ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 90ページ目 知れば知るほど迷路に

2012-04-16 20:43:52 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【90ページ】


「マスター、今晩は!」

「田辺さん、いらっしゃい! これいつものラベル!」


マスターは良子に、昨日テイスティングしたワインのラベルを手渡した。


「ありがとう!」


良子は、店内を見渡して和音が来ているのを確認した。


「今夜もお客が多いですね?」

「奥の田辺さんの席は空けていますよ。」

「今日は、ワインをゆっくり飲みたいと思って・・・・。」

「そうですか?」


マスターは、カウンターの奥の方を指さした。

良子はうなずき、和音の座っている方に近づいた。


「今晩は! 隣の席あいていますか?」

「ええ、どうぞ! 今夜は、テイスティングお休みですか?」


良子はうなずいたが、いつもの元気がなかった。


「それでは、ワインの勉強のことは忘れて、楽しく飲みましょう。

マスターお奨めのおいしいデザートワインはいかかですか?」

「はい、いただきます。」

「マスター、ボードのお奨めのデザートワインをボトルで!」


 マスターのお奨めデザートワインは、世界最高峰の貴腐ワインを生み出すソーテルヌの

対岸のルピアックの貴腐ワインであった。