里山人雑記

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尺超えの…

2022年07月02日 12時15分25秒 | Field Note<観察>
とある生物の調査を終えたちょうどその頃、視界に入ってきたのがこの魚。

ハス Opsariichthys uncirostris
でけぇぇー…目測ですが、体調はおそらく尺(約30cm)超え。ハスはたしかにオイカワなどと比べれば大型になりますが、30cm超の個体を水上から見たのは久しぶり。
そこまで自信はありませんが、40cmに迫るか超えるくらいのサイズでは?という感じもしました。そこらのニゴイよりでかかったし…

オイカワ Zacco platypus
周辺にはオイカワも泳いでいました。婚姻色が出ていますね。
ちなみにこの中心付近に写っている個体は、背びれの少し後ろ側にえぐれたような傷が見えます。
サギ類などの鳥類に襲われたか、魚食性の魚類に襲われたか、釣られたときに怪我をしたかのどれかでしょう。
傷の形からすると、嘴の形に見えなくもないので、鳥に襲われた説が濃厚かな…?

↑それにしてもかっこいいハス。水上からはいまいちわかりにくいかもしれませんが、口の形が特徴的で素敵なお魚なんです。
とはいえこのハスも、もともとは琵琶湖水系あたりを原産とする魚ですが、数種の魚種の放流に混入して全国に広がってしまった種とされています。
このような経緯で移入した種を、国内外来種とも呼びます。

もともとそこにいない種の移入は、国内にもともといた種であっても、在来の種や生態系に影響を及ぼす可能性が否めないため可能な限り避けなければなりません。
また、「近所のA川でとった魚をB川に逃がす」のもNGです。仮にその魚がA川にもB川にも生息しているものだったとしてもです。
というのが、河川の淡水域では、大規模な洪水や流路変更でもない限り、基本的に近隣の河川の魚が行き来することはありません(例外はある)。そのため同種であっても、遺伝的に河川ごとの独自の変異を生じている場合があり、人為的に混ぜてしまうことはその遺伝的な多様性(←生物多様性を構成する一要素)を低下させる恐れがあるからです。他にも細々した理由はありますが。
それから、「生物多様性を低下させることがなぜまずいのか」という話についてはここでは割愛しますが、ものすごく雑にまとめると「今は生物多様性を保っておいた方が、私たちヒトにとっての利益(お金、資源、災害抑止機能等)を最大化できそうだから」と言えるでしょう。

もちろん、専門家でもない私たちが、すでに移入してしまった種に対してできることなど大してありはしないでしょう。しかし、
「生き物を捕まえたり観察したり食べたり飼育したりして楽しむのは良いけれど、他の場所には持って行かない」
これを徹底するだけでも、生物多様性の保全には大きく貢献できるはず。観察会では、背景も含めてもう少し頑張って伝えたいところです。

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在来か否かに関わらず、魚類にも魅力的で素敵な種がたくさんいますよね。
私も幼少の頃からいろいろな魚を捕まえたり釣ったり食べたり飼育したりして生きて来たので、魚の魅力には未だにとりつかれている一人です。
観察会では飼育についての質問がよく出ますが、飼育する場合は最後まで飼育する、飼育水や容器内のあらゆるものの扱い(捨て方など)に気をつけるなど十分に調べて知って注意して、楽しいお魚ライフを送っていきたいですね。
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2 コメント

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Unknown (杉浦@熊大理)
2022-12-15 11:05:41
こんにちは。先日の中間発表会の嶋永先生のコメントが頭にあったので、いちおう連絡。
nature trip@奄美大島というブログで、ササゴイが採餌している記事がありました。南西諸島で適切な場所がみつかれば、越冬地でどんな採餌法をとっているか調べることができるかもしれませんね。・・・まあ、なかなか休みもとれないでしょうし、難しいと思うけど。・・・ではでは。
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Unknown (okamoto)
2022-12-18 17:58:28
>>杉浦先生
情報をありがとうございました。メールの方に返信しております。ご確認のほどよろしくお願いいたします。
返信する

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