世田谷区議会第3回定例会での決算認定
(令和元年度決算)に対する会派の意見
開陳の内容を以下に掲載します。
関心のある方はぜひお読みいただけたら
と思います。
特に、最後の部分(PCR検査について)
は、現在進行形で行われている税金の
無駄遣いについて、です。
とても重要なので、その部分だけでも
読んでいただけたらと思います。
(青字にしてあります)
今回は、会派の幹事長、桃野芳文議員
が登壇しました。
2020年10月16日 会派意見開陳
無所属・世田谷行革110番・維新は、令和元年度世田谷区一般会計歳入歳出決算認定他4件に賛成いたします。以下、賛成の立場から意見を申し述べます。
振り返ると令和元年度の予算が可決されたのは、平成最後の世田谷区議会本会議となった平成31年3月27日でした。その場で我が会派の田中優子議員は「本予算案には、世田谷区政の未来にとって極めて重要な出発点、いわゆる卵のような事案が含まれている。それは本庁舎災害対策機能の整備と児童相談所の開設だ」と述べています。
本庁舎整備については、国内外の政治環境の不安定さを引き、景気悪化による財源的な不安についても指摘をするとともに、世田谷区本庁舎における災害対策は待ったなし、かつてのリーマンショック時のように後戻りはできない、本庁舎整備の基本設計については、非常事態が発生した場合には改良が可能、しかし後戻りは不可能だ、と強く指摘しました。
新型コロナウイルス感染症は今、社会の形を変えています。人と人が顔を合わせること、人が集うことの意味、その必要性に対する考え方も大きく変わりつつあります。一年前、ズームやマイクロソフトチームスなどのオンラインツールを使って会議をした経験のある議員は、ここにどれだけいたでしょうか。今でもそう多くは無いのかもしれませんが、少なくとも議会の様子は変化しました。世田谷区議会では、本会議場に入る議員の数を制限し控え室でのテレビ視聴に議員数を割り振るなどの運用が行われています。他自治体では、条例を改正し、オンラインでの委員会出席を認めるようにした議会もあります。世の中は絶えず変化しています。
本庁舎整備は420億円以上の事業費を要する事業ですから、財源の確保、又そこに直結する世界経済の見通しについても注視し、柔軟に対応していかなければなりません。10月14日の日経新聞等が、国際通貨基金(IMF)による最新の経済見通しを報道しています。それによると、2020年の世界の成長率見通しは前年比4.4%減、日本の成長率も2020年は5.3%減と落ち込み、21年も回復の勢いは鈍いとしています。
本庁舎整備については、現庁舎の意匠等への区長の強いこだわりと、本来必要とされる本庁舎整備の要件に挟まれ、これまで事務方職員が苦しみながらも練り上げてきた整備計画には一定の評価をしています。一方でこれまで述べた社会の変化に対応することも必要です。加えて、これまで我が会派が述べてきたように、整備費用の大幅な縮減と感染症を含む災害対策機能の強化を両立する必要に迫られた場合は、区一丸となって速やかにその状況に対応しなければなりません。これらの点については、この場を借りて改めて要望いたします。
児童相談所についても意見を述べます。
区は令和2年4月、児童相談所を開設し、児童福祉法施行令第45条の2の規定に基づく児童相談所設置市としての業務を開始しました。区から議会への報告に接する限り、児童虐待通告の受理、児童虐待相談の通告受理、警察からの児童情報の照会、緊急一時保護の受け入れの開始など、4月1日より新たな業務が順調に滑り出すとともに、 東京都からの相談ケースの引き継ぎにも問題は生じて無いようです。先ずは予定通り、最初のハードルを超えたと言って良いでしょう。
戦後しばらくの間、児童相談所の大きな役割は、戦災孤児の保護や児童の人身売買の防止でした。つまり可視化された(目に見える)社会問題となっている限定的な子ども達への対応が求められていたのです。しかし今や、その対応範囲は大きく広がりました。子どもの発達上の問題や家庭内での虐待など目に見えづらい問題も含めて子どもに対する総合的な内容についての対応が求められています。児童相談所は、常に時代の変化に対応しつつ、個々の子どもや家庭に対して、最も効果的な相談援助活動に取り組まなければなりません。具体的には今強く求められているのは関係機関との連携、連携のための感度(感じる度合い)です。
