goo blog サービス終了のお知らせ 

皆から離れる時間。 第4話 帰る時。

2013-01-16 10:17:08 | 皆から離れる休みの時間。
寒さが続いておりますが、
先ほど、元気に愛犬とお散歩してきました。
頬にあたる風が、冷たかったけど、
気分転換になりました。



今回は、皆から離れる時間最終回です。







それでは、いつものようにいつもの言葉を。









相変わらずの、
妄想なあたしの世界です。
妄想な世界なんて、と思う方は、
お読みになりませんように。


そして、
クレーム、苦情、ツッコミなどは、
ご遠慮下さいませ。

お互いに、
いい気分にはなりませんし、
私も凹みますから。。。
ご勘弁下さいませ。







----------------------------------------








皆から離れる時間。 第4話 帰る時。









女将さんに呼ばれる。

「牧野さん。」
「はい。」
「この間の、フランス人の方から、西門さんへ
ばれてしまったみたい。皆様、迎えにこられるそうよ?」

「・・・。」

はーーー。過保護なんだから。

女将さんは、つくしの大きな独り言にも慣れて、
苦笑している。


*******


いつものように、あたしはお客様へ振る舞う
ウエルカムドリンクを作っていた。
ご要望があれば、お茶を煎れるし、
どのドリンクも作る。

オープンキッチンで、飲み物を作っていた
時のこと。
玄関の外で、2台の黒い車が止まった。

そして、独特のエネルギー体が3つ、
ホテルの中に入ってくる。

あたしは、出来上がったドリンクを、
ウェイターさんに、持って行くように渡した。

彼らが入ってくると同時に、
ホテル内の空気が、ザワリとなる。

「あ。いた。」
「お。いたな。」
「つくしちゃん、発見。」

3人は、ホテルのソファに座り、
女将さんが近寄って行く。

「牧野の所行ってくる。」
「類。まだ牧野は仕事中だ。
行ったら、叱られるぞ。」
「そうかなぁ。」
「やめといた方がいい。」
「牧野と話したいのに。」
「元気なのはわかったんだ、」
「もう少し辛抱したほうがいい。」
「…。」


******


あたしは、すでにわかっていたから、
日本茶を煎れて、あたしが直接ソファに
向かった。

こ憎たらしいったら。
え?何がって?
ちゃんと、あたしが東京に帰る日に、
迎えにくるんだから。

「いらっしゃいませ。」
3人にお茶を出す。

「牧野。」
「よ。つくしちゃん。」
「牧野。久しぶり。」

あたしは、営業用のスマイルをする。
目で、仕事中と言って。

「何時まで仕事?」
「お昼までです。」
「わかった。待っとくよ。」

あたしは、軽く頷いて、頭を下げて、
もとのカウンターに戻る。

カウンターの中から、それぞれに合った
雑誌と新聞を持ち、あたしはまた、
近寄って行って、ソファのサイドテーブルに
置いてきた。

あたしは、仕事をしていたが、
ホテルに泊まりに来ていた、どこぞの
お嬢様たちが、3人に近寄って行く。

少し様子をうかがっていると、
どうやら、いつもの感じの…。みたい。
興味なさげなんだけど、どうなるか
わからないからなぁ。

さてと。どうするかな。
あ。そうだ。あそこならいいかな。
至急、女将さんに許しを頂いて、
3人に異動してもらうことにした。

「失礼いたします。」
「なんだ。」
「お部屋のご用意が出来ましたので、
ご案内いたします。」
「ちょっと、あたくし達、話しているのだから、
失礼じゃない。」
「いや。申し訳ない。こちらは、遊びに来ている
訳では無いので、もう失礼する。」
「案内してもらえるかな。」
「はい。かしこまりました。どうぞ。」

あたしは、スタスタと5ほど歩いて、促す。


*******


あたしが、3人を連れてきたのは、
図書室だった。

「へえ。結構、いいじゃん。」
「あたしは、もう少しお仕事がありますので、
時間まで、ごゆるりと。」

ちかくにいた美作さんに先ほどの雑誌類も渡す。

「牧野。ありがとう。」
「牧野。待ってる。」
「つくしちゃん、ありがとな。」

あたしは、にっこり微笑んで、
その場を後にした。
部屋を出た後、あたしは、ドアに掛かっている
プレートを、貸し切り中にしておく。

さてと、仕事仕事!

