ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 45ページ目 手の平のブドウのあざ   

2013-02-19 20:56:58 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【45ページ】


 そして、二人が10本目のワインを飲み終えようとした時、和音の右手の

手の平からブドウのあざが消えた。

それを見届けた良子は一言、「和さんやったね!」


 良子は仕事の疲れと、午前4時前まで飲み続けた酔いと、和音のあざが消えた安心感から

急に眠気に襲われた。


「和さん、お先に!」


 良子は立ち上がって、ベッドに向かうが、よろけて倒れそうになる。

和音は彼女を支えてベッドまで運んで、そこに寝かせた。

和音は、そっと良子の顔に近付ける。


 意識が薄れていく中で、良子は唇を奪われると感じた。

和音は、目を閉じている良子を見つめながら、唇を彼女の顔につく寸前まで

はこんだ。

そして彼女の耳元で囁いた。


「ありがとう! 今夜ロワール川巡りできなくてごめんね!」

「和さんのバーカ! キスじゃなかったの?」


 良子は、心の中で叫びながら寝入ってしまった。

和音は、こたつに戻ると、ボトルの残りをワイングラスに入れて飲み干した。


「味覚が完全に戻った!」


 和音は、右手の手の平をもう一度見直した。


「良子さんのお蔭だ!  何かプレゼントをしなく・・・・・・」