各代表はまた後でまとめるとして、
シャビ・アロンソ、France Football誌へのインタビュー。を、ASから。
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Q:あなたは、プレミアリーグでプレイした最初のスペイン人選手たちのうちの1人です。パイオニアであることをどう考えていますか?
A:僕よりも前に既に何人かプレイしていた。アルベルト・フェレール、ガイスカ・メンディエタ、イバン・カンポといったように。でも何人ものスペイン人選手が一緒になっていた最初のクラブが、ラファエル・ベニテスのリバプールだった。全力で僕を迎え、僕に賭けてくれた。リバプールは本質的な存在だ。多くのことを学んだから。
Q:あなたは純粋なスペイン産の選手ですが、イングランドに行く前はどんなタイプの選手でしたか?
A:僕は常に、ボールを取りに行く中盤(centrocampista recuperador)だった。サン・セバスチャンの砂浜でプレイしていた時でさえね。いつでも最初にチーム全体のことを考え、ピッチで起こることへの責任を感じるようにしていた。それから、同じポジションだった父のように(ペリコ・アロンソ、80年代前半にレアル・ソシエダで2度のチャンピオンに)、これが僕には合っているんだ。戦術的に、僕はとても優れたトレーニングを受けてきた。でもそれは、スペインの中盤が受けるトレーニングとしてはある種共通したものでもある。スペインへ行けば、必要とされるあらゆる基礎を身に着けた、素晴らしい選手になれる。スペインはどのラインでも非常に高いレベルの選手たちを生み出している。最前線からGKまでね。
Q:リバプールでは何を学びましたか?
A:リバプールへは、スポンジのような状態で行った。可能な限りすべてを学びたいという強い意志を持って。見て、聞いて、それから最初はほとんど話はしなかったけど。当然だ、まだ22歳だったんだから…。ハマンやキャラガー、スティーブン・ジェラードといった多くの選手たちを目指していた。個人的な面でもプロフェッショナルな面でも、大きく成長していった。この点では、ラファ・ベニテスに多くの部分を負っていたことに言及しなければ。英国のフットボールは、そのもっとも純粋な本質の点で、フットボールだ。僕は、アンフィールドとは何か、その喧噪にも特徴があることを学んだ。イングランドでは、フットボールに早くなじむことができた。実際のところ、プレミアリーグはリーガに比べて、テクニック面でも戦術面でも劣る。でもそのペースはより強いものだ。あそこでは、競争的であることを学んだ。相手を破壊する接触ではなく。
Q:ではそういったことすべてが、今のスペインでのことに役立っている?
A:もちろんだよ。フットボールは接触のあるスポーツで、必要があれば僕は脚を出すことを躊躇しない。でもそうやるとしても、常に高潔さを伴うこと。けっして劇場のようにはしない、それもまた、僕が自分のやることの中に取り入れたことだ。それが本質。シミュレーションをする選手は、イングランドではほとんどありえない。個人的な意見では、そういったズルは組織的な罰則の対象とした方がいいと思う。イングランドでは、純粋なフットボールだ。大衆主義ではない。
Q:あなたがリバプールに持ち込んだものとは?
A:自分自身について話をするのは好きじゃないんだ(笑)。そういった競争的な面を、僕自身の生まれ持った試合を読むやり方と混ぜ合わせることができた、と言えるかな。自分が守備と攻撃をつなぐ存在だと理解しているんだ。
Q:あなたは現在、あなたの試合を読む知識の頂点にいます。これがあなたの成熟にとって意味するものとは?
