里山人雑記

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淡水魚 まずはこの図鑑から?

2022年06月27日 22時45分09秒 | 里山人の書籍紹介
近年は、鳥の観察会よりも、魚の観察会で講師をすることが多くなりました。
身近な存在であると同時に、水上から観察しても、水中から観察しても、捕まえても飼育しても食べても楽しい魚類というのは、ものすごく魅力的な生き物ですよね。
今回は、そんな魚類、特に淡水域で生活する魚類の名前をささっと調べるのに便利でかつ他と比較すればそこそこ安価、そして入門向きの1冊をご紹介します。

↑ 斉藤憲治・内山りゅう著. 『くらべてわかる 淡水魚』 山と渓谷社. 2015
販売価格は税込み¥1,760。これを高価と捉えるか安価と捉えるかは人によるかもしれませんが、私の場合は、「このクオリティでこの価格ならナイスじゃない !?」という感じ。
そして大きさはB5版。ものさしで測ってみると、‎縦が26cmくらい、 幅は18cmくらい、厚みは1cm少し超えるくらいでした。野外に持って行くにはすこし大きい気もしますが、厚みが1cmちょっとで、表紙はくるっと曲げられる程度の硬さのため、それほど重くもありません。
中身は出版社「山と渓谷社」さんのサイト( https://www.yamakei.co.jp/products/2814063460.html )で確認できます。
見ていただくとわかるように、種類ごとにページがわけてあるのではなく、全体を通して同じページで複数の種類の識別ポイントを確認しながら見比べられるのは便利ですね。識別ポイントというものは、言い出せばキリがありませんが、特に重要なポイントだけに絞って解説されているのもこの本の良いところ。とくに入門書的なものが欲しい方におすすめしたいです。分厚い図鑑はまだちょっと...家でこどもたちと調べてみたいな...などというシーンにはぴったりかと思います。

もちろん、情報を簡潔にまとめるということは、一部の情報をそぎ落とすということでもありますから、この本で物足りないという方もいらっしゃるとは思います。その場合は、同社の『山溪ハンディ図鑑 増補改訂 日本の淡水魚』などのように図番が多く分厚く詳しい図鑑もありますね。
え…もっとコアな情報が欲しい場合…ですか…?
…であれば、私も大好きな「内山 りゅう・中島 淳著.『日本のドジョウ 形態・生態・文化と図鑑 日本分布の全33種・亜種を網羅した初めての図鑑』山と渓谷社. 2017」( https://www.yamakei.co.jp/products/2815062870.html )や「北村 淳一・内山 りゅう著.『日本のタナゴ 生態・保全・文化と図鑑』山と渓谷社. 2020」( https://www.yamakei.co.jp/products/2820062890.html )などもおすすめしたいところ。
良い書籍に出会って楽しい生き物ライフを送れると良いですね。
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今回は、観察会に参加された保護者の方などに主におすすめしている図鑑を紹介しました。
とはいえ、幸せなことに、日本には生物に関する良い書籍がたくさんあります。それぞれの書籍にそれぞれの良さがあり、他の候補も含めると非常に悩ましいところ。今回は意図せずしてすべて山と渓谷社さんから出版されている書籍のご紹介となりましたが、文一総合出版さんなどを筆頭に、生き物に関する良書を多数出版されているところは複数あります。
お近くにそのような書籍を多く取り扱っているナイスな書店がある方は、店頭で見比べてみるのもおすすめですよ。
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キャッチフレーズが便利な図鑑

2022年03月27日 01時16分44秒 | 里山人の書籍紹介
先日、久しぶりに図鑑を買いました。その図鑑というのは…

↑柴田 佳秀, 菅原 貴徳, piro piro piccolo著. 『散歩道の図鑑 あした出会える野鳥100』 山と渓谷社. 2022

せっかくなので少しだけご紹介。この図鑑のいいなと思ったところをざっくり書いてみます。ちなみに、1〜6の順番には特に意味はありませんし、特に内容を並べ替えてもいないので、読みづらいところはご容赦ください。それではいきましょう。

