里山人雑記

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2019夏 南の島うろうろ -14-

2019年10月31日 22時20分47秒 | 2019夏 南の島うろうろ
南の島の回想です。
ここにいる生物たちは、どの種もユニークで興味深く、魅力あふれるものたちばかり。
私にとって、その中でも特に際立つ存在がイシカワガエル。
前回滞在時は見れずじまい。しかし今回は、ありがたいことに初めて観察することができました。

アマミイシカワガエル Odorrana splendidaです。
「日本一美しいカエル」と呼ばれるその姿。この目で見た最初の印象は、「美しい」と言うよりただただ「すごい…」そんな感じでした。
緻密な凹凸に、この色、この模様。神々しさを感じるほどでした。
すごいなぁ、こんな生物がいるんだなぁ…と生物への興味が深まり、その世界に引き込まれていった頃の気持ちを思い出しながらの観察でした。
何だろうこのワクワク。楽しいのか、嬉しいのか、好奇心をそそられているのか、もうわけがわかりません。
実物の持つ力ってすごいですね。

それからこの個体、掌くらいの大きさがありました。
大きいでしょう??
たしかに図鑑には、そのくらいの大きさにはなり得るといった表記があります。しかし、図鑑で眺めていた限りでは、イマイチ実感がわかなかった。
実物を見て驚き。でかっ。えっこんなでかいの!?
↑掌くらいと書きましたが、もちろん指一本触れていません。オットンのときにも書きましたが、天然記念物である本種には、指一本触れただけでお縄です。

さて他に観てほしいポイントは、目。特に金色の虹彩です。
あとは指先の吸盤の部分。これまで、このブログでもいくつかのカエルの仲間を紹介してきましたが、吸盤がついているものは少なかったですよね。
それから鼻先についている何かの虫。これは足が外に開いているので、クモの仲間…ですか??
そういえば、ここで見たカエルの仲間、けっこうトビムシが乗ってるような気がしました。
まあ、地面にいるので、トビムシの仲間が体表に乗っちゃうのは当然かもしれませんが…
ちなみに、ここまで見えたのは、マクロレンズを使ったからこそ。それだけではなく、手持ちでボディ内深度合成もできちゃうわけだから、細部がくっきり見えて楽しいです。
これも、M1mark2に60マクロで手持ちボディ内深度合成。このように、図鑑写真的に撮るのにもぴったりです。

今日は行動について書く時間がありませんでした。また別の機会に。


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どうしても、移動は車になってしまいます。
しかし、南の島の夜の路上は、生き物であふれているのが常。
そのため、ロードキルも絶えないようです。
路上や路肩に目を凝らし、とにかく注意してゆっくりゆっくり移動。
路上に生き物が多くいる場所では、車を停めて、外に出て、一旦生き物たちには移動してもらってから通行するなど、距離の長短に関わらず、とても気を遣ったし、とても時間がかかりました。
あとは車のライト。悩ましい…

2019夏 南の島うろうろ -13-

2019年10月30日 21時30分56秒 | 2019夏 南の島うろうろ
南の島の回想に戻ります。
今日の主役は、現地に到着し、レンタカーを借りた後すぐに海辺の崖上で発見した蝶。

アオタテハモドキ Junonia orithya です。
左翅の先から右翅の先までがだいたい5cm?いやそれ未満?といったような大きさ。けっこう小さめなんです。
あまりに美しいので、1時間まではいかないまでも、けっこうな時間観察していました。
明るい青から、沈み込むような濃く暗い青へのグラデーション。引き込まれるようでした。

タテハチョウ科なだけあって、飛び方はキビキビしていました。アカタテハやルリタテハなどのようなイメージ。
ササっと飛んでどこかに止まり、時折翅をパタパタ開閉。日が当たるところによく止まっているような気がしました。

冒頭で書いたように、ここ、崖の上の吹き曝し。
海風がずっと吹いていました。翅、傷まないのかな…


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南の島、最高ですよね。右を向いても左を向いても、普段観察できない生き物だらけ。
次回のこのシリーズ『2019夏 南の島うろうろ』では、その筆頭が登場予定。
お楽しみに。

囚われのガマ

2019年10月29日 20時54分37秒 | Field Note<観察>
実は、いつもワクワクしながら覗いている貯水槽があります。
壁は高く、見たところ、水面までの高低差が身長分くらい??
さて、ちょいちょい覗いてみる理由は…

↑外に出られなくなってしまった(?) ニホンヒキガエル Bufo japonicus がいるからです。

って、おぉい!?
え?後ろの個体、抱き着いてますよね?
え?繁殖期には…遅くない?? こんなもんですか??