A:試合のあらゆる瞬間に、何をすべきかを理解するということ。まだ成熟していない頃には、多くのエネルギーがある、しかしそこでやっていることはチームが求めていることではなかったりする。成熟は、どのように自身の力を推し測るか、そしてすばやく判断を下すかを知ること。僕のような中盤の選手は、たくさんの小さな正しい決断を行わなければいけない。若い時には、1つの選択で輝くことができるかもしれないが、他に3回は間違いを犯す。ストライカーが輝くにはゴールすること。でも僕のポジションは、信頼されることだ。絶対にミスをしないこと。ある選手は「かく乱」しなければいけないけど、僕の仕事は「バランスを取る」こと。このコンビネーションが良いチームを作るんだ。
Q:スペインでは、中盤のボール回収や8(8番、攻撃よりのピボーテ?)が嫌われた時があったそうですが……。
A:そうだね、でも大きく変化した。ファンは、スペイン代表で、守備的な中盤がチーム全体のクオリティを上げることを目にした。今は、僕たちにはより大きな価値があると見られている。イングランドやドイツ、その他の海外では、なぜ僕たちのような特性や才能をもった中盤が得られないのか不思議に思われている。たとえばアルゼンチン。アルゼンチン代表には4人の素晴らしいストライカーがいる、でもこういうタイプの中盤はいない…現代のディフェンシブ・ミッドフィルダーは、第一に、ボールに対してどうプレイするかを知っていなければいけない。フィジカル面でも強く、でも同時に試合を創り出せるように。
Q:ボールポゼッションは重要なことだと思いますか?
A:(即答して)本当のポゼッションなら重要。ボールを持つためにボールを持っているだけなら、意味がない。
Q:スペイン代表の成功は、多くのスペイン人選手のプレミアリーグへの移籍を促したと言って良いでしょうか?
A:そうだね、そのとおり。イングランドのクラブは大きな財力を持っている。一方でスペインは、経済危機を経験しているところだ。優れた選手たちがプレミアリーグに行くのは論理的なことだ。さらに、経験的に分かることだけれど、スペイン人選手は容易に馴染めるし、ビッグクラブの中で重要な存在になっている。
Q:でもあなたは違う方法を取った……。
A:そう。2009年、考えた上で良い選択をした。リバプールで5シーズンを過ごして、変化が必要だった。それに、最も偉大で最も要求が高いクラブ、レアル・マドリーより優れたクラブがあるだろうか。やってきたチャンスに賭ける時がきたんだ。マドリーで日々を過ごすことは、他のどのチームにいるよりも、より強烈でより大変なものだ。このクラブの命題は勝つこと、勝つこと、さらに勝つこと、そして同時に優れたプレイをすること。リバプールは5度の欧州杯を手にしている。でも同じじゃない。毎日はよりリラックスして、重荷も少ない。マドリーでは、プレッシャーと要求が常にある。そのチャレンジに自分が対処できるかを知りたかったんだ。
Q:現在、スペインのフットボールは流行であり、スペイン代表はすべてを手にしました。これにあなたはどう貢献していますか?
A:ラ・ロハについて話をするときには、そのドアをノックするところから(そのはじめから?)見なければいけない。昨年のU-21欧州選手権を獲ったことを考えてみよう(決勝は4-2でイタリアU-21に勝利)。スペインの育成システムは、競争力のある選手たちを「作る」ことができる。でも彼らの能力というのは、良いフットボールをすることと同時に、どの場面で何をすべきかを知っているということだ。僕たちはフットボールのスクールで、インテリジェンスをもってトレーニングをする。良い結果は、その帰結として生じるものだ。スペイン人選手は競争する力をつけ、その技術的なクオリティと試合でのインテリジェンスも保っている。
Q:フットボールの文化は、スペインで進化しているのでしょうか?
A:そう、僕たちの持つあらゆる異なるクオリティを組み合わせるという意味でね。技術的に恵まれたものと勝利の精神が今はともに存在している。良いプレイをしても競争力ということをわからないでいる時もあったのは真実だ。フットボールでは、走ることと苦しむことを知らなければいけない。決勝で勝てなくても素晴らしい試合なんてあるだろうか? スペインのフットボールもまた、チームを作ることを学んだ。僕は、いち選手として、良い状態だ。でも他の選手たちに対しても良い存在になる。若い選手たちはこの哲学の大きな変化を目にし、そこに浸っている。
Q:スペイン代表は、グアルディオラのバルサとモウリーニョのマドリー、異なるスタイルの融合をどう成し遂げたのでしょうか?
