２ ロワール川巡り④ １２５ページ目

【１２５ページ】


お客　　　　　　他にどんなワインがあるの？

マスター　　　　シャンパンやポルトガルのポートワインのことを調べて見て！

お客　　　　　　次来るまでに、調べて見る。

　　　　　　　　わからなかったら、又聞くよ。

マスター　　　　いいですよ。


マスターとお客がそのような会話をしている時、田辺が店に入って来た。


良子　　　　　　マスター、こんばんは！

マスター　　　　いらっしゃい！

良子　　　　　　和さん、こんばんは！

和音　　　　　　やあ！

　　　　　　　　良子さんにも、マスターお奨めのこのワインを！

良子　　　　　　どんなワインかしら？

和音　　　　　　不思議なワインだよ？

良子　　　　　　とてもおいしいワインね？

　　　　　　　　でも、何かが違う。

　　　　　　　　ブドウ品種は、メルロ、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨンだと

　　　　　　　　思うのですよ？

和音　　　　　　それで？

良子　　　　　　カベルネ・ソーヴィニヨンの渋みと酸味がなめらかなのです。

　　　　　　　　ワイン名は、ボードに書いている８．０．１ですよね？

　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　

２ ロワール川巡り④ １２４ページ目

【１２４ページ】


お客　　　　　マスター、ちょっと教えてほしいワイン用語があるのだけど。

マスター　　　何でしょうか？

お客　　　　　よくワイン用語で、ヴィンテージと言う言葉が使われるよね？

マスター　　　そうですね。

お客　　　　　ヴィンテージって、ワインの製造年のこと？

マスター　　　そんなとこでしょう。

お客　　　　　ちゃんと教えてよ！

マスター　　　ブドウの収穫年のことです。

お客　　　　　ワインの製造年とブドウの収穫年ではどう違うの？

マスター　　　すべてのワインには、製造された年は存在します。

　　　　　　　しかしすべてのワインにヴィンテージがあるわけではないのです。

お客　　　　　ブドウの収穫された年はあるでしょう。

マスター　　　ありますね。

　　　　　　　しかし表示できないワインがあるのです。

お客　　　　　どんなワイン？

マスター　　　例えば、１９９８年に収穫されたブドウから造ったワインと２００

　　　　　　　０年から造ったワインをブレンドして造ったワインはヴィンテージ

　　　　　　　を表示できません。

お客　　　　　だからカジュアルなワインにはヴィンテージがないのか！

マスター　　　ヴィンテージがないのは、カジュアルなワインだけではないよ。　

２ 酒豪ソムリエ １２３ページ目

【１２３ページ】


酒豪ソムリエ　　私の負けだ！

　　　　　　　　私が、ラグビー部の先輩とのテイスティング対決でとった作戦を
　　　
　　　　　　　　逆に利用されたようですね？

和音　　　　　　お話を聞かせていただきましたからね。

　　　　　　　　社長、今夜はすばらしいイタリアワインありがとうございまし

　　　　　　　　た。

社長　　　　　　いいえ、こちらこそ楽しいワイン会でした。

　　　　　　　　

社長は、和音を玄関まで見送った。和音のワインの飲み過ぎを心配したが、彼が

玄関まで歩く姿は、酔っている様子がまるでなかった。　　　

２ 酒豪ソムリエ １２２ページ目

【１２２ページ】


和音　　　　　飲み干す方に神経がいってたので、ワイン名までは・・・・。

　　　　　　　しかし私の推測では、スーパートスカーナではなく、ボルドーの

　　　　　　　ワインだと思うのです。

社長　　　　　なぜ？

和音　　　　　社長は、私がワイン名とヴィンテージを当てる方を選択すると

　　　　　　　予想していたでしょう？

社長　　　　　まあ、そうだが・・・。

和音　　　　　だから、何かトリックを仕掛けたはずです！

　　　　　　　スーパートスカーナでは、サッシカイアとルーチェとルピカイア

　　　　　　　が特に有名ですが、その中でルピカイアのブドウ品種がカベルネ・

　　　　　　　ソーヴィニヨンとメルロでボルドーのサン・テミリオンタイプなの

　　　　　　　です。

社長　　　　　私が、スーパートスカーナと言いながら、実はボルドーのワイン

　　　　　　　だと？

和音　　　　　サン・テミリオン地区第一特別級（Ａ）のシャトー・シュヴァル・

　　　　　　　ブランでは？

社長　　　　　そんなに有名なワインだと中黒さんが間違わないでしょう？

酒豪ソムリエ　実は、酔いが醒めてきて、普通のソムリエの味覚に戻っていたので

　　　　　　　す。　

社長　　　　　それが、和さんの作戦で、ワインを飲む方を選んだのか？

和音　　　　　そして私がゆっくり飲むことによって、待っていた中黒さんのワイ

　　　　　　　ンの味に少し変化が起きたのです。　
　　　　

２ 酒豪ソムリエ １２１ページ目

【１２１ページ】


和音　　　　　私は、フルボトルのグラスを選びます。

社長　　　　　和さん、それで大丈夫ですか？

和音　　　　　ええ、それでお願いします。


３本目のワインが、和音と中黒のグラスに注がれた。そして和音は大きなワイン

グラスを手に取り、一口含んだ。


和音　　　　　オー！オー！なんておいしいワインだ！

　　　　　　　ゆっくり味わいながら飲ませて頂きます。

　　　　　　　フルボトル３本分となるとさすがに体に堪えますね？

社長　　　　　さすが和さんだ！

　　　　　　　少し時間がかかったが飲みきりましたね。

　　　　　　　次は中黒さんが、ワイン名とヴィンテージを当てる晩です。

中黒　　　　　ワイン名は判りました。

　　　　　　　サッシカイアのライバル、ルピカイアですね。
　　
　　　　　　　しかしヴィンテージが判らない・・・・。


中黒は、和音の先ほどの言葉にヴィンテージのヒントがあるのではと思った。

００年又は０１年？それともそれはトリック？　中黒は酔いが醒めてきて、味覚

の鋭さが消えた。

中黒　　　　　ヴィンテージは２０００年です。

社長　　　　　ヴィンテージは正解ですが、ワイン名は不正解です。

中黒　　　　　ええ？

社長　　　　　和さんは、ワイン名判りますか？