あたしは、いつものように、ウエルカムドリンクの
お手伝いをして、花をいけ替えて、
女将さんのあとをついて、挨拶に回る頃、
お昼になるところだった。

そしてあたしは、支度部屋で女将さんと
向き合っている。

「ありがとうございました。」
「こちらこそ、本当にお世話になってしまって。」

あたしは、いえいえと小さく首を振る。

「どれもが、良い経験でした。」
「家も、どれくらい、ピンチを救ってもらったか、
わからないわね。」
「とんでもない。同じ仕事場で働いているものが、
手伝っただけですから。」
「ありがとう。」

そう言って、女将さんは頭を下げた。
あたしも、慌てて、頭をさげる。
女将さんは、引き出しから封筒を取り出して、
あたしに、渡す。

「一ヶ月のお給料です。」
「確認させて頂きます。」

あたしは、女将さんが頷くのを見て、中を
確認して、話す。

「あの、多い気がするんですが。」
「大変良くして貰ったから、奮発しちゃったのよ。」

女将さんは微笑んでいる。

「ありがとうございました。」
「また、なにかあったらいらっしゃい。」
「はい。」
「でも、あの方達が、離してくれなさそうね?」
「いつもいつも、過保護にされてしまって。」
「つくしちゃん。」
「はい。」
「甘えられる、甘えてくれるのは、今だけかも、
しれないわよ。」
「え?」
「今は学生時代だから、皆様、自由が効くから。」
「そうですね。そうかもしれません。」
「あら、最後なのに、しんみりしちゃったわね。
皆様、お待ちかねじゃない?さあ、着替えて。」
「はい。」

あたしは、着物を脱ぎ、壁にあるハンガーに、かける。
そうして、仕事前に運んでいた荷物のなかから、
何枚か持ってきたワンピースの中から、一枚を取り出して、
着替えた。

「似合ってるわ。」
「ありがとうございます。」

さてと。

「気をつけて、帰ってね。」
「はい。」

本館のロビーに降りると、ざわりとなった。
ソファーで飲み物を飲んでいた3人が、
こちらを向く。

「牧野。ご苦労様。」
「つくしちゃん、おつかれ。」

いち早く寄ってきたのは、美作さん。

「お疲れさん。」

そういって、あたしの頭をポンポン。

もう。子供じゃないんだから。

「ん?これじゃもう、満足しないか?」
「え?」
「わかった。今度からは別の方法で。」

「あらら。つくしちゃん、地雷踏んでない?」
「そうかな?」
「うん。牧野。踏んでるよ。」
「…。」

いつもの口ぶりで話すのが、楽しい。

「そうだな。やっと、牧野のひとりごとが
聞けたよ。」

あたしは、顔が赤くなる。
覗き込んでいる、美作さんの顔。

美作さんの後ろから、二人の運転手さんが
やってくる。

「牧野様。お荷物を。」

あたしは、素直に手渡した。

「お願いします。」
「はい。」

それをきっかけに、みんな立ち上がる。
あたしは、みんなと一緒に仕事場を後にした。
女将さんが、微笑んで、見ていてくれる。

今日は、先に、美作さんが車に乗り込んで、
あたしは、窓を開けて、女将さんに頭を下げる。

「気をつけて。」
「はい。ありがとうございました。」

車は、静かに出発した。
ふいに、後ろを振り返ると、
そこには、一緒に働いた同僚たちが、
見送っていてくれていた。

ありがとうございましたという気持ちを込めて、
あたしは、頭を下げた。
横から、手が伸びてきて、頭をポンポンとされる。

「皆から離れる時間が必要だった?」
「うん…。」

「そうそう。つくしちゃん。」
「何?西門さん。」
「俺らがあきらんちにつく頃、司がNYから着くってよ。」
「へ?」
「居てもたってもいられなかったらしいぞ。」
「仕事を無理やり絡めて、ジェット飛ばしたみたいだよ」
「ってことで、これから家に直行だから。」
「もしかして、パーティってこと?。」

肩をすくめる皆を見て、あたしは、盛大なため息を付いた。





皆から離れる時間。第3話。

2013-01-06 12:36:50 | 皆から離れる休みの時間。
寒い冬が続いていますが、
調子崩していませんか?