A:それを可能にしたのは、選手たちに本来備わっていたクオリティだ。それから率直に言えば、僕たち全員がチームの団結のために自分たちが役立つことを優先していた。誰も、個人で輝きたいと思ったりしなかった。それから、僕たちはパズルのピースを集めることができた。基盤としてできあがったものが、新しい選手たちが問題なくなじむ手助けにもなった。
Q:クラシコでのマドリーとバルサの選手たちの間の強烈な緊張を忘れる人は誰もいないでしょう。どうやって代表で再び一体になったのでしょうか?
A:自然と。代表では、僕たちはチームメイトだ。でも自分たちのクラブのカラーを守る。どちらかを切り捨てることはないよ。
Q:クラシコでは何かが変わるのでしょうか?
A:間違いなくノー! 普段より緊張感は強まるけれど、でも僕たちはこうしたあらゆる頂点のものを乗り越えてきた。僕が話そうとしないのは、マドリーvsバルサの試合で蹴りを受けたからって? ちょっと、真面目になろうよ! 僕にしてみれば、クラシコで起こったことは、その場限りのことだ。ラ・ロハでバルサの選手たちに会えば、違うストーリーだ。スペインメディアの話とは正反対で、バルサの選手たちとは素晴らしい関係を築いている。中盤でプレイするブスケツを見てみようよ。僕は彼のクオリティをよく理解しているし、彼も僕のことをわかっている。クラブでは、僕たちはだいたい同じようなポジションだ。でも代表では、僕たちそれぞれがより自由にやる。一方がもう一方をカバーする。「ブシ」はとても賢いし、戦術的にも優れ、とても競争力がある。僕たちは本当に良く理解しあっているよ。
Q:スペインのクラブが、特に外国籍選手たちのおかげで、とても競争力の高かった時期がありました。今はそうではないのでしょうか?
A:スペインフットボールのメンタリティは変化した。競争力を持つ方に変わった。それはまた、勝利を手にしたからでもあるね。現在、僕たちはきわめて重大な時をプレイしている。結果を確実にするために、ポゼッションを保つというインテリジェンスを持っている。冷静な頭脳でいるということだ。
Q:ラ・ロハがW杯を制すると思いますか?
A:3つ続けてタイトルを手にして(2008年、2012年のEURO、2010年のW杯)、また他の競争力のあるチームと対戦してみて、とても難しいものだろうと思う。でも心から言えることがある。何があっても、この世代は威厳ある終わり方に値するものだということ。あらゆる名誉と共にね。
Q:それが意味するところは?
A:おそらく、このW杯の後に何人かの選手が代表を去ることになるだろう。選手たちには長いキャリアがある。繰り返すけれど、すべてがうまく終わることが必要だと言っているんじゃない。ただ清廉に、表のドアから立ち去るということ。2002年W杯のフランスと同じストーリーは経験したくないんだ。本当に。あれは本当に悲しいことだった…。
(覚えている方も多いのではないでしょうか。1998年のW杯、2000年のEUROを制したフランス代表でしたが、2002年では大会直前の練習試合でジダンが負傷、チームの調子も上がらないまま、無得点・グループ最下位で姿を消しました)
Q:なぜさらに2年も、レアル・マドリーとの契約を更新したのですか(2016年まで)?
