里山人雑記

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ツバメについてちょっと小話…

2016年05月31日 15時56分07秒 | 生き物の話いろいろ
皆様ご存知の通り、ツバメは、夏に南方(東南アジアなど)から日本に渡来する渡り鳥です。

↑喉の赤色と長い尾羽、白いお腹が特徴的ですね(すみません、手元にいい写真なくて喉見えませんね…)。
夏に渡ってくるということは、繁殖(というか子育てに必要な十分な量の食べ物)が目的なわけです。
主に人家の軒先など、"屋根がある&巣の材料(主に泥)がくっつく壁がある&人がいる"場所に巣をかけます。
さてこのツバメ、いくつか言い伝えがあることも皆さんご存知かと思います。
たとえば、「ツバメが低く飛ぶと天気が崩れる」「ツバメが巣をかけると商売繁盛」などです。今日は、その話をちょっとしてみようかと思います。

まずは、「ツバメが低く飛ぶと天気が崩れる」についてです。

これを考える上では、まず、ツバメが空中を飛んでいる小さな虫を、空中で捕まえて食べていることを知っておく必要があります。
と、皆さんもご存知かもしれない"有名な説"をまとめてあるページがあるので、時間のある方はそちらもご覧ください( http://www.kodomonokagaku.com/hatena/?4d2ca72e65630f28342fefdf0a990a49 )
まあ、簡潔に書くと、"低気圧が近づく→湿度が上がる→小さな虫の羽に湿気がつく→小さな虫の羽が重くなる→小さな虫の飛ぶ高度が下がる→ツバメはその虫を食べるために低い高度を飛ぶようになる"ということです。
個人的にはこの一般的な説、ツバメが食べる虫のうち、湿気の影響だけで飛行高度が変化するものがどれほどいるのか説明されていない点や、気圧や風等他の気象条件度外視なので?マークですけど…

次は、「ツバメが巣をかけると商売繁盛」についてです。

"これは根拠ないだろー"と思われそうですが、個人的にはこっちの方がよっぽどわかりやすいような気がします(あくまで私見です"気がします"です)。
なぜかというと…
ツバメは、人のすぐそばに巣をかけて子育てすることで、天敵に襲われるリスクを回避していると考えられています。
実際に、空き家などの人が住んでいない住宅には、あまり巣をかけないようです。つまり、ツバメが巣をかける場所は人の往来が絶えない場所。ということで、これが転じて、商売繁盛の証となったのではないでしょうか。人の往来が絶えない商店、それはおそらく、繁盛している場所、またはこれから繁盛する場所でしょう(例外あり)
ちなみに写真は、熊本の山都町の通潤酒造さんで撮影したツバメの巣。このすぐ隣には、下に板を据えられている巣もありました。通潤酒造さんは、ツバメの巣を落とさずに大事に見守っておられて、素晴らしいと思いました。
昨今、人に巣を落とされる例も昔と比べて増えているらしく、ツバメ受難の時代となってきています。優しく見守っていらっしゃる場所を見ると、いつも素晴らしいなと思います。

と、まあ、ツバメ小話でした。
生きものに関する言い伝えは、まったく根拠のないものもままある一方で、根拠があるもの(または"ありそう"なもの)もけっこうあります。
特に、ツバメのような人との関わりの深い生きものは、いろいろな人が頻繁に目にすることもあり、思いのほか理にかなった言い伝えが多いかもしれません。

身近なもので気になるものがあれば、専門家のっ方に尋ねてみるとおもしろいかもしれませんね。

5/29(日) 熊日朝刊15面

2016年05月29日 09時36分59秒 | 生き物の話いろいろ
おはようございます。
今日(5/29(日))の熊本日日新聞朝刊、15面に、ツバメの話題が掲載されています。「KUMATOMO Sunday」のコーナーの、「自然の中の生き物たち」という特集です。
短い文章ですのでぜひご覧ください。

この「自然の中の生き物たち」は、月1回掲載の特集で、自然観察指導員 熊本県連絡会「自然観察くまもと」が担当させていただいています。
ちなみに今回は、カモの回と水生昆虫の回に続き、私が書かせていただきました(笑)

