ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 92ページ目  悪い三猿って?

2014-07-13 14:22:08 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【92ページ】



 朝比奈は、オーヘントッシャンヴァリンチ57度のロックの氷を

カラン、コロンと音を立てながら回している。

ママの陽菜の意見を待っているかのようであった。


「私の知人の話では、自分の考えが正しいと思い込むとそれに反対の現象

には悪い三猿になってしまうそうです。」


「三猿って、『見ざる,言わざる,聞かざる」の意を表わした目,口,耳を押えた3匹の猿の像』

のことだろう?



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『耳は人の非を聞かず,目は人の非を見ず,口は人の過を言わず』ということだね?

それが、悪い三猿ってどういう意味?」

「例えば、野良猫に餌をやる人、この人はどうして餌をやるの?」

「飼い主に捨てられて、可哀そうだと思うのかな?

餌をあげないと死んでしまうと考えるのかな?」

「この人は自分の行動は正しいと思っている?」

「当然そう思っているだろう」

「この人の考えや行動は、動物愛護という観点からすれば

正しいので、近所の方が、『野良猫の食べ残しが不衛生だ』と言っても

『野良猫の声がうるさい』と言っても『野良猫が集まって困る』

と言っても聞く耳を持たないのです。』


 朝比奈はオーヘントッシャンヴァリンチ57度のロックを飲み干した。

そして「うーん」と唸った。