A:フィジカル面で良い状態でいられると確信したかった。昨シーズンの鼠蹊部の負傷にはすごく悩まされた。2013年は1月から5月まで、ピッチの上にいても同じではなく、自分のレベルが取り戻せなかった。6月に手術を受けて、新しく戦う力、自分の有るべきレベルが取り戻さなければ、延長はしたいと思わなかった。簡単な道は取らなかった。金や欲求の問題じゃない。僕は自分自身に尋ねた。「さらに2年間ここで過ごす意思はあるか?」って。その答えがイエスだった。そうなったら、延長するのは簡単な話だ。
Q:あなたはアメリカへ行きたいのだと言われていましたが…
A:将来的には、その仮説も除外しないよ。この先の2年間で、自分がどう感じるか見ていくことになるだろう。何も除外しない。ヨーロッパでも、レアル・ソシエダでも、レアル・マドリーとのこの新しい契約が終わった時にさらに延長することもね。自分が良いフィジカルの感触を持てているかを見ていくよ。確実に言えるのは、ピッチの上を這いまわるようなことはしないということ。これは名誉と威厳の問題だ。
Q:あなたがトップフォームに戻るに従って、アンチェロッティのマドリーはバランスを見出しました。
A:僕たちはピッチの上で、よく組織立っている。FWの皆まで、僕たちを助けてくれる。おかげで、中盤から試合をコントロールするのがとても楽になっている。僕たちの仕事は、リスクを減らすと言う点で、ディフェンス陣の役にも立っている。もちろん、GKも必要な仕事が減って、失点が減っている。こうした一連のポジティブな影響は、一方でバランスにつながっている。CLの準々決勝、国王杯ファイナル、リーガの終盤戦、重大な試合が続く4月から、こうしたことが本質的な存在になるだろう。7人しか守備をしていないような状況では、不十分だ。僕たちは一緒になって、守り、攻撃しなければいけない。
Q:もしクリスチアーノ・ロナウドに守備をするように言わなければいけないとしたら、そうしますか?
A:当然。前線ともバックラインの選手たちとも、たくさん話をしている。それがミッドフィルダーとしての僕の仕事だ。僕のポジションからは、試合が良く見える。だから時々言うんだ。「クリス、俺たちを助けてくれよ」って。それは当然するべきこと、シンプルだ。同じようにディフェンスも僕にこう言ったりする。「シャビ、お前がこれをやらないと!」って。若い選手たちには、そういうことを言うのは難しいかもしれない。でもそういう経験をするんだ。
Q:ベンゼマも守備をしますか?
A:カリムはあらゆる面で、大きな貢献をしてくれる。ボールのコントロールがすごくうまいし、仲間たちとの関わり方もわかっている、そして多くのゴールを決めてくれる。「美味しい」選手(un jugador delicioso)で、あらゆるプレイがとても素晴らしい。それに動きがとても賢いね。
Q:ではバランは?
A:バランのことは大好きだよ! ラファのことは、なんて言えばいいんだ? 何かをすること、競り合いで勝つこととか、予測をすることとか、驚くほど簡単にやるんだ。まるで何の苦労もないように。プレイすると、すべてが自然でシンプル。戦術的にも技術的にも、そしてフィジカルでもとても強い。いつもボールを簡単にはじき出す、とてもクリーンなやり方でね。彼のプレイを見ているのは楽しいよ。
Q:アンチェロッティがレアル・マドリーに持ち込んだものは何でしょうか?
A:ロッカールームをマネージメントし、選手たちと気軽に話をするという個性を備えている。でもそういったすべてが、偉大な支配力に結びついている。必要とされることがあれば、彼はやる。アンチェロッティは、静かな男という皆のイメージ以上のものがある。100%を出さない選手がいたら、彼は罰するよ。保証する。でも、そうであっても、雰囲気は素晴らしいものだ。選手たちはそれぞれの責任に気づいている。でも同時に、監督の信頼も感じている。
Q:スペインのフットボールはこの先も良い年月があるでしょうか?
A:注意深く行こう。僕たちは、自分たちがあるべき場所にいる。でもフットボールでは、すべてが1週間で変化し得るんだ。
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FF誌だからというのもあるかもしれませんが、ベンゼマとバランへの率直な「お褒めの言葉」がいい感じです。
シャビ・アロンソ、France Football誌へのインタビュー。を、ASから。
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Q:あなたは、プレミアリーグでプレイした最初のスペイン人選手たちのうちの1人です。パイオニアであることをどう考えていますか?
