったのだとか。
学部学科ではなく大学の新入生です。
ひょっとして、これは日本の少子化と同じ現象?

日本でも私が受験戦争の真っ只中にいた頃からバブル景気のあたりまで
雨後の筍のごとく大学が乱立しましたが、今や経営難に喘ぐ大学が
増えており、特に地方大学では留学生の獲得に躍起になっています。
約20年ほど前に始まった中国の一人っ子政策、その効果が出てきても
不思議ではありません。お金さえあれば大学に入れる時代から、一部の
大学が淘汰される時代に入ってきたか。
そうなると真っ先に不要になるのは学士としては認められない専科。
その専科から希望する本科へ編入できないのであれば、専科へ入る
意義は「単なる職業学校の範囲」を超えなくなるのですね。
専科そのものを不要にする動きになってきてもおかしくはない。
でも、まだ時期尚早だと思えるのですけどね。専科の学生はまだまだ多い。

どこまでも格差が広がる中国の試験制度。
この国に自由という言葉は当分定着しそうにないですね。
コメント
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