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改革に必須な条件とは『米沢藩の経営学』

2024-05-22 07:47:29 | 歴史から学ぶ
国の改革ができる条件とは国と国民が現状を理解し、双方がより良い環境を望むかで決まる。最後の藩主上杉茂憲が沖縄県令に赴任し「吏員改正」(改革案)を提出したが新政府のトップが理解できず傲慢な税収と既得権を望んだことでの「却下」は、現代の岸内閣政治(不透明なままの裏金事件)と国民との意識の差を垣間見るようだ。
上杉家の改革の内容は現代でも通じる「質素倹約・組織の簡素化・産業改革」である。現代の日本政治にはこの3つが全く見られない。政治家の既得権と名誉地位保持(貪欲な闇金隠蔽など)が最優先となり国民への負担が増すばかりとなっている。    
『米沢藩の経営学』童門冬二
「概要」上杉謙信を祖と仰ぐ米沢藩上杉家は、度重なる減封によって瀕死の逆境にさらされながら、家臣を一切リストラせず、幕末まで続いた稀有な名家である。それを可能にしたリーダーたちの改革精神とは?本書は、120万石から30万石になった折の名家老・直江兼続、15万石になった藩を救った上杉鷹山、幕末に改易の危機を脱した上杉茂憲の3人を貫く「精神の系譜」を描いた異色の歴史小説である。明治14年(1881)5月、廃藩置県まもない沖縄県に、最後の米沢藩主・上杉茂憲が県令として赴任した。雪深い陸奥から日本の最南端へ――。県政運営にあたる茂憲が支えとしたのは、米沢藩の礎を築いた直江兼続、中興の祖・上杉鷹山を経て継承された「義と愛」の精神だった。
米沢藩最後の藩主茂憲が沖縄県令に指名され赴任する。その改革を任されるが過去の上杉家の基礎を気づいた藩主、軍師などの事例を元に進めていくストーリー
鷹山の師匠「細井平洲」
    「難しいことを易しく語ること」「学問は生活の実際に役に立たなければ意味が無い」
    「入りを量って出を制する」「非情の時には非情の法」「無駄を省く」「仁愛の情を持つ」
    「今日の暮らしを犠牲にしても、明日の立ち直りを考えるように協力してもらいたい」
    「勇なるかな、勇なるかな」(勇気と自信を持って継続する志を持つこと)
    「興譲館」人材を育てる学校「譲る」を重んじた教育
「武士はくわねど高楊枝」勤倹節約・産業復興を基本に武士も農業を指導させる
        兼続の心得「心に曇りなき時は心静かなり」怒りを抑え心を落ち着かせ考える
    120万石から30万石へ減封6千人の家臣と家族3万人で移動
        住む場所の確保、農地の確保、税金の減免免除、農産物の開拓と復興へと
    兼続の石高を12分の1に減収、他を少なくとも3分の1に減らす
    「米沢の棒杭の商い」値札を棒にぶら下げて値段の高騰を抑えた
    「朝・楮・漆・桑」など素材を育成麻糸から「米沢織」など付加価値を高めた
    非常時のための「社倉」の設置(大飢饉時に役立つ)
    年貢の負担を軽減、農民が自発的に農業改革をできるように導く(資金貸付)
    移住者に対して受け入れ(米5俵、家の代金一部、材木などを提供)
鷹山の3つの壁:壁を越える事
    「モノの壁」(物理的な壁)・「仕組みの壁」(制度の壁)・「心の壁」(意識の壁)
ーモノの考え方
    もし直江兼続だったらどう考えるのか、もし鷹山だったらどうしたのか、立場に立つ
ー3つの条件:天の時(運命を悟る):地の利(状況・条件を知る):人の和(人間関係)
ー沖縄改革(現状から改革へ:結果新政府は「吏員改正」を却下、茂憲県令は罷免
    政府の「旧慣温存」で現存の幹部は変更させない(真実を握りつぶし虚偽申告)
    改革の目的を明確にすることで効果を醸し出す(目的を理解してもらうこと)
    「心の火種で黒い炭に火をつけ、火だね運動を起こす」(県民が改善を待っている)
    地方役人の人員減、統轄系統の簡素化、負債償却、教育産業復興「吏員改正」