1. イラストと写真の両方が掲載されており、写真もイラストも紙面に対して大きめです。掲載種を100種に絞ったことで、持ち運びやすさと図版の大きさを両立した感じでしょうか。図鑑選びではよく"写真かイラストか"みたいな議論も聞きますが、本書ではそれぞれの良さが生きています。イラストは特徴をきちっと示しつつもすごくかわいいし、最初のイラスト索引なんてもう素敵。

2.全掲載種に、それぞれの特徴を的確に表現したキャッチフレーズがついています。例を引用すると『駐車場を爆速で走り回る ハクセキレイ(p.64)』といった感じ。本書の目次にはこのようなキャッチフレーズと種名が一緒に書いてあるため、種類によっては目次を見ただけで、"名前のわからなかったあの鳥"の名前が判明してしまう気がします。イラストや写真以外にも、こういった形で種名を検索できる手段があるのは良いですね。

3. 掲載されている情報が本書の目的によく合っています。私も観察会などでガイドをするのですが、そういった場面でよく話すような内容が的確に選ばれている印象です。そのため、各種に関して観察会に参加した程度の知識はバッチリ得られてしまうかも。また、説明文が細切れではないスムーズに読み進められる文章になっており、簡潔にまとめられてもいます。

4. ここもポイントかも。鳥の図鑑の説明文には、それがその種の確からしい事実なのか、個人が見聞きしてきた程度の事実なのか、個人の予想や感想程度のものなのかわからないものもよくあるように感じていました。しかし本書の説明文では、文末によく気を配られている印象で、文章をきちんと読めば、どこまでが事実でどこからが感じ方なのか(個々人の感じ方もしくは個体によってある程度の振れ幅があるものなのか)などもわかるようになっていると思います。

5. おそらくよく考えて写真が選ばれています。全編に渡って、イラストで示されていない角度や姿勢、色などのバリエーションを補足するような写真や、何らかの特徴的な行動をとらえた写真、実際によく目にしそうな風景をとらえた写真が用いられているようです。つまりどの写真も、鳥の姿をただくっきり示すためだけのもので終わっておらず、1枚1枚の写真に意味のある構成になっているように感じました。

6. 思ったよりも小さくて手触りもよく、ふわっと軽く感じる質感でとても良い感じです。大きさはおそらくB40判で、目測では縦が18cm程度、横は10cmちょっと、厚みは2cm程度のようです。重さは測っていないのでわかりませんが、私のスマホよりは軽いような気も。表紙の質感は次の写真のような感じですが、伝わらないかも。

わずかに凹凸のある優しい手触りといった感じ非常に良いです。

以上、ご紹介でしたー。

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ふう。思ったよりも長くなったし読みづらい文章になってしまいましたね。他にもいいところはいくつかあったのですが、書ききれませんでした。良い書籍が世の中に増えるのは良いことですね。今後も楽しみ。
あ、そうそう、この記事では本の帯を取っていますが、帯もこれまた良いんです。出版社のサイトもしくは通販サイト等でご確認くださいませ。
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もはや優良観察マニュアル

2020年07月04日 22時12分47秒 | 里山人の書籍紹介
今日紹介させていただく書籍は、撮影する人はもちろん、鳥を観察したい人に積極的におすすめしたいもの。
最近出版された書籍としてはイチオシの書籍です。
まだ隅々までは読み込めていませんが、内容が実に良かったので早く紹介したくて…
今日はその書籍を紹介させてください。まとまりに欠けるので、書評というよりは簡単な紹介って感じです。
以下、私のやや偏った感想を中心に書いていきます(ちょっと客観性を欠きます笑)。

その書籍というのは、先月末(2020年6月27日)に発売された、菅原貴徳さんの著書「図解でわかる 野鳥撮影 入門」(玄光社)。
菅原さんの著書だったこともありますが、タイトルや事前情報につられてすぐに購入しました。

↑ 菅原貴徳 (著)「図解でわかる 野鳥撮影 入門」(玄光社)。表紙はこんな感じ。
なぜこんな写真にしたかというと、この書籍が、鳥を撮影したい人だけでなく、鳥を観察したい人にも非常におすすめできるものだと感じたからです。
世の中には実に様々な撮影に関する書籍がありますが、この書籍は、私が知る限りでは唯一無二の印象。
まずは書籍をざっくり読んでの結論から。

