ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 32ページ目 手の平のブドウのあざ   

2013-02-02 21:11:13 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【32ページ】


「店先のオオカミグッズのコレクションは誰のもと思う?」

「ここのマスターの?」

 
 美鈴も小声で答えた?


「そう思うだろう?

この店の常連のお客もそう思っている!」

「違うの?」

「実は、マスターの妹さんの美紀さんのコレクションなんだ!」

「うそ!」


 丸山は、右手の人差し指を唇に当て、秘密だよと合図した。


「ところで、美鈴さんに飲んでもらいたいワインというのは甘口ワインなんだ!」

「甘口ワインもあまり好きでないの」

「だから、今夜は世界最高峰の甘口ワインのシャトー・ディケム・・・・・」

「ええ、あのシャトー・ディケム?」


 美鈴も、シャトー・ディケムの名前と高価なワインということだけは知っていた。


「ほんとうは、シャトー・ディケムを飲んでもらいたのだが、僕の給料では無理だ!」

「そうね、実際にシャトー・ディケムが出てきたら丸山さんの金銭感覚を疑うわ!」

「そこで、美鈴さんのために探し出したワインというのがが、シャトー・ディケムの畑に

ぐるりと囲まれている畑のワインだよ。」

「そのワインって、シャトー・ディケムではないのね?」


「うん」と丸山は頷いた。