A:僕よりも前に既に何人かプレイしていた。アルベルト・フェレール、ガイスカ・メンディエタ、イバン・カンポといったように。でも何人ものスペイン人選手が一緒になっていた最初のクラブが、ラファエル・ベニテスのリバプールだった。全力で僕を迎え、僕に賭けてくれた。リバプールは本質的な存在だ。多くのことを学んだから。
Q:あなたは純粋なスペイン産の選手ですが、イングランドに行く前はどんなタイプの選手でしたか?
A:僕は常に、ボールを取りに行く中盤(centrocampista recuperador)だった。サン・セバスチャンの砂浜でプレイしていた時でさえね。いつでも最初にチーム全体のことを考え、ピッチで起こることへの責任を感じるようにしていた。それから、同じポジションだった父のように(ペリコ・アロンソ、80年代前半にレアル・ソシエダで2度のチャンピオンに)、これが僕には合っているんだ。戦術的に、僕はとても優れたトレーニングを受けてきた。でもそれは、スペインの中盤が受けるトレーニングとしてはある種共通したものでもある。スペインへ行けば、必要とされるあらゆる基礎を身に着けた、素晴らしい選手になれる。スペインはどのラインでも非常に高いレベルの選手たちを生み出している。最前線からGKまでね。
Q:リバプールでは何を学びましたか?
A:リバプールへは、スポンジのような状態で行った。可能な限りすべてを学びたいという強い意志を持って。見て、聞いて、それから最初はほとんど話はしなかったけど。当然だ、まだ22歳だったんだから…。ハマンやキャラガー、スティーブン・ジェラードといった多くの選手たちを目指していた。個人的な面でもプロフェッショナルな面でも、大きく成長していった。この点では、ラファ・ベニテスに多くの部分を負っていたことに言及しなければ。英国のフットボールは、そのもっとも純粋な本質の点で、フットボールだ。僕は、アンフィールドとは何か、その喧噪にも特徴があることを学んだ。イングランドでは、フットボールに早くなじむことができた。実際のところ、プレミアリーグはリーガに比べて、テクニック面でも戦術面でも劣る。でもそのペースはより強いものだ。あそこでは、競争的であることを学んだ。相手を破壊する接触ではなく。
Q:ではそういったことすべてが、今のスペインでのことに役立っている?
A:もちろんだよ。フットボールは接触のあるスポーツで、必要があれば僕は脚を出すことを躊躇しない。でもそうやるとしても、常に高潔さを伴うこと。けっして劇場のようにはしない、それもまた、僕が自分のやることの中に取り入れたことだ。それが本質。シミュレーションをする選手は、イングランドではほとんどありえない。個人的な意見では、そういったズルは組織的な罰則の対象とした方がいいと思う。イングランドでは、純粋なフットボールだ。大衆主義ではない。
Q:あなたがリバプールに持ち込んだものとは?
A:自分自身について話をするのは好きじゃないんだ(笑)。そういった競争的な面を、僕自身の生まれ持った試合を読むやり方と混ぜ合わせることができた、と言えるかな。自分が守備と攻撃をつなぐ存在だと理解しているんだ。
Q:あなたは現在、あなたの試合を読む知識の頂点にいます。これがあなたの成熟にとって意味するものとは?