私は昨日、ちょっとお買い物しました。
なーに、高いものではありません。
白いポンチョを買いました。
ポンポンが3つついてて、とても、
キュートなポンチョです。

おうちでも、ちょっとお買い物の時でも、
使えそうです♪





それでは、いつものようにいつもの言葉を。









相変わらずの、
妄想なあたしの世界です。
妄想な世界なんて、と思う方は、
お読みになりませんように。


そして、
クレーム、苦情、ツッコミなどは、
ご遠慮下さいませ。

お互いに、
いい気分にはなりませんし、
私も凹みますから。。。
ご勘弁下さいませ。








----------------------------------------









皆から離れる時間。 第3話 スイーツで幸せを。









女将さんと、部屋を回って挨拶して、
一息いれようと、厨房へ戻ってきた時のこと。

スイーツのパティシエさん達が、
厳しい顔をして、言い合っている。

「俺たちだけじゃ無理だろ。」
「でも、穴開けるわけにはいかない。」
「そうだけれど!」

女将さんは、どうしようかと思案顔。
私は、ジィとみつめて、大きなため息をついた。

「女将さん。あたし。抜けますけどいいですか?」
「え?」
「あたし、お菓子ならなんとかなると思うんです。」
「どういうこと?」

かいつまんで、話すと、女将さんが頷いた。

「女将さん、パーティの規模は?」
「10人のスイーツパーティ。」
「客層はどんな方達で?」
「女性6人。男性4人。みんな、
スイーツが好きでたまらない人たち。」
「予約時間は。。。」
「明日の15時よ。」
「わかりました。」

言い合っている3人のパティシエさん達に向かって、
パンパン!と手をたたいて、こちらを向かせた。

「なんですか?」
「私が、指示します。」
「君は、菓子作りはしろうとだろう?」

私は、ニヤリと笑う。

「こう見えても、とある企業のカフェの
毎月の試作会議に駆り出されてる身なんですよ。」
みなさんは、基本的なこと用意して。
それから、紙ありますか?
あたし、洋服に着替えてきますから、その間に、
皆さんのパティシエに許可を貰っていた
お菓子の名前と割り当てられていた、
仕事を書いておいて下さい。」

「女将さん。」
「はい。」
「あたし、こちらにかかりきりになります。」
「わかってるわ。」

「でも、仏国のお客様がみえられたら、
遠慮せずに呼んで下さい。」
「そうしてもらえると、助かります。」

「それから、バラとかすみ草。それから、
パステルカラーのお花を手に入れて下さい。
テーブルに飾り付けますので。」
「わかりました。すぐに届けて貰います。」

「じゃ。ちょっと部屋に行ってきます。」

あたしは、部屋に戻り、着替えてから、
エプロンをして、髪の毛を整えて、
そしてバンダナを持って、厨房に戻る。


*******


戻って、一旦集まってもらう。
紙をしばし見て、指示を出す。
「大谷さん。」
「はい。」
「チーズケーキとババロアお願いします。」

「佐藤さん。」
「はい。」
「ガレットとクッキー。それから、ブールドネージュ
シュークリーム。お願いします。」

「小宮山さん。」
「はい。」
「チョコレートケーキ。ロールケーキ。それから、
飲み物の準備をお願いします。」

「みなさん、オーブンに入れましたら、
ゼリー類を手分けしてお願いします。」

「私は、ケーキ数種。タルト類。
カップケーキも作りますので。
じゃ。みなさん、何かありましたら、
声をかけて下さい。」

「「「わかりました。」」」


あたしは、バンダナで髪を包み込み。
丁寧に、手を洗ってから、はじめる。
あたしが慣れた様子で、作っていくものだから、
一時、みんなの手が止まっていた。

振り返って、ニッコリ笑って言う。

「こっち見てないで、手を動かして?」

3人は、ワタワタして、作業に戻った。

スポンジケーキ6個分の材料を、
機械に入れて、混ぜあわせ、
型に入れていく。
オーブンに入れると、次は、
飾り付けのフルーツをカットしていく。
それから、生クリームも泡立てておく。

ちょうど、タルト生地が焼きあがった時、
女将さんからあと20分で、フランス人の
グループが到着しますとの、
連絡が入った。

「皆さん、すみません。
接客で、30分。抜けます。
冷まして置いてるので、戻ったら続きします。」
「みなさんは、みんなの分担のモノを、
しっかり作って下さい。あと、お願いします。」

