ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 41ページ目 手の平のブドウのあざ   

2013-02-14 22:19:53 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【41ページ】


 和音は、最初は一人住まいの女性の家に行くことに躊躇していたが、

良子の彼を助けたいという熱意に心を動かされた。


「知人のソムリエとして、ワインを飲んでくれるのだね?」

「ええ、そうよ!」

「それでは、ポムロールのワインを何本ぐらいマスターに用意してもらいますか?」

「朝まで飲み続けるとしてシャトー・ペトリュスを10本ぐらい」


 良子は笑いながら言った。

勿論冗談である。

シャトー・ペトリュスは、一本数十万円もするのである。


「マスター、シャトー・ペトリュスを10本用意して!」


 和音はマスターに注文した。

和さん、冗談よと良子は心の中で叫んで、止めようとした。

しかし、マスターの返事を聞いてホッとする。


「和さん、悪い冗談ですよ!

田辺さんが困惑した顔をしていますよ。

本気だったとしてもシャトー・ペトリュスを10本用意できませんが・・・・」


「良子さん、マスターのお薦めのポムロールのワインでもいい?」

「ええ、お手頃な値段で珍しいポムロールのワインを飲みたいわ!」

「マスター、良子さんの希望するワインを10本選んでください!」


 マスターは、ワインを選びに地下のワインセラーに行った。