現代の児童相談所においては、児童養護施設、子ども家庭支援センター、配偶者暴力相談支援センター機能を担う人権・男女共同参画担当課はもちろん、教育委員会、保育施設、警察等との連携は欠かせません。
関係機関との連携とは、各機関が役割分担をすることではなく、糊代のように重なり合い仕事をする部分があって生まれるものだと考えます。そして連携のための感度が機能するためには、身に付けた理論や知識に加えて、経験に裏打ちされた現場感覚、そしてそれらが各人において活用できる余地を持った適切な業務量という条件が満たされなければなりません。
近年社会的に大きな注目を集めた事件、例えば2019年の野田市小4女児虐待死事件、2018年の目黒区5歳女児虐待死事件、2019年の札幌市女児衰弱死事件、2019年の鹿児島県出水市(いずみ)4歳女児死亡事件、いずれも関係機関との連携が不十分だったことや、外部機関からの進言があったにも関わらず児童相談所の感度の機能が妨げられていたことが、重大な結果につながったと指摘されています。世田谷区では決してこうした事件と同じ轍を踏まぬよう、事例の研究にも不断に取り組んで頂きたく思います。
先の決算特別委員会でも区長に対する厳しい意見が頻発した新型コロナウイルス感染症対策について意見を述べます。ことの発端は、7月28日、突如区長がテレビ番組に出演し「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」とぶちあげたことでした。その前日区長は、有識者との意見交換でニューヨーク州でのPCR検査の事例を聞き「これだ!」と思ったようです。次の日にはあたかもこれが具体的な区の施策であるかのように話し始めてしまいました。
多くの人が「そんなこと、できっこないだろう」と感じる施策を、区長の立場にある人が、さも実現するかのように堂々と話すのですから、報道する側にとってニュースバリューがあったのでしょう。区長は、その後も次々とテレビ、雑誌で「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」と喧伝を続けます。
その後、区長の「いつでも、誰でも、何度でもPCR検査」は当然ではありますが、実現などせず、区長曰くの「社会的検査」なるものに形を変えて実施されることとなりました。
我が会派はこの社会的検査、つまり数ヶ月かけて介護施設等で働く方26,000人を対象に23,000件、押し並べて検査をしても感染拡大防止策にはならないと申し上げてきました。故に社会的検査の予算のみを補正予算から切り出し、その予算は従来型のPCR検査の拡充と各施設における感染拡大抑制のための取り組み支援に割くべきだと組み替え動議を提案しました。もしも区長が、この社会的検査なるものが感染拡大防止に有効だと信じているのだとすれば、それは対象者全員に定期的に繰り返し検査することを義務付けなければならないはずです。
9月10日の企画総務委員会で宮崎副区長は 「議会とも相談する中で、定期的にやらないと意味がないという声を受け止めた」「考え方として定期的とさせて欲しい」と答弁し、区長は昨日の記者会見でもこの社会的検査なるものを指して定期検査と説明していましたが、これも実態のない説明です。定期的とは一定の期間を定めて繰り返すことです。新聞なら毎日、週刊誌なら1週間ごとに定期的に発行されます。これが定期的というものでは無いですか。区長のいう社会的検査のどこが定期的なのか。又いつも通り言葉だけが走り、実体はありません。世間に受ければ良い。中身が伴わなくても良い。辻褄合わせは部下に押し付ける。こうした区長の仕事ぶりには改めて苦言を申し上げます。
以上意見とします。
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