そういって、あたしは、女将さんの支度部屋へ
飛び込んで、着物に着替えてきた。


*******


「ようこそ、おいで下さいました。」

まずは、日本式にお出迎えする。
しっかり顔を確認して、かえってくる
言葉を待つ。
情報通り、仏語が返って来た。

あたしの頭の中が、仏語に切り替わる。
自分でも、スラスラとでてくる仏語に驚きつつ
(もちろんおくびにも出さず)応対した。

「あなた、仏語上手ね。」
「留学していたの?」
「いえ。日本で習いました。」
「そうなの。とてもいいわ。」
「そして、何よりも助かりました。
ありがとう。」
「どういたしまして。」

ちょうど30分後。
あたしは、厨房に戻った。

スポンジケーキはタルト生地は、
ちょうど冷めて、あたしを待っている。
カスタードクリームと生クリームを用意して、
フルーツをカットしていく。
苺とモモ。パイナップルに。色々なフルーツ。

出来上がった順番に冷蔵庫へ。
最後に出来上がったのは、フルーツタルト
だった。良し!出来上がり。

類が好きな、フルーツタルト。
良く、作ったなぁ。
いつの間にやら、手を止めて、
皆が、拍手を送ってくれた。

「驚きました。」
「手際が良くて。」
「美味しそうで。」
「試食してみます?」
「是非、食べてみたいです。」

みんなで食べようと思って、作っておいた、
ショートケーキを、とりわけて、
そして、あたしが紅茶を煎れる。
あ。ACパークスのアッサム。
ムシューは、ちゃんと紅茶を知ってる
んだなぁ。

じゃ。おつかれさま。
と言いあって、ケーキを口に運ぶ。
皆が顔をびっくりさせている。


「どうしたの?」

「「「この味って…。」」」

「あら。ばれちゃった?
みんな知ってるの?」

「「「バレますって!それから知ってますから。」」」

「ま。そういうことだから、なんとかなったでしょ。」

みんな、うなづくしかない。

「ま。そういうことなので、次はあたしは、
テーブルセッティングしに行ってきます。」

「お。お願いします。
あの、見せていただいても?」
「小宮山さん。手伝っていただけるなら、
もっと嬉しいです。」
「もちろんです。」

つくしの手によって、花が形をなし、
花が、仄かな香りを演出して、
テーブルセッティングされていく。
小宮山は、つくしの言うとおりに動き、
手伝ってくれている。
20分ほどで、それは形ができ、あとは、
テーブルにお菓子が乗るばかり。

「よしっ。これで完成。」
「スイーツで、少しでもこの時間の間、
幸せになってもらえたらいいなぁ。」
「はい。そうですね。」

「さて、厨房に戻りましょう。」
「はい。」

厨房に入ると、飲み物類の用意も
できていて、あたしはホッとした。

「もう、任せて、大丈夫ですね。」
「はい。お任せ下さいませ。」

「じゃあ、あたしは、通常業務に戻ります。
何かありましたら、女将さんに連絡下さればと
思います。」
「わかりました。」

「「「ありがとうございました。」」」
「こちらこそ、ご苦労様でした。」

つくしはお辞儀して、厨房を後にした。

あたしは、小股ですたすたと歩く。
通常なお仕事に戻りつつ、考えていた。

今回、お手伝いできたのも…。
夢子さんとお菓子作りしてたから…。
あたし。。。ホント、皆に助けられているなぁ。



クリスマスローズ。

2012-12-19 11:02:26 | 皆から離れる休みの時間。
冬に戻りました。。
昨夜は、まあまあ寒くなって、
ポンチョにくるまりましたよ。

昨日は、少しデートしてきました。
本屋さんや。雑貨屋さん。デパート、
CD屋さんをみて、楽しかったです。
街中にでたの、久々だったもので。








それでは、いつものようにいつもの言葉を。








相変わらずの、
妄想なあたしの世界です。
妄想な世界なんて、と思う方は、
お読みになりませんように。


そして、
クレーム、苦情、ツッコミなどは、
ご遠慮下さいませ。

お互いに、
いい気分にはなりませんし、
私も凹みますから。。。
ご勘弁下さいませ。








----------------------------------------







クリスマスローズ~私の不安を救い給え。








あたしは…、信じてる。
大丈夫!