【結論】鳥の写真を撮る人はもちろん、撮影はしないけど鳥の観察はする人にも積極的におすすめできます。
撮影はしない人にもかなりおすすめできるのが、この書籍を唯一無二と思わせたポイントです。

その理由を以下につらつらと書いていきます。
最初に概要を。
この書籍は、タイトルにもある通り「野鳥撮影」、しかも比較的入門寄りの内容をメインテーマとしたものです。
したがって、当然かもしれませんが、野鳥写真についての話に始まり、撮影機材について、カメラの各種設定について、撮り方について、シチュエーション別の撮影方法について、初心者おすすめの鳥リストに至るまで、初歩的なところから丁寧に優しく説明されています。非常にわかりやすくて、もうこの時点で良い感じ。もちろん、入門編とはいえ、一通り読んで実践して練習すれば、入門から一歩も二歩も先に踏み出せるような良書です。
ただ、ここまでのところだけでは、他にも似たような書籍がありそうな感じがしますよね。(←感じがするだけかも。笑)
私がこの書籍を強力にプッシュしたい理由は、次のところにあります。

それは、鳥のことを第一に書かれている所。
鳥の行動に関することはもちろん、鳥がどんなことを嫌がる(嫌がっていそう)のか、鳥はどんなことなら許容してくれる(許容してくれていそう)のか、どんなシルエットだと鳥がプレッシャーを感じにくいか…等々、もう全編鳥ファーストなんです。その内容が、実に良い。SNSでの情報発信についても言及されています。
もはや、観察のマニュアル。
そう、観察のマニュアル!こんなにとっつきやすいのに、大事なことは網羅されたマニュアル的存在かもしれません。
写真も大きくて綺麗で、眺めてて楽しいし。

私はときどき鳥やいろんな生き物の観察ガイドをしているのですが、書籍の至るところに「うんうん。」「そうだよね。」「そうなんですよそういうこともっと伝えたいんすよ。」と思わせる記述が満載でした。もういっそ、鳥の観察でまず気を付けてほしいことや、観察のコツの入門は、この書籍を読んでもらったら良いんじゃないの…?と思ってしまうほどでした。
鳥を撮りたい方だけでなく、むしろ鳥は撮らないけど観察はする方も、この書籍に書いてあることをちゃんと読んで実践すれば、「鳥を飛ばしてしまった」や「(なぜかわからないが)鳥が遠い」をずいぶん減らせるはずです。裏返しですが、その結果として、鳥の行動もたくさん観察できて、鳥ともいい関係を築けるんじゃないかなーと思いました。

最後に勝手に著者紹介。
著者の菅原貴徳さんは、私と同世代にも関わらず、すでに写真家として生計を立てている方です。
しかし、バードウォッチングに端を発して写真家となられた経緯もあってか、今も尚、観察することをとても大事にされている方。
撮影に出たのに、撮影せずに観察だけして、満足して帰って来られることもあるそうで…笑
だから、書籍の中では鳥のことを第一書かれているのでしょうね。「鳥が無理そうなときは撮影しない」といった旨のことすら書いてありますし。
観察にも撮影にも普及啓発の必要性が叫ばれる昨今、ガイドとしても鳥に関わることのある私としては、こういった姿勢で発信できる方がいらっしゃるのはありがたいことだなーと思います。

そうそう、観察マニュアル的に使ってみようかな?という方は、書籍中の”撮影”を”観察”、”カメラ”を”双眼鏡”または”望遠鏡”に置き換えて読むと良いかと思います。撮影の本とはいえ、そのまま観察のコツに置き換えられる点多しです。

では最後にもう一度結論を。
【結論】鳥の写真を撮る人はもちろん、撮影はしないけど鳥の観察はする人にも積極的におすすめできます。
撮影はしない人にもおすすめできるのがこの書籍の唯一無二なポイント。