(  ̄ー ̄)。o O (分類上ツバメではないけれど、ヒメアマツバメについても書きたかったんです(笑) でも字数的に厳しかったです。ツバメについても、天敵のカラスの影響が相当でかいってことも書きたかったんです!でもやっぱり字数的に厳しく、書けませんでした。カラスについては中途半端に書くと誤解を生むので...それから越冬ツバメのことも、ツバメの全国調査のことも...笑 そのうち記事とは関係なくブログにも何かしら書こうかと思います。)

クロツラヘラサギとのかかわり

2015年11月20日 00時29分42秒 | 生き物の話いろいろ
韓国で5月に開かれたクロツラヘラサギ保全に関わるワークショップに参加して以来、私の中でもクロツラヘラサギへの関心が高まり、その後もいくつかのイベントに参加しました。今回は、5月の韓国におけるクロツラヘラサギの様子と、その後参加したイベントについてほんのちょっとだけ書きます。あ、写真は最後のパンフレットのもの以外すべて5月に韓国で撮影したものです。
クロツラヘラサギってどんな鳥でしょう(ご存知の方もたくさんいらっしゃいますよね)。まずはさらっとお話しします!

クロツラヘラサギ Platalea minorです。
まずくちばしに注目してください。"ヘラ"のような形をしていますよね。ちなみに英語ではspoon(スプーン)と表現されています。そして次の写真でおわかりかと思いますが、サギのような姿をしています。さらに、目の周り、顔面の部分が黒く囲まれていますよね。ということで"クロツラ"。つまり、クロいツラしたヘラのようなくちばしをもつサギです。英語でも同じような感じ、「Black-faced spoonbill」です。
このクロツラヘラサギ、実は現在地球上におよそ3,300羽しかおらず、日本にはそのうち370羽ほどが冬の間飛来します。たくさんの関係者の涙ぐましい努力の甲斐あって、これでも30年前と比べてめちゃめちゃ増えた方なんです。ただし、増え方がまずまずであっても、なぜ増えることができたのかなどなどその要因をしっかり見つめてみなければなりません。増えた要因が脆いものに起因するのであれば、到底安心はできませんよね(他にもいろいろな議論、問題提起があります)。
ちなみに夏は、繁殖のため、中国や韓国などの沿岸部に移動する、アジア地域の水辺(主に沿岸部)を生活の場とする渡り鳥です。

↑餌をとる動作もおもしろいです。くちばしを水中に差し込み、そのまま頭を左右に振りながら歩きます。そして、くちばしに触れた餌(魚など)を捕まえて食べます。今回訪れた場所(韓国、繁殖期)では、観察したすべての個体が、海ではなく水田で採餌をしていました。冬の日本では干潟など海沿いでの採餌が多いのに、どうしてでしょう。まあおそらく……いやなんでもないです証拠が必要です(笑)

↑休憩中。繁殖期の羽(繁殖羽)には、首の周りの黄色い色、頭のてっぺんの冠羽が目立ちます。通常、日本で見られる越冬個体に、ここまでの色付きや冠羽は見られないですよね。ところで右側の2個体をご覧ください。ヘラのようなくちばしで上手に羽繕いしていますよね?またおもしろい話がですね、クロツラはよく他個体の羽繕いをするんです。雛の羽繕いも。これはあとに書く佐賀でのイベントの際にとある方からお聞きした話なんですが、親鳥はしょっちゅう雛の羽の手入れをしていて、雛の羽はふっさふさふわっふわなんだそうです。あのお話めちゃめちゃおもしろかったなぁ…笑 詳細は書くと長くなるので、もし興味があれば私に直接会った時にでもお尋ねください(笑)

↑これは人工島に集団で営巣し繁殖している場所です。このような島などで、流木などに木の枝をひっかけて組み、巣をつくります。
そしてお気づきかもしれませんが、この人工島の背後に車が見えますよね。そうです、背後には道路が走っています。それだけではなく……

↑この人工島、なんとこんな場所に位置しています。なんと開発中の都市のど真ん中。この人工島の来歴を話すと長くなるので割愛しますが、もとの用途とは別に、クロツラヘラサギによる集団繁殖を誘引できるよう手を加えたのがこの人工島なんです。そのためこういう場所に位置してしまっているんです。実は今、この人工島の真横に下水処理施設が拡張される計画も持ち上がったりしているそうです。クロツラヘラサギの個体数増加に大きく貢献してきた場所なだけあって、今後の動向が懸念されます。