テレビで流れている情報は、嘘だよね?
お願い、私の不安を救って。

朝から、外に出ようにも、足が動かない。
運良く買い出ししたばかりだし。
3~4日我慢すればいい。

そう考えていた所、聞き慣れた携帯音がする。
そう…。彼からの電話。

「はい。」
「牧野?」

いつもより硬い声。

「あたしは大丈夫だから。」
「俺が心配なんだ。」

そうだった。そういう人だったよね。

細かく言わなくとも、あたしたちはいつもそう。
お互いに言いたいことが、分かってしまう。

「あと、15分で、小林が迎えに行くから、
用意しておいて。」
「はい…。」
「珍しい。素直だな?」
「何よ。どんな状況か、わかっているからじゃない。」
「うん。そうだったな。」
「美作さんが、謝ることじゃないでしょ。」
「うん。そうだけどさ…。」

「朝から、携帯鳴りっぱなしでしょ?」
「牧野もか?」
「うん。起きたら、すごかったよ。みんな心配
してくれているんだろうけど。」
「ああ。そうだな。」

フッと笑った感じがして、あたしはやっと、
ホッとした。

「じゃああとでな。」
「うん。あとでね。」

あたしは、タンスの中から、大きなボストンバックを
取り出して、中に身の回りのものを詰めていった。
冷蔵庫の中のものも、極力冷凍庫にしまってしまう。
やっと手が止まった所で、玄関チャイムが鳴った。

「はい。」
「小林です。」
「すぐに出れます。」

戸締りをして、あたしは、ハンドバックとボストンバックを
てにとって、ドアへ一歩踏み出した。

ドアをあけつつ、あたしは背をピンと伸ばす。
階段下のところには、カメラを持ったマスコミがいて、
そのマスコミが、美作のボディーガードさんたちが、
抑えていた。

やっぱりね。と思っていると、スッと小林さんが、
ボストンバックをあたしから、取り上げる。

「ありがとう。」
「いえ。」

鍵を閉めて、あたしは、急ぎ足で降りていって、
車に乗った。

車の中で、小林から封筒を渡される。

「?」
「今回の事の報告書です。つくし様にも、
見ていただいた方が、対処しやすいと思いまして。」
「ありがとう。読ませてもらいます。」

10分ほど掛けて、あたしは報告書を読み終えた。
肩から力を抜くと、小林が声を掛けてくる。

「ご納得、なさいましたでしょうか。」
「ええ。大丈夫です。私の不安も救われました。
でも…、ここ何件か強引な気がします。」
「私も、そう思います。つくし様。」
「はい。」

少しの沈黙の後、小林は話しだす。

「そろそろ、ご覚悟をなされたほうがよろしいかと。」
「覚悟?」
「あきら様とご一緒になる、ご覚悟を。」

そう言われて、あたしは一瞬、何のこと?と
思ったけれど、そのあと何のことか分かって、
ポンと顔を赤らめた。

「そうだよね。決めないと、皆が迷惑してしまうよね。」
「迷惑ではありませんが、時が来たのではないかと
思われます。あきら様も、そろそろ、限界な
ようですので。」
「分かったわ。ありがとう。」

あたしは、美作の門をくぐる時、覚悟を決めた。
あたしの不安を救ってくれるのは、美作さんしか
いない。今までもこれからも。だから覚悟を決める。

車から降りるとすぐ、あたしはすぐさま、
あきらに抱きしめられた。

「ごめん。不安にさせたよな?」
「大丈夫。美作さんのこと、信じているから。」
「ありがとう。ここ数回、強引になってるからな。
俺も、そろそろ、覚悟を決めなきゃと思ってる。」
「それは、あたしに対して?」
「もちろん。他に、誰が居るっていうんだ?」