つかまるところがなくて、とりあえずしがみついたのか、はたまた包接のつもりなのか…
謎は深まるばかり。

文献文献。

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カエルの仲間って、全部が全部、垂直な壁をペタペタ登れるわけではないんです。
たしかに、アマガエルの仲間などは指先に吸盤があるので、材質次第では登ることができます。
しかし、アカガエルの仲間やこのヒキガエルの仲間などは、吸盤を持ちません。
したがって彼らは、側面コンクリの水路などにも囚われてしまい、復帰できず死んでしまうこともあるのです。

ふう。しかし興味深い。
また見に行こう。

コカマキリ

2019年10月28日 22時47分59秒 | Field Note<観察>
とあるカフェ裏。
視線を感じ顔を上げると…

↑そこにはコカマキリ Statilia maculata 。
「コ」とつきますが「子」じゃないです「成虫」です。あくまで「小」。
この個体、カマを閉じているので、前足(腿節)の裏側が見えませんね。
コカマキリは、ここに目立つ模様が入っていることで識別するのですが…
でも、角度を変えると、それらしき模様が一部だけ見えました。ということで、コカマキリで良い…ですよね??

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最近、カマキリの仲間をしょっちゅう見かけます。
それも、たいてい水路などの水に近いアスファルト上。
え?もしかして…操られてる??
偶然か否か、気になるところです。

食べるクロツラ

2019年10月27日 23時06分29秒 | Field Note<観察>
帰りに寄った水辺で、クロツラヘラサギを見つけました。
この鳥、ここでは通常、冬に渡って来て春まで過ごす鳥、いわゆる冬鳥です。

↑はい、改めまして、クロツラヘラサギ Platalea minor です。
これはちょうど、捕らえた食べ物を放り投げ、飲み込む瞬間です。
投げ上げられた食べ物は、嘴の間に浮いている、小さな白い点みたいなやつです。
画質が苦しすぎますが、拡大してみますと…

↑エビでした。種類はわかりませんが、体が半透明のエビの仲間です。
スジエビモドキとかその辺の何かじゃないかな…と勝手に想像してます。
ところでこの鳥の採餌法(餌の捕り方)、ご存知ですか?
サギという名前がついているため、「狙いを定めてからシュッ!と首を伸ばして捕食!」な採餌法を想像してしまいそうですが、実は全く違います。
その様子が以下。

↑半開きにした嘴を水中に差し込み、首を左に…

↑右に振り振りします。
つまり、「狙いを定めて…」ではなく、「当てずっぽうにひたすら振り回し、触れたものを捕食!」という採餌法なのです。
実は、嘴の骨格を見てみると(以前博物館で見せて頂きました)、辺縁部にたくさんの神経孔(神経が通っていた穴)と思しき穴が空いています。
これが意味するところは…と、データも取ってないのにこれ以上書くと「嘘」になりかねないので、やめときます。
個人の想像の域に収める分にはかまいませんが、それらしく因果関係や要因の考察をするのであれば、最低でもデータ取っとかなきゃいけませんよね。もしくは文献。

↑ところで、「クロツラヘラサギ」という和名、「顔が黒くて、嘴がヘラ状の、サギみたいな鳥」を意味しているようです。
英語ではもっとわかりやすいです。Black-faced spoon bill。「サギ」が取れただけですね。
あ、そうそう、クロツラはサギの仲間ではありません。どっちかと言うとトキに近い仲間…だったかな?

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クロツラヘラサギって、実は世界的な絶滅危惧種なのです。
地球上に、現在たったの約3500~4000個体。
一昔前はもっと少なかったのですが、関係各所の懸命な取り組みによってここまで回復してきているそうです。
それでも少ないことには変わりありませんが…

2019夏 南の島うろうろ -12-

2019年10月26日 21時46分26秒 | 2019夏 南の島うろうろ
今日は、南の島の回想へ。
おだてられて木に登るのは、何もサルやブタだけではありません。
今回木に登ったのは、トカゲ。

オキナワキノボリトカゲ Japalura polygonata polygonata です。
ちょっと見てくださいこの写真。この、かっこいいボデェー(裏声)。
首のトゲトゲ、目立つうろこ、細マッチョな上腕…これぜーんぶまとめて、キノボリトカゲなんです(裏声)。
はい、某通販チックな台詞回しはこの辺にして、観察したときの様子などを少々。

