ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 106ページ目   科学的調査の結果 

2014-07-31 07:41:59 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【106ページ】



「はい」


と社主の平山が答え、話を続ける。


「私達家族6人が、三匹の子豚がオオカミに襲われ、最後に

ジェイソンが登場して、私達が襲わる夢を同時に見ました。

しかし、孫娘二人は、ジェイソンを見たり、聞いたりしたことが

ないので、まったく知りません。孫娘の持っている三匹の子豚の

絵本では、子豚がオオカミに食べられる内容ではないのです。

だから、昨夜の三匹の子豚とジェイソンの夢を六人同時に見る

ことはありえないのです。」

「なるほど」


安倍 晴喜は、扇子を開いたり閉じたりしながら頷いた。


「そして、家中を警備員達に異常がないか調べさせました。

幻覚をおこすようなガスを出す装置が設置されていないかどうか、

又遠隔で催眠術をかけるような装置がないかどうかも調べました。」


「うん、うん」


「しかし、そのような装置はありませんでした。

昨夜、私の家に近づいた者はジェイソンの落書きをした男だけ

でした。不思議なことに壁のジェイソンの落書きも消えてしまって

いますが・・・」


 安倍 晴喜は、いつの間にかデザインの変わった扇子を「パチン」と

大きな音を立てて閉じた。



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水引館