ワインバーでのひととき ファースト（改訂） ８４ページ目 マジシャンソムリエとの対決

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「高木社長、和音さんはシャブリ・グラン・クリュの言葉のトリックを見破った

ようですよ。そしてワイン名も和音さんの話の中から判りました！」


高木と和音とのテイスティング対決のやり取りを見ていた狩野が言った。


「言葉のトリックを見破ったと？」


「ええ、シャブリ・グラン・クリュは、先程水平テイスティングした７種だと

一般的には言われています。」

「そうですね。」


和音が笑いながら、うなずいた。


「和音さんが、最初ヴォーデジールかプリューズかな？と言ったでしょう。

高木社長は、そのどちらかのワイン名を答えることを望んでいたと思います。」


「ああ、そうだ！」


高木社長は残念そうな表情を浮かべて言った。


「和音さんが、最初ヴォーデジールかプリューズかな？と言ったのには訳があった

のです。テイスティングしたワインはヴォーデジールとプリューズにまたがる区画

から造られたものだからです。」


和音は、にこやかな表情を見せ、高木は推察通りだとうなずく。


「この区画は、丘の頂上にあり、日当たりがとても良く、シャブリ村を一望でき、

そして特別にグラン・グリュのラベル表記が認められているのです。

和音さん、このワイン名は？」


「シャブリ・グラン・クリュ・ムートンヌです！」