里山人雑記

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少し前、寒空のツチイナゴ

2024年04月05日 03時15分48秒 | Field Note<観察>
まだ寒い日の方が多かった頃の3月。
親族の家を訪ねた際に、駐車した車の横で目についた。昔から、地と図は得意で、目が勝手に見つけてくれる。

ツチイナゴ Patanga japonica
ツチイナゴは、成虫越冬する昆虫。成虫越冬とはその名の通り、成虫のまま越冬することを指す。昆虫は、種類によって冬を越す状態が異なる。例外なくそうというわけではないが、例えばカブトムシは幼虫の姿で冬を過ごすし、カマキリの仲間は卵で過ごすし…という感じ。

この日見たツチイナゴは、かなり風当たりの強いところにいた。夕方頃だったこともあり、風を防いでくれるような上着がないとかなり寒かった。前日は暖かかったから、このツチイナゴもおそらく活動を再開してここに移動して来たのだろう。

あのあとどうなったかな。もう大丈夫かな。

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

煌めく目、燻銀の嘴

2024年03月30日 21時50分16秒 | Field Note<観察>
あのブローチを頂いて以来、カラスの羽衣の美しさを撮り留めたいと考えているけれど、良いシーンを探す時間をつくれていない。今回の写真もそれを伝えられるような写真ではまったくないが、カラスの良さがちょっとは伝わるかな?と思ってアップしてみる。

ハシボソガラス Corvus corone
何かこう、心が弾むような緑が見え始めた幹に、夕方、ハシボソガラスが止まっていた。繁殖を控えた時期のためか、特定の範囲に執着するようにして行動していた。ピリピリした雰囲気ではなかったが、営巣場所を大方絞り込み、その近辺の様子をチェックしていたのかもしれない。

ここで印象に残ったのは、研ぎ澄まされた金属のような質感を見せる嘴、そして顔から少し飛び出して煌めく目だ。

拡大するとこんな感じ。伝わるかな。
真っ黒い鳥という印象が先行しがちなためか、輪郭から内側の部位をじっくり観察するような人にはあまり出会ったことがない(研究者は除く)。
煌めく目、光沢を伴う嘴、そしてその形、嘴の横に生えるヒゲのような羽毛、他1枚1枚の羽毛…観れば観るほどその存在が魅力的に思えるこの鳥を、もう少し多くの人に、もうちょっとだけよく見てもらえたら嬉しいなと思ったりする、ここ15,6年である。長いな。

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

存在感

2024年03月29日 22時13分25秒 | Field Note<観察>
帰宅途中に立ち寄った水辺。
傾いた太陽から放たれる日差しが水面に反射し、強烈な光となっていた。
目的は他にあったが、その光に溶けていくオオバンたちが印象的で、それらをじっと眺めていた。こういう鳥の見方は久しくしていなかったように思う。
ふと目を近くに向けると、そこには大きな鳥がいた。アオサギだった。

アオサギ Ardea cinerea
アオサギはこちらに気づいていない様子だった。ある瞬間、そのアオサギは音もなく大きく口を開いた。
ペリットー魚の骨など未消化のものの塊-を吐き出すような動作ではなかったし、声を上げたわけでもなかった。威嚇する対象も周囲に見られなかったため、もしかしたらあくびだったのかもしれない。
唐突だったため慌ててシャッターを切ったが、一番大きく開いたところには若干間に合わなかった。こういうとこだよね…

野外で1人で鳥を観察したのは極めて久しぶりだったこともあり、この瞬間から光ではなくアオサギの存在感に引き込まれた。
写真は撮り損ねたものの、私はあくまで観察者だと思いなおす。いい瞬間が見られてよかった。
遠くには顔が真っ白くなったとてもかっこいいカワウがいた。次はスコープ担いで、あのカワウも観察したいな。

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

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生き物の写真の撮影には肩ひじ張ってしまう状態が続いていました。
頭の中にチェックリストがあって、ファインダーをのぞきながら1つずつチェックをつけていき、最後にシャッターを押す感じ。
そして似たような写真、おもしろい!すごい!撮りたい!観たい!伝えたい!という思いの乗らない写真を積み上げていました。
最近、スナップを始めたことで、少し昔に戻った気がします。
今日からは、写真のできは置いといて、何かしら思いの乗った写真をアップできるようにしたいなと思いました。おしまい。

時間

2024年03月21日 02時46分49秒 | Field Note<観察>
スマホのストレージがいっぱいになったため、外部ストレージの容量を512GBに変更。
最近はmicoSDの使えるスマホが減っているようで、先行きが不安だ。便利なんだけどな…
ついでにデータを整理していたら、こんな写真が出てきた。

アオサギ Ardea cinerea
2022年冬の写真。そういえばこの日は、ある調査で海に出ていたんだったっけ。欲しかったものは得られなかったな…
写真は記憶を蘇らせる。調査の内容も経緯も思い出せた。写真は私にとっての日記。

