里山人雑記

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クロツラヘラサギとのかかわり

2015年11月20日 00時29分42秒 | 生き物の話いろいろ
韓国で5月に開かれたクロツラヘラサギ保全に関わるワークショップに参加して以来、私の中でもクロツラヘラサギへの関心が高まり、その後もいくつかのイベントに参加しました。今回は、5月の韓国におけるクロツラヘラサギの様子と、その後参加したイベントについてほんのちょっとだけ書きます。あ、写真は最後のパンフレットのもの以外すべて5月に韓国で撮影したものです。
クロツラヘラサギってどんな鳥でしょう(ご存知の方もたくさんいらっしゃいますよね)。まずはさらっとお話しします!

クロツラヘラサギ Platalea minorです。
まずくちばしに注目してください。"ヘラ"のような形をしていますよね。ちなみに英語ではspoon(スプーン)と表現されています。そして次の写真でおわかりかと思いますが、サギのような姿をしています。さらに、目の周り、顔面の部分が黒く囲まれていますよね。ということで"クロツラ"。つまり、クロいツラしたヘラのようなくちばしをもつサギです。英語でも同じような感じ、「Black-faced spoonbill」です。
このクロツラヘラサギ、実は現在地球上におよそ3,300羽しかおらず、日本にはそのうち370羽ほどが冬の間飛来します。たくさんの関係者の涙ぐましい努力の甲斐あって、これでも30年前と比べてめちゃめちゃ増えた方なんです。ただし、増え方がまずまずであっても、なぜ増えることができたのかなどなどその要因をしっかり見つめてみなければなりません。増えた要因が脆いものに起因するのであれば、到底安心はできませんよね(他にもいろいろな議論、問題提起があります)。
ちなみに夏は、繁殖のため、中国や韓国などの沿岸部に移動する、アジア地域の水辺(主に沿岸部)を生活の場とする渡り鳥です。

↑餌をとる動作もおもしろいです。くちばしを水中に差し込み、そのまま頭を左右に振りながら歩きます。そして、くちばしに触れた餌(魚など)を捕まえて食べます。今回訪れた場所(韓国、繁殖期)では、観察したすべての個体が、海ではなく水田で採餌をしていました。冬の日本では干潟など海沿いでの採餌が多いのに、どうしてでしょう。まあおそらく……いやなんでもないです証拠が必要です(笑)

↑休憩中。繁殖期の羽(繁殖羽)には、首の周りの黄色い色、頭のてっぺんの冠羽が目立ちます。通常、日本で見られる越冬個体に、ここまでの色付きや冠羽は見られないですよね。ところで右側の2個体をご覧ください。ヘラのようなくちばしで上手に羽繕いしていますよね?またおもしろい話がですね、クロツラはよく他個体の羽繕いをするんです。雛の羽繕いも。これはあとに書く佐賀でのイベントの際にとある方からお聞きした話なんですが、親鳥はしょっちゅう雛の羽の手入れをしていて、雛の羽はふっさふさふわっふわなんだそうです。あのお話めちゃめちゃおもしろかったなぁ…笑 詳細は書くと長くなるので、もし興味があれば私に直接会った時にでもお尋ねください(笑)

↑これは人工島に集団で営巣し繁殖している場所です。このような島などで、流木などに木の枝をひっかけて組み、巣をつくります。
そしてお気づきかもしれませんが、この人工島の背後に車が見えますよね。そうです、背後には道路が走っています。それだけではなく……

↑この人工島、なんとこんな場所に位置しています。なんと開発中の都市のど真ん中。この人工島の来歴を話すと長くなるので割愛しますが、もとの用途とは別に、クロツラヘラサギによる集団繁殖を誘引できるよう手を加えたのがこの人工島なんです。そのためこういう場所に位置してしまっているんです。実は今、この人工島の真横に下水処理施設が拡張される計画も持ち上がったりしているそうです。クロツラヘラサギの個体数増加に大きく貢献してきた場所なだけあって、今後の動向が懸念されます。

↑当然ですが、雛がいました。わかりますか?くちばしの長さが明らかに短いのがこの写真中にもいます。かわいかったです。
動画をお見せできないのが残念です(笑)

↑さてさて話は日本に戻ります。
夏にもあったのですが、この写真中にあるパンフレットは、11月7日、11月8日に開催されたクロツラヘラサギ関連のイベントのものです。
11月7日は熊本県八代市、11月8日は佐賀県鹿島市で開かれました。題目は、"日韓交流クロツラヘラサギワークショップin八代(または鹿島) クロツラヘラサギが結ぶ日韓交流「ようこそ八代(または鹿島)へ!アジアのともだちクロツラヘラサギ」"です。配布された"クロツラヘラサギ大辞典"もパンフレットも、それぞれ八代バージョンと鹿島バージョンが準備されていて、細かいところまで手が加えてあって素晴らしかったです。
内容は…………と、また記事2つ分くらいじゃおさまらなくなってしまいそうなので、いずれ別の記事として書きます(たぶん)。

話は若干ずれますが、鹿島市の肥前鹿島干潟は今年2015年にラムサール条約登録湿地となり、生き物や人に関わる活動がさらにさらに活発になっているようでした。佐賀県、鹿島市の方々の取り組みは素晴らしく、ほんとに感動です。
クロツラヘラサギは、韓国の熱い人たちとだけでなく、佐賀の熱い人たちともつながらせてくれました。


いやー、久しぶりに書きました。相変わらずの喋り口調の文章ですが、書くのってやっぱり疲れますね。
更新が滞っていながらもちょくちょく覗いてくださっている皆様、ありがとうございます。
コメント
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