A:試合のあらゆる瞬間に、何をすべきかを理解するということ。まだ成熟していない頃には、多くのエネルギーがある、しかしそこでやっていることはチームが求めていることではなかったりする。成熟は、どのように自身の力を推し測るか、そしてすばやく判断を下すかを知ること。僕のような中盤の選手は、たくさんの小さな正しい決断を行わなければいけない。若い時には、1つの選択で輝くことができるかもしれないが、他に3回は間違いを犯す。ストライカーが輝くにはゴールすること。でも僕のポジションは、信頼されることだ。絶対にミスをしないこと。ある選手は「かく乱」しなければいけないけど、僕の仕事は「バランスを取る」こと。このコンビネーションが良いチームを作るんだ。
Q:スペインでは、中盤のボール回収や8(8番、攻撃よりのピボーテ?)が嫌われた時があったそうですが……。
A:そうだね、でも大きく変化した。ファンは、スペイン代表で、守備的な中盤がチーム全体のクオリティを上げることを目にした。今は、僕たちにはより大きな価値があると見られている。イングランドやドイツ、その他の海外では、なぜ僕たちのような特性や才能をもった中盤が得られないのか不思議に思われている。たとえばアルゼンチン。アルゼンチン代表には4人の素晴らしいストライカーがいる、でもこういうタイプの中盤はいない…現代のディフェンシブ・ミッドフィルダーは、第一に、ボールに対してどうプレイするかを知っていなければいけない。フィジカル面でも強く、でも同時に試合を創り出せるように。
Q:ボールポゼッションは重要なことだと思いますか?
A:(即答して)本当のポゼッションなら重要。ボールを持つためにボールを持っているだけなら、意味がない。
Q:スペイン代表の成功は、多くのスペイン人選手のプレミアリーグへの移籍を促したと言って良いでしょうか?
A:そうだね、そのとおり。イングランドのクラブは大きな財力を持っている。一方でスペインは、経済危機を経験しているところだ。優れた選手たちがプレミアリーグに行くのは論理的なことだ。さらに、経験的に分かることだけれど、スペイン人選手は容易に馴染めるし、ビッグクラブの中で重要な存在になっている。
Q:でもあなたは違う方法を取った……。
A:そう。2009年、考えた上で良い選択をした。リバプールで5シーズンを過ごして、変化が必要だった。それに、最も偉大で最も要求が高いクラブ、レアル・マドリーより優れたクラブがあるだろうか。やってきたチャンスに賭ける時がきたんだ。マドリーで日々を過ごすことは、他のどのチームにいるよりも、より強烈でより大変なものだ。このクラブの命題は勝つこと、勝つこと、さらに勝つこと、そして同時に優れたプレイをすること。リバプールは5度の欧州杯を手にしている。でも同じじゃない。毎日はよりリラックスして、重荷も少ない。マドリーでは、プレッシャーと要求が常にある。そのチャレンジに自分が対処できるかを知りたかったんだ。
Q:現在、スペインのフットボールは流行であり、スペイン代表はすべてを手にしました。これにあなたはどう貢献していますか?
A:ラ・ロハについて話をするときには、そのドアをノックするところから(そのはじめから?)見なければいけない。昨年のU-21欧州選手権を獲ったことを考えてみよう(決勝は4-2でイタリアU-21に勝利)。スペインの育成システムは、競争力のある選手たちを「作る」ことができる。でも彼らの能力というのは、良いフットボールをすることと同時に、どの場面で何をすべきかを知っているということだ。僕たちはフットボールのスクールで、インテリジェンスをもってトレーニングをする。良い結果は、その帰結として生じるものだ。スペイン人選手は競争する力をつけ、その技術的なクオリティと試合でのインテリジェンスも保っている。
Q:フットボールの文化は、スペインで進化しているのでしょうか?
A:そう、僕たちの持つあらゆる異なるクオリティを組み合わせるという意味でね。技術的に恵まれたものと勝利の精神が今はともに存在している。良いプレイをしても競争力ということをわからないでいる時もあったのは真実だ。フットボールでは、走ることと苦しむことを知らなければいけない。決勝で勝てなくても素晴らしい試合なんてあるだろうか? スペインのフットボールもまた、チームを作ることを学んだ。僕は、いち選手として、良い状態だ。でも他の選手たちに対しても良い存在になる。若い選手たちはこの哲学の大きな変化を目にし、そこに浸っている。
Q:スペイン代表は、グアルディオラのバルサとモウリーニョのマドリー、異なるスタイルの融合をどう成し遂げたのでしょうか?