はっと気づいた時には、美作の皆が、目をキラキラさせて
手を握りしめて、あたし達の様子を伺っていた。

「あ…。」
「今頃気づいたか、続きは部屋にいってからな。」

「あら。ふたりとも、続きは見せてくれないの?」
「おふくろ。ここからは有料だよ。」
「あらあら。」

あたしは、慌てて、挨拶をする。
夢子さんが、ほんわかと笑う。

「時間はたっぷりあるのだもの。ごゆっくり」

夢子さんは、そう言いおいて家の中へと戻って
いった。

「さあ。俺たちも部屋へ行こう。」
「うん。」

促されて、歩き出した二人。
あきらが、思い出した様に言う。

「そうそう。部屋、改装したんだ。」
「え?どんな風に?」
「もう、ベットは1つでいいだろ?」
「へ?」

クスクス。

「見てのお楽しみだよ。」

つくしから、ひゃー!と悲鳴が上がるのは、
このあと、すぐのこと。
リビングで、夢子さんが、喜んでくれた
みたいねと微笑むのも、もうすぐのこと。

皆から離れる時間。 第2話 抹茶ミルクが味方なの。

2012-12-12 10:57:20 | 皆から離れる休みの時間。
なんだか、今年の冬は寒いです。
冬になると思いだす曲があります。
それは、広瀬香美さんのロマンスの神様と
カズンの冬のファンタジーです。

昔、スキーをしに行った時に、
スキー場でエンドレスで流れていたからw
懐かしい思い出です。



そういえば、あらあら。
間違えて、3つ個別の話を載せてからの
2話目の更新になりましたね。
ごめんなさい。







それでは、いつものようにいつもの言葉を。








相変わらずの、
妄想なあたしの世界です。
妄想な世界なんて、と思う方は、
お読みになりませんように。


そして、
クレーム、苦情、ツッコミなどは、
ご遠慮下さいませ。

お互いに、
いい気分にはなりませんし、
私も凹みますから。。。
ご勘弁下さいませ。












--------------------------------------------







皆から離れる時間。 第2話 抹茶ミルクが味方なの。








ここに来て、3日目。

あたしは、忙しい日々を送っていた。
お茶を立てるのが終わると、女将さんについて、
常連さんの部屋へ、あいさつ回り。

そのあとは、私はなぜか、
生花を活け替えることを、していた。

抹茶ミルク。
美味しい飲み物だけれど、
あれはね。。。
類は、抹茶が苦手で、よりにもよって、
西門さんの抹茶に、ミルク入れて、
飲むのが好きなのよね。。。(苦笑)

お茶を立てる合間に、そんなことを
考えていた。

ある時、異国からのお客様がいらした。
幼稚園位のお子様も連れていらっしゃる。
このホテルでは、お子様にも積極的に、
抹茶をお出しするのだが、その子は、
抹茶を相当苦く感じたらしく、
泣きだしてしまった。

女将さんも、ちょっと動揺を隠せない。
あたしは、そんな時、スッと立ち上がって、
その子の前に膝をついた。

着物のあたしが、前に膝を付いてきた
ものだから、その男の子は、びっくりして
泣き止んでいる。
あたしは、英語で、話しかける。

「苦かった?」

その子は、素直に頷いた。

私は、その子のそばにいた女性にも話しかける。

「お子様は、ミルクとお砂糖は大丈夫でしょうか。」
「大丈夫だけれど。。。でも、抹茶は苦いからこそ
ではなくて?」
「苦いこそだからですが、その前に、お子様に、
抹茶を好きになって欲しいのです。」

あたしは、背筋を伸ばして、女性に言い切った。
女性は、あたしに微笑んでくれる。
私は、男の子の頭に優しく手を置いて、
それから、立ち上がって、女将さんにお願いした。

「すいません。大きめのグラスと小さめのグラス2つ。
牛乳。それから、お砂糖の用意をお願いします。」
「わかったわ。」

女将さんは、すぐに指示をして、微笑む。

あたしは、席に戻り、すぐに抹茶を立てた。
時良く、あたしのもとにはさっきの3点が、
届いていて、抹茶ミルクを作りだす。

お盆に乗せて、さっきの男の子の元へ。

「大丈夫だから、飲んでみて。」

微笑んで、男の子にグラスを渡す。
そして、そばにいた男の子の両親へ渡すのは、
女将さんが引き受けてくれた。

男の子はこわごわとグラスを口に運ぶ。
一口飲んで、その子の顔がニッコリと笑った。

「美味しい。抹茶をキライにならないですんだよ。」
「良かった。」

あたしも笑って、ほほ笑み返す。
スッと立ち上がり、男の子の両親に言う。

どうか、休暇をごるゆりとお過ごし下さいませ。

そして、スッとお辞儀をすると、
あたしは、お茶の席へと戻った。

あたしは…。
類やみんなを避けて、ここへ来たけれど。。

近くに居なくても尚、皆があたしを、
助けてくれて、味方をしてくれてる。
みんなの顔を見たい。話をしたい。
でも、それは。。。。あと少し休憩。。


*******


生けたお花とあたしの煎れるお茶が、
とても好評だということを、
女将さんから知らされて、とても気分も良い。
女将さんも喜んでくれている。

あたしは、みんなに支えられていることを、
実感する。
茶道の合間をぬって、西門さんのお母さんに、
お呼ばれした時に、教えて頂いていたことが、
役にたつなんて思ってもいなかった。




