あべのハルカズＢＡＲ １０２ページ目 チェーンソーを持ったジェイソン

【１０２ページ】



　若者は、スプレー缶を持っている警備員の方に向き直った。


「俺のスプレー缶を盗んだと警察に訴えようかな？」

「勘違いだ、許してくれ」


　スプレー缶を若者に返して、彼も財布から５万円を出し、

若者に手渡した。


「和解成立！　警察への訴えはしない」


　若者は、警備員と別れて、正面玄関の方へ歩き出した。

警備員達は、裏口の方へ戻った。


「裏口から出て来るまで、１５秒かかっていた。今度は防犯カメラ

のモニターまで戻る時間があるから３０秒はかかるだろう。

落書きするには、充分の時間がある。」


　若者は、スマートフォンをかけた。


「俺だ！　３０秒でそっちに行く。２０秒経ったらエンジンをかけて

待機しておいてくれ」

「大谷リーダー、了解しました。」


　大谷は、『アリさんコロリ』のシールを剥がすと、それはペンキの

スプレー缶であった。

彼は、すばやくチェーンソーを持ったジェイソンを壁に描き終わった。


　裏口から大慌て、飛び出してきた警備員が到着した時には、

大谷は消えていて、ジェイソンだけが彼らを睨んでいた。

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あべのハルカズＢＡＲ １０1ページ目 アリさんコロリ

【１０１ページ】


１５秒過ぎると、裏門から屈強な警備員二人が飛び出して来て、

スプレー缶を持った若者を取り囲み、一人の警備員はスプレー缶を

取り上げ、もう一人の警備員は、彼の腹にパンチを入れた。


「な、何をする！」


　若者は、立ち上がりながら叫んだ。


「壁に落書きをしていただろう」

「落書き？　何のことだ！」

「このスプレー缶・・・・・」


　スプレー缶を取り上げた警備員は、スプレー缶が未開封だった

ことに気付いた。

そして、それがスプレー缶ではなく、『アリさんコロリ』だったことに

も気付く。


「それはスプレー缶ではない」


　若者は、不敵な笑みを浮かべながら、彼を殴りつけた警備員に言った。


「おまえは、この屋敷の警備員？

暴力を受けたと警察に訴えようかな？」


　若者を殴った警備員は、財布から５万円を取出し、彼に手渡した。


「落書きしていると、勘違いした。

これで許してくれ」

「わかった！」

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あべのハルカズＢＡＲ １００ページ目 神戸の御影に行く

【１００ページ】


　晴数は、３姉妹とのミーティングを終えると、早速タクシーに乗り、

平和新聞の社主の自宅がある、神戸市東灘区の御影に向かった。


　阪急神戸線の御影駅前のローソンにタクシーが着くと、料金とチップを

運転手に渡し、４０分ここで待っているように晴数は指示した。

タクシーから降りた晴数は、線路を渡り、山手の高級住宅街へと

歩いて行った。


　１０分歩くと、目当ての平和新聞の社主の豪邸の１００手前まで来た。

街の防犯カメラの死角になる場所に立つと、バッグから紙飛行機を

取出し、社主の豪邸に向かって飛ばした。


　晴数の手から勢いよく飛び立った紙飛行機は豪邸に向かったが、

２０ｍ程飛ぶと、失速して地面に落ちそうになった。

急降下して地面に落ちる直前で、つばめの式神に変身して、

再び空中に舞いあがり、飛んで行き、社主の豪邸の庭に飛び込んだ。


「今夜は、社主の家族全員が、三匹の子豚の夢を見るだろう」


　晴数が、タクシーの待つ、ローソンに戻りかけようとしたとき、

社主の豪邸に近づく人影があった。

彼は、手にスプレー缶のような物を持っているようだった。

豪邸の壁面の前に立つと、スプレー缶を壁に向ける仕草をする。

彼は、豪邸に設置されている防犯カメラをみつめる。

わざと自分の動作を見せつけているようであった。

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スミレの育て方７月 害虫対策 小さなバッタがピョンピョン

　スイートバイオレットのプランターに水やりをしていると、

１ｃｍぐらいの小さなバッタがピョンピョンと跳ねます。




　画像の中央に写っているのがそのバッタです。

バッタはすばしこっく逃げ回るので、取り逃がすことがあります。

成長すると数ｃｍぐらいになります。







　バッタの種類をネットで調べると、ショウリョウバッタのようです。

あべのハルカズＢＡＲ ９９ページ目 ガラケンからスマートケンへ

【９９ページ】



「晴数お兄様、紙飛行機を式神の戦闘機に変えて、平和新聞の社主

の家を攻撃するの？」


　香菜は、紙飛行機が飛んで行くのを見た後、晴数に訊いた。


「いや」


　晴数は笑いながら否定した。


「平和新聞の社主が悪人という訳ではないからね。

香菜、紙飛行機を拾って、広げてごらん」


　香菜は、晴数に言われた通りに、紙飛行機を拾いあげ、元の一枚の

紙に戻すように広げた。


「あっ、三匹の子豚の絵が描かれている！」

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　陽菜と月菜もその絵を覗き込む。


「晴数お兄様、これどういうこと？」


　月菜が、首を傾げながら訊いた。


「携帯電話が１９９９年にｉモードが日本でスタートし、インターネット網

への接続が可能になった。そして２００７年には、より多機能化したスマートフォンが

普及し始め、従来の携帯電話はガラケイと呼ばれるようになった。

日本国憲法も７０年経ち、ガラケンになってしまった。

戦争を放棄するという精神を尊重しながら、スマートケンに変えなければ

と考えてくれるように呪（じゅ）をかける」