A:それを可能にしたのは、選手たちに本来備わっていたクオリティだ。それから率直に言えば、僕たち全員がチームの団結のために自分たちが役立つことを優先していた。誰も、個人で輝きたいと思ったりしなかった。それから、僕たちはパズルのピースを集めることができた。基盤としてできあがったものが、新しい選手たちが問題なくなじむ手助けにもなった。
Q:クラシコでのマドリーとバルサの選手たちの間の強烈な緊張を忘れる人は誰もいないでしょう。どうやって代表で再び一体になったのでしょうか?
A:自然と。代表では、僕たちはチームメイトだ。でも自分たちのクラブのカラーを守る。どちらかを切り捨てることはないよ。
Q:クラシコでは何かが変わるのでしょうか?
A:間違いなくノー! 普段より緊張感は強まるけれど、でも僕たちはこうしたあらゆる頂点のものを乗り越えてきた。僕が話そうとしないのは、マドリーvsバルサの試合で蹴りを受けたからって? ちょっと、真面目になろうよ! 僕にしてみれば、クラシコで起こったことは、その場限りのことだ。ラ・ロハでバルサの選手たちに会えば、違うストーリーだ。スペインメディアの話とは正反対で、バルサの選手たちとは素晴らしい関係を築いている。中盤でプレイするブスケツを見てみようよ。僕は彼のクオリティをよく理解しているし、彼も僕のことをわかっている。クラブでは、僕たちはだいたい同じようなポジションだ。でも代表では、僕たちそれぞれがより自由にやる。一方がもう一方をカバーする。「ブシ」はとても賢いし、戦術的にも優れ、とても競争力がある。僕たちは本当に良く理解しあっているよ。
Q:スペインのクラブが、特に外国籍選手たちのおかげで、とても競争力の高かった時期がありました。今はそうではないのでしょうか?
A:スペインフットボールのメンタリティは変化した。競争力を持つ方に変わった。それはまた、勝利を手にしたからでもあるね。現在、僕たちはきわめて重大な時をプレイしている。結果を確実にするために、ポゼッションを保つというインテリジェンスを持っている。冷静な頭脳でいるということだ。
Q:ラ・ロハがW杯を制すると思いますか?
A:3つ続けてタイトルを手にして(2008年、2012年のEURO、2010年のW杯)、また他の競争力のあるチームと対戦してみて、とても難しいものだろうと思う。でも心から言えることがある。何があっても、この世代は威厳ある終わり方に値するものだということ。あらゆる名誉と共にね。
Q:それが意味するところは?
A:おそらく、このW杯の後に何人かの選手が代表を去ることになるだろう。選手たちには長いキャリアがある。繰り返すけれど、すべてがうまく終わることが必要だと言っているんじゃない。ただ清廉に、表のドアから立ち去るということ。2002年W杯のフランスと同じストーリーは経験したくないんだ。本当に。あれは本当に悲しいことだった…。
(覚えている方も多いのではないでしょうか。1998年のW杯、2000年のEUROを制したフランス代表でしたが、2002年では大会直前の練習試合でジダンが負傷、チームの調子も上がらないまま、無得点・グループ最下位で姿を消しました)
Q:なぜさらに2年も、レアル・マドリーとの契約を更新したのですか(2016年まで)?