↑当然ですが、雛がいました。わかりますか?くちばしの長さが明らかに短いのがこの写真中にもいます。かわいかったです。
動画をお見せできないのが残念です(笑)

↑さてさて話は日本に戻ります。
夏にもあったのですが、この写真中にあるパンフレットは、11月7日、11月8日に開催されたクロツラヘラサギ関連のイベントのものです。
11月7日は熊本県八代市、11月8日は佐賀県鹿島市で開かれました。題目は、"日韓交流クロツラヘラサギワークショップin八代(または鹿島) クロツラヘラサギが結ぶ日韓交流「ようこそ八代(または鹿島)へ!アジアのともだちクロツラヘラサギ」"です。配布された"クロツラヘラサギ大辞典"もパンフレットも、それぞれ八代バージョンと鹿島バージョンが準備されていて、細かいところまで手が加えてあって素晴らしかったです。
内容は…………と、また記事2つ分くらいじゃおさまらなくなってしまいそうなので、いずれ別の記事として書きます(たぶん)。

話は若干ずれますが、鹿島市の肥前鹿島干潟は今年2015年にラムサール条約登録湿地となり、生き物や人に関わる活動がさらにさらに活発になっているようでした。佐賀県、鹿島市の方々の取り組みは素晴らしく、ほんとに感動です。
クロツラヘラサギは、韓国の熱い人たちとだけでなく、佐賀の熱い人たちともつながらせてくれました。


いやー、久しぶりに書きました。相変わらずの喋り口調の文章ですが、書くのってやっぱり疲れますね。
更新が滞っていながらもちょくちょく覗いてくださっている皆様、ありがとうございます。

サワガニそっくり…

2012年02月26日 15時21分40秒 | 生き物の話いろいろ
またもらいものですけど↓↓

サワガニ Geothelphusa dehaaniです…じゃなくてサワガニそっくりのストラップです。
本物そっくりでびっくりしました。もうほんと、DA型の特徴をかなりしっかり押さえてあるんですよー。
こんなリアルなやつがあるんですね。
あ、DA型ってのは、"暗色型"とか"褐色型"とでも言えばいいですかねー。ちょっと表現が難しいです。ということで、ちょっとだけ説明を↓↓
サワガニには、かなりおおまかにですが、主に赤っぽい色をしている"赤色型"、青白っぽい"青色型"、茶色っぽい"暗色型"の3タイプがあります。
このブログでは、これらをそれぞれ、RED(赤)の頭2文字をとって"RE型"、BLUE(青)の頭2文字をとって"BL型"、DARK(暗)の頭2文字をとって"DA型"と言っています。高校時代に生物部で研究をやってから、こう呼ぶようになりました。
自分が高校で生物部に入っていた時には、そのときの先輩方が中心になって、"サワガニの体色変異について"というテーマで研究をされていたんです。
概要が" ここ "にあるのでぜひ見てください!!まぁ、このページはあくまでこの研究の一端にすぎません。ほんとに内容の濃い研究だったんですよー。
先輩方すごかったです。もちろん顧問の先生も!!
さて、話を戻します。青色もいるんですよねー。上のリンクから入ったページのトップの写真がそうです。熊本では、天草などの地域に分布しています。
江津湖にはREとDAがいますよー。もし行った時は探してみてください♪♪

↑裏返すと、こんな感じです。腹部が狭いタイプだってことがわかりますよね。つまり、このモデルはオスってことです。
あ、このとき言ってる腹部ってのは下の写真の赤く囲ったところです。

ここが大きく広がっていると、メスなんです。この腹部で卵を抱え、孵化後、稚ガニ(幼生)がある程度成長するまで保護するんです。
このように、サワガニは一生淡水ですごすんです。
しかし、多くのカニの仲間などは孵化後、プランクトンとなって海まで下り、ある程度成長すると川を上って戻ってくるんです。いわゆる、"両側回遊"ってタイプです。興味をもたれた方は、いろいろ調べてみてください♪

にしてもよくできてますねー…
ただ、ハサミの裏側の色がちょっと気になります。もうちょっと違う感じがするんですけどねー(笑)
なんつって…