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いやほんとに、この書籍、私の知る限りでは唯一無二の良書です。
観察したい人にこそおすすめしたい。
「観察のマニュアル。だけどわかりやすくてとっつきやすい。」みたいな本ってないんですよ正直。そんな本があれば、撮影はしない人にはそっちをおすすめするかと思いますが、そんな本は正直言って、ない。それらしい本はあるけど、内容がイマイチ具体的じゃないか、小難しいんですよね。具体性が乏しいと、このシチュエーションではどうすりゃいいの?がくっきりと見えてこない。
この書籍では、それがずいぶん見えます。
たくさんの人が、こんな書籍を手に取って、鳥のこと、鳥との距離のとりかたを知ってくださったら、世界がもっと平和になるんじゃないかな…笑
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鳥の図鑑をご紹介

2014年09月23日 21時26分23秒 | 里山人の書籍紹介
新しく、"里山人のおすすめ本"というカテゴリーを作成しました!
このカテゴリーでは、今までと趣向を変えて、里山人おすすめの図鑑を紹介していきたいと思います!
紹介する図鑑は、原則として里山人本人が使っている図鑑から選ぶようにしようと思っています。
また、その紹介文は、あくまで私個人の価値観に基づいて記述しますのでご容赦ください。
さて、このカテゴリーで最初にご紹介するのは……
鳥の図鑑です!

↑まずはこの図鑑(今は増補版が販売されています)です。表紙を見てもわかるように、この図鑑では鳥の姿が絵で描かれています。
鳥の図鑑の場合、絵で描かれている図鑑は、種の特徴が写真の図鑑よりもわかりやすく明確に示されている場合が多いため、種の同定を確実に行う上では写真図鑑よりもおすすめです。
なぜなら、写真では、太陽光の具合で体色がかなり違って見えていたり、その種を同定する上で重要なポイントが部分的にはっきりしていない場合などが多いからです。したがって、絵の図鑑は、初心者の方からベテランの方まで広くおすすめできるものなんです!
ちなみにこの図鑑は、日本で見られる野鳥を網羅しており、どこにお住まいの方にもおすすめできる一冊です。多くの方が使われていると思います!
しかし価格について…ぶっちゃけちょっと高いと感じられる方も多くいらっしゃると思います。
そういった方は、ぜひ--こちら--と--こちら--をご覧ください! ここで詳細はご紹介いたしませんが、こちらの図鑑は、収録されている種類数がちょっと少なくはなるものの、比べるとかなり安価で、内容も優れた図鑑です。軽くて見やすく使いやすいです。
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『フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂版』
著者:高野伸二(増補改訂部分 著:安西英明、叶内拓哉、田仲謙介、図版:谷口高司)
価格:3,672円(税込)
リンク:http://www.birdshop.jp/fs/wildbird/books1/gd752
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↑そしてお次は…この図鑑です!表紙を見てもわかる通り、これは写真図鑑です。
写真図鑑のメリットは、羽の質感や枝などへの止まり方、実際の見え方などを捉えやすい点があります。また、具体的に「こうだ!」と説明しづらいようなビミョーなポイント(たとえば、頭と体のちょっとした比率の違い、姿勢の取り方、目の雰囲気などなど…)も実際の姿を写した写真によって雰囲気でも捉えることができるので、その点で絵の図鑑より優れてると言えます。ただし、そういった特徴から、どちらかと言うと初心者の方よりは、ある程度鳥を観ておられる方におすすめかなぁ…と思っています。
ちなみにこの図鑑は、私の地元熊本で見られる鳥をかなり網羅しており、熊本で鳥を観られる方に特におすすめできます。ただ、この図鑑の収録種数は367種と、日本の野鳥のおよそ70%を網羅しているため、ほかの地域にお住まいの方にもだいたいおすすめできる一冊です。それからどうでもいいですけど、私が撮影した写真も複数掲載されています(笑)
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『「くまもとの野鳥」写真図鑑』
発行:日本野鳥の会 熊本県支部
価格:2,160円(税込)
リンク:http://www.birdshop.jp/fs/wildbird/gd2159
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ぶっちゃけ…
絵の図鑑と写真図鑑のコンビネーション(両方持っておく)がベストだと思います(笑)
それに、この記事中でリンクを貼った、安い上に使いやすい絵の図鑑も十分おすすめできます。
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