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そして、二人が10本目のワインを飲み終えようとした時、和音の右手の
手の平からブドウのあざが消えた。
それを見届けた良子は一言、「和さんやったね!」
良子は仕事の疲れと、午前4時前まで飲み続けた酔いと、和音のあざが消えた安心感から
急に眠気に襲われた。
「和さん、お先に!」
良子は立ち上がって、ベッドに向かうが、よろけて倒れそうになる。
和音は彼女を支えてベッドまで運んで、そこに寝かせた。
和音は、そっと良子の顔に近付ける。
意識が薄れていく中で、良子は唇を奪われると感じた。
和音は、目を閉じている良子を見つめながら、唇を彼女の顔につく寸前まで
はこんだ。
そして彼女の耳元で囁いた。
「ありがとう! 今夜ロワール川巡りできなくてごめんね!」
「和さんのバーカ! キスじゃなかったの?」
良子は、心の中で叫びながら寝入ってしまった。
和音は、こたつに戻ると、ボトルの残りをワイングラスに入れて飲み干した。
「味覚が完全に戻った!」
和音は、右手の手の平をもう一度見直した。
「良子さんのお蔭だ! 何かプレゼントをしなく・・・・・・」