キノボリトカゲは、名前の通り、空間を縦横無尽に移動することができます。
要は、平面をx, yとすれば、樹木を登ることでz軸方向にも移動できるというわけです。
私たちの生活する空間は3次元。基本的に、物体の位置はx, y, zで表現できます。

さてこのトカゲ、当然、木の周辺でたびたび観察できました。
木と言っても、生木だけではなく、倒木や切り株にもいました。
ぴょんぴょん跳ぶもの、駆けあがるもの、様々でした。木の登り方はしっかりしていて、角度の大小に関わらず、しっかりと木を掴んでいる様子でした。
よく見ると、手足や指(?)がニホントカゲなどと比べて長めのような気も。興味深い。

尚、冒頭で何やら書きましたが、"おだてられたから木に登れるようになった"可能性は極めて低いでしょう。
誤解があるといけないので…


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あ、そうそう、おだてられて木に登ったサルとブタでは、その質が異なりますよね。
できる範囲のことを得意げにやってみせただけの者と、自他ともにできないと思われていたことをやってのけてしまった者。
おだてるってのは、しょうもない結果だけでなく、ときに思いがけない結果も生み得るものなんでしょうね(笑)

2019 GWの回想 -8-

2019年10月25日 15時12分53秒 | 2019 GWの回想
今日はGW、ボルネオ旅の回想です。
証拠写真程度の写真しかないのが残念なところですが、今日はこの生き物を。

ミュラーテナガザル ( Muler's Bornean Gibbon ) Hylobates muelleri です。
通称ギボン(英名ですが…)。
小規模な群れで行動しながら、時折、「ホーーォッ、ホーーォッ、ホーォッ、ホーォッ、ホオォッホォッホォッ……………」と美しく大きな声を張り上げる。
遠くの森まで、また遠くの森から響き渡るその声は、とても印象的でした。
朝の静かな靄の中、急に響きだすその声。思い出すたびに、また行きたくなるものです。

さて、ギボンは、名前の通り腕が長く、ぶらーん、ぶらーん…と、体を振り子のように振って樹上を移動していました。
この独特な動きは、今回の旅で観察できた他の霊長類では、ほとんど確認できませんでした。なんともユニークな霊長類。ボルネオの大きな魅力の1つですね。
ちなみに、IUCNのレッドでのカテゴリーはEN、すなわち絶滅危惧ⅠB類。
ボルネオに固有でかつ世界的な絶滅危惧種でもあります。

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やはり雨が多かったんですよね。
もっとじっくり観察&撮影したかった…
これでも十分贅沢ではありますが…笑

2019夏 南の島うろうろ -11-

2019年10月24日 22時50分34秒 | 2019夏 南の島うろうろ
今日の回想は南の島へ。
縦横無尽ですね。いえ、縦を緯度、横を経度で表すならば、ほぼ縦だけでした(笑)
それにしても、興味深い生き物に次々出遭える旅、良いもんです。
ひっそり観察、そっと立ち去る。そんな旅です。

アマミハナサキガエル Odorrana amamiensis 
あぁー…何とも言えないこの良さ。カエル、良い。言葉を失います。
アマミハナサキガエルには、背中が緑がかった個体と、茶色いこんな感じの個体の2型があります。緑のは、前回訪れたときに撮っていたはずなので、探してみます。
ちなみにこの種は、RDBカテゴリーがVU、すなわち絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。もちろん固有種。
連日大きなカエルに出会えて最高ですね。残すは……と、それはまた今度。

尚、この島には全部で9種類(?)のカエルが生息していたはず。
カエルの楽園ですね。ん?いや百田さんじゃないですよ。リアル・カエルの楽園です。
この島への旅は2度目ですが、今回までに8種類観察できました。大きくないけど、ハロウェルなんかも…最高(笑)

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久しぶりに、EOS Kiss x6iを持ち出して撮影しました。
学生だったときに、初めて買ったデジイチ。手に馴染みます。

2019 GWの回想 -7-

2019年10月23日 22時21分04秒 | 2019 GWの回想
久しぶりにGWの回想に戻ります。
ついに登場!
THEサイチョウではないサイチョウです。ちなみにサイチョウというのは、嘴の上部に、何やら不思議な構造がついた鳥。
これがサイの角のようなので、サイチョウ(サイ+鳥(ちょう))という名前のようです。
さて、サイチョウといっても様々。いくつか前の回想で扱ったサイチョウとの違いなど、見比べながら楽しんでください。

キタカササギサイチョウ oriental pied hornbill ( Anthracoceros albirostris )
えーっと、和名はこれで良いんですよね?
向こうでは英語で呼ぶことがほとんどだったので、和名自信なくて…