―帰港する船から見えた風景に、夕焼けの海辺に静かに佇むアオサギがいた。
夜間も活動するアオサギにとっては、ここからの時間もまた彼らの時間。

帰る私たちとは対照的な存在。立ち位置、見え方、事実の多面性…何事もそうか。
昔からいろいろ考える。頭の休め方がわからない。
もう遅い。布団に入ろう。明日は仕事だ。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

ぼーっとして見えた

2023年07月16日 23時33分16秒 | Field Note<観察>
巷ではアオサギらしき何かをキービジュアルとした映画が話題となっているようです。
そちらを意識してというわけではまったくありませんが、今日はこの鳥を。

アオサギ Ardea cinerea
こちらには気づいた素振りも見せず、目の前をゆっくりゆらゆら飛んで行ったアオサギです。写真だけ見ると、ぼーっとして飛んでいるように見えなくもない。
ところで、水面付近を飛ぶ大きな鳥の翼下面には、時折きらきらとした水面の反射が映って美しいんです。このアオサギの場合も、写真左側の翼下面に、そんなきらきらが少し映っていますよね。
写真的にはイマイチですが、そのきらきらを見ていただきたかったので今日はこの写真にしました。
日差しの強い夏の日は、翼に映るきらきらが見れるかも。いろいろな場所でいろいろな鳥を観察してみてください。

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野鳥写真家 菅原貴徳さんの声掛けで、グループ展に写真1点を出展する運びとなりました。ありがたや。
ご案内は近日中に。

雨に佇む

2023年06月28日 19時30分00秒 | Field Note<観察>
ご無沙汰しております。今週からしばらくは、週1程度の更新頻度で書いていきますね。
相変わらず、観察&撮影のためにフィールドに出ることはほとんどなく、慌ただしい日常を送っておりますが、先日の仕事帰りの雨の中、ちょっとだけ水辺に足を運んできました。
雨の日は人がいないし、鳥たちの普段とは異なる振る舞いも観察でき、個人的にはとても好きな天気です。特に、それなりの雨の日なんかナイスですね。
さて、そんな中、観察できた鳥のひとつがこの方。

ササゴイ Butorides striata
他個体とのテリトリー争いを見せたり、魚の捕食にチャレンジしたりする合間に、時折こうやって静かに立っている時間がありました。
辺りには雨の音だけが響き、鳥は静かに佇む。こちらもただ静かに草陰に座り、雨を浴びながら観察と撮影を続ける。仕事帰りに一息ついて、心身共に切り替えるには、とても良い時間となりました。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

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機材はずぶ濡れだったけど、防滴やはり強力ですね。これだからOMはやめられない(笑)

うろうろクイナ

2023年03月13日 00時10分01秒 | Field Note<観察>
昨年以降、仕事以外で鳥の観察や撮影に出る機会をほとんどつくれず、相変わらず悶々とする日々です。しばらくは、数少ない鳥見の機会に観察できた鳥たちについて書いたりしましょうか。

今日は今冬、とあるフィールドでじっくり観察できたクイナを。

クイナ Rallus aquaticus
全長は約30cmあたりの数字で書かれることの多いこの鳥ですが、実物はずいぶん小さく見えます。それも当然、このときも写真のような姿勢で歩き回っていて、採餌の瞬間などにちょこちょこ首を伸ばす程度。全長というのは、鳥の首を伸ばした状態でかつ背中の一直線上に首の線が来るようにして計測するものですからね。

さてこのクイナ、基本的には水辺の草地などで生活しており、観察するのがどちらかといえば難しい鳥かと思います。しかし雨の日や早朝、夕方などには草地の外に出ている場面をよく見る印象なので、観察したければそんなタイミングが良いのかもしれません。この日も、退勤後の寄り道で、日没直前の時間帯。こちらが石になっていたこともありますが、こちらを気にすることなく近辺で採餌しながらうろうろしてくれました。けっこう好きな鳥なので、この鳥が周囲をうろうろしてくれるのは嬉しいですね。とはいえ、つけていたレンズが300mm(m4/3なので換算600mm)だったため、引きの画は撮れず。引きも欲しかったけど、日没前の暗さでこれだけ撮れたらとりあえずはOK?今後は40-150も持ち歩くようにしましょ…

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
F4.0, 1/400, ISO1250

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白レンズが…欲しい……
現場で使ってみないと踏み切れないけど、使ってみたら使ってみたで買わなきゃ気が済まなくなるんだろうなと…
お金ないけど…貯めるけど……5年くらいかかりそ。

HAPPY NEW YEAR. 2023

2023年01月03日 22時33分30秒 | Field Note<観察>
あけましておめでとうございます。早いもので、もう2023年。
このブログももうじき11年になります。
みなさま、昨年もたくさん見に来てくださってありがとうございました。
実は昨年、研究に未練があり、社会人学生として大学院に再入院(笑)しました。晴れて社会人Dです。
生物への関わり方も含めて少し動きのある年でしたが、仕事も私生活も忙しくなり、ほとんど動けず仕舞いでした。
やることやらんとまずいですほんとに。
ブログの方も更新頻度を少し上げたいところ。