A:フィジカル面で良い状態でいられると確信したかった。昨シーズンの鼠蹊部の負傷にはすごく悩まされた。2013年は1月から5月まで、ピッチの上にいても同じではなく、自分のレベルが取り戻せなかった。6月に手術を受けて、新しく戦う力、自分の有るべきレベルが取り戻さなければ、延長はしたいと思わなかった。簡単な道は取らなかった。金や欲求の問題じゃない。僕は自分自身に尋ねた。「さらに2年間ここで過ごす意思はあるか?」って。その答えがイエスだった。そうなったら、延長するのは簡単な話だ。
Q:あなたはアメリカへ行きたいのだと言われていましたが…
A:将来的には、その仮説も除外しないよ。この先の2年間で、自分がどう感じるか見ていくことになるだろう。何も除外しない。ヨーロッパでも、レアル・ソシエダでも、レアル・マドリーとのこの新しい契約が終わった時にさらに延長することもね。自分が良いフィジカルの感触を持てているかを見ていくよ。確実に言えるのは、ピッチの上を這いまわるようなことはしないということ。これは名誉と威厳の問題だ。
Q:あなたがトップフォームに戻るに従って、アンチェロッティのマドリーはバランスを見出しました。
A:僕たちはピッチの上で、よく組織立っている。FWの皆まで、僕たちを助けてくれる。おかげで、中盤から試合をコントロールするのがとても楽になっている。僕たちの仕事は、リスクを減らすと言う点で、ディフェンス陣の役にも立っている。もちろん、GKも必要な仕事が減って、失点が減っている。こうした一連のポジティブな影響は、一方でバランスにつながっている。CLの準々決勝、国王杯ファイナル、リーガの終盤戦、重大な試合が続く4月から、こうしたことが本質的な存在になるだろう。7人しか守備をしていないような状況では、不十分だ。僕たちは一緒になって、守り、攻撃しなければいけない。
Q:もしクリスチアーノ・ロナウドに守備をするように言わなければいけないとしたら、そうしますか?
A:当然。前線ともバックラインの選手たちとも、たくさん話をしている。それがミッドフィルダーとしての僕の仕事だ。僕のポジションからは、試合が良く見える。だから時々言うんだ。「クリス、俺たちを助けてくれよ」って。それは当然するべきこと、シンプルだ。同じようにディフェンスも僕にこう言ったりする。「シャビ、お前がこれをやらないと!」って。若い選手たちには、そういうことを言うのは難しいかもしれない。でもそういう経験をするんだ。
Q:ベンゼマも守備をしますか?
A:カリムはあらゆる面で、大きな貢献をしてくれる。ボールのコントロールがすごくうまいし、仲間たちとの関わり方もわかっている、そして多くのゴールを決めてくれる。「美味しい」選手(un jugador delicioso)で、あらゆるプレイがとても素晴らしい。それに動きがとても賢いね。
Q:ではバランは?
A:バランのことは大好きだよ! ラファのことは、なんて言えばいいんだ? 何かをすること、競り合いで勝つこととか、予測をすることとか、驚くほど簡単にやるんだ。まるで何の苦労もないように。プレイすると、すべてが自然でシンプル。戦術的にも技術的にも、そしてフィジカルでもとても強い。いつもボールを簡単にはじき出す、とてもクリーンなやり方でね。彼のプレイを見ているのは楽しいよ。
Q:アンチェロッティがレアル・マドリーに持ち込んだものは何でしょうか?
A:ロッカールームをマネージメントし、選手たちと気軽に話をするという個性を備えている。でもそういったすべてが、偉大な支配力に結びついている。必要とされることがあれば、彼はやる。アンチェロッティは、静かな男という皆のイメージ以上のものがある。100%を出さない選手がいたら、彼は罰するよ。保証する。でも、そうであっても、雰囲気は素晴らしいものだ。選手たちはそれぞれの責任に気づいている。でも同時に、監督の信頼も感じている。
Q:スペインのフットボールはこの先も良い年月があるでしょうか?
A:注意深く行こう。僕たちは、自分たちがあるべき場所にいる。でもフットボールでは、すべてが1週間で変化し得るんだ。
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FF誌だからというのもあるかもしれませんが、ベンゼマとバランへの率直な「お褒めの言葉」がいい感じです。