アイリス。

2012-12-09 12:01:05 | 皆から離れる休みの時間。
実に、冬らしいお天気で。
キーボードを打っていると、
手がかじかんでくるという。。。
時たま、手をコシコシしながら、
打ってます。はい。





それでは、いつものようにいつもの言葉を。








相変わらずの、
妄想なあたしの世界です。
妄想な世界なんて、と思う方は、
お読みになりませんように。


そして、
クレーム、苦情、ツッコミなどは、
ご遠慮下さいませ。

お互いに、
いい気分にはなりませんし、
私も凹みますから。。。
ご勘弁下さいませ。






----------------------------------------







アイリス~あなたを大切にします。







君は、僕にとって特別で。


君の1本筋の通った姿が、
僕らに近寄ってくる人達より
輝いて見えて、
俺らを叱ってくれる君に、
妙に感心したんだ。
だって、今まで注意してくれる人
なんて、いなかったから。


だから、俺は君を大切にしたい。
そう思ったんだ。
この芯のある瞳。
おさげにした黒髪を守りたいと思った。


色々と世話を焼こうとすると、


「あんたたち!世話女房?
いいかげんにして。」


パーティーにつれていけば、
分かる人には、分かるんだろう。
褒められる事が多い。


この間なんて、俺が挨拶している間に、
いつの間にか世界有数の企業の会長と
親しそうに話していて、びっくりした。


あとで、どうしたんだと聞くと?
ジョンさんが寄ってきた。と言うんだ。
その後、目の前に取り出したのは、名刺。
俺はさらに、びっくるする。
だって、牧野が持っていたそれは…。
プライベート用の名刺だったから。
あの人が、つくしに興味を持った。
それは、当たり前って言ったら当たり前か。
俺らが惹かれるつくしなんだから…。


ジョンさん。NYに遊びにおいでって。
と、無邪気に言う君が、俺は、
俺らよりも、俺らの知る誰よりも、
大物だと本当に思った。


あと2週間で夏休みのある日。
牧野とラウンジで会うことになった。
着くと、何やら書かれた紙と封筒を持って、
それを見つめるつくしがいた。


待たせたな?
と言いながら近づくと、やっと牧野の表情がほぐれた。


話を聞くと、パーティで言われた通り、
ジョンさんから遊びにおいでという手紙と共に、
チケットが送られてきたそうだ。


俺は、牧野に言う。


「折角の好意。受け取ったらどうかと思うよ?」
「でも…。」


今度は、後ろから類の声がする。


「俺が一緒に行こうか?」
「花沢類。」
「類。家と一緒で休めないだろう?」
「…。」


チッという顔をする類に苦笑する。


「大切な子には旅をさせろって言うしな?」
「何かちょっと違うんじゃない?」
「まあまあ。俺らの英語に引けをとらないし、
大丈夫だと思うよ?いっておいでよ。」


牧野も、2人がそう言ってくれるならと、
夏休みに入るとすぐ、NYに旅立っていくことになった。


空港まで、類と俺は、牧野を見送りに行った。
類の携帯が鳴り、窓際に移動して出ている間に、
俺は、牧野に近づいて、耳の側で行った。


「牧野を大切に思うからこそ、NY行きを
薦めたんだ。楽しんで。」


その言葉に、つくしはポッとなって頷いた。


「何、内緒話してるの?」


後ろから類。
俺は、クスリと笑って、牧野から離れた。


「そろそろ、時間だ。」


牧野を見送ってる時に、類が天使の微笑みを
浮かべて言う。


「心配な癖に。」


俺は、ちらりと見て、言い返す。


「類。お前もだろ?」


「ふん。」


今頃、飛行機の中に入ってびっくりしてるだろう
牧野の事を思い浮かべて、ふるりと笑った。


「何?」
「いや。チケット、ファーストクラスだったんだ。」
「あー。。牧野が想像できるね。」


そう言いあって、二人は、窓から見える飛び立った
飛行機を見ながら、ラウンジをあとにする。