今年最初の鳥撮りは…

アオサギ Ardea cinerea
初詣に行った先で見たアオサギです。通りがかりに一瞬カメラを出すことができました良かった。
風になびく冠羽に、羽繕いで舞った羽毛…アオサギかっこいいですね。
OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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Instagram, Twitter共に更新中です。たまーに見てください。
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alone

2022年12月18日 22時24分32秒 | Field Note<観察>
大変ご無沙汰しております。ちょくちょく見に来てくださっている皆様ありがとうございます。
さて最近は、職場でも家でも、そして寝ても覚めても仕事の日々で、ブログを触る時間も全く作れず仕舞いで。
家庭のことにも研究にもまともに時間を割けない現状にさすがに嫌気が差しますね…ダーマ神殿に直行ですハイ。
と、愚痴はほどほどにして本題へ。

コハクチョウ Cygnus columbianus
ある日、別件で訪れた九州のとある耕作地(海辺ではない)。ちょっとだけ横道に入ってみると、白い大きな塊が。サギにしちゃ首が太いなと思って見てみると、首が余ってない方のハクチョウ、コハクチョウでした。姿が似ているオオハクチョウとは、一般的には嘴の模様などを参考に見分けるんだと思いますが、オオハクチョウは少し首が長すぎる感じ、コハクチョウはちょうど良いか短い程度と、嘴以外にも参考になるポイントがいくつかあります。

↑主に落穂を食べているようで、時折嘴の端から穂がのぞいていました。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

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予約購入までしたOM-1もほとんど使う時間を作れず、残念な状況です。
その状況を変え得る現実的な策は現状2つ。どっちを取るか悩むところです。はぁ…

尺超えの…

2022年07月02日 12時15分25秒 | Field Note<観察>
とある生物の調査を終えたちょうどその頃、視界に入ってきたのがこの魚。

ハス Opsariichthys uncirostris
でけぇぇー…目測ですが、体調はおそらく尺(約30cm)超え。ハスはたしかにオイカワなどと比べれば大型になりますが、30cm超の個体を水上から見たのは久しぶり。
そこまで自信はありませんが、40cmに迫るか超えるくらいのサイズでは?という感じもしました。そこらのニゴイよりでかかったし…

オイカワ Zacco platypus
周辺にはオイカワも泳いでいました。婚姻色が出ていますね。
ちなみにこの中心付近に写っている個体は、背びれの少し後ろ側にえぐれたような傷が見えます。
サギ類などの鳥類に襲われたか、魚食性の魚類に襲われたか、釣られたときに怪我をしたかのどれかでしょう。
傷の形からすると、嘴の形に見えなくもないので、鳥に襲われた説が濃厚かな…?

↑それにしてもかっこいいハス。水上からはいまいちわかりにくいかもしれませんが、口の形が特徴的で素敵なお魚なんです。
とはいえこのハスも、もともとは琵琶湖水系あたりを原産とする魚ですが、数種の魚種の放流に混入して全国に広がってしまった種とされています。
このような経緯で移入した種を、国内外来種とも呼びます。

もともとそこにいない種の移入は、国内にもともといた種であっても、在来の種や生態系に影響を及ぼす可能性が否めないため可能な限り避けなければなりません。
また、「近所のA川でとった魚をB川に逃がす」のもNGです。仮にその魚がA川にもB川にも生息しているものだったとしてもです。
というのが、河川の淡水域では、大規模な洪水や流路変更でもない限り、基本的に近隣の河川の魚が行き来することはありません(例外はある)。そのため同種であっても、遺伝的に河川ごとの独自の変異を生じている場合があり、人為的に混ぜてしまうことはその遺伝的な多様性(←生物多様性を構成する一要素)を低下させる恐れがあるからです。他にも細々した理由はありますが。
それから、「生物多様性を低下させることがなぜまずいのか」という話についてはここでは割愛しますが、ものすごく雑にまとめると「今は生物多様性を保っておいた方が、私たちヒトにとっての利益(お金、資源、災害抑止機能等)を最大化できそうだから」と言えるでしょう。

もちろん、専門家でもない私たちが、すでに移入してしまった種に対してできることなど大してありはしないでしょう。しかし、
「生き物を捕まえたり観察したり食べたり飼育したりして楽しむのは良いけれど、他の場所には持って行かない」
これを徹底するだけでも、生物多様性の保全には大きく貢献できるはず。観察会では、背景も含めてもう少し頑張って伝えたいところです。

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在来か否かに関わらず、魚類にも魅力的で素敵な種がたくさんいますよね。
私も幼少の頃からいろいろな魚を捕まえたり釣ったり食べたり飼育したりして生きて来たので、魚の魅力には未だにとりつかれている一人です。
観察会では飼育についての質問がよく出ますが、飼育する場合は最後まで飼育する、飼育水や容器内のあらゆるものの扱い(捨て方など)に気をつけるなど十分に調べて知って注意して、楽しいお魚ライフを送っていきたいですね。