落合順平 作品集

現代小説の部屋。

北へふたり旅(50) 北へ行こう⑥

2019-11-05 17:21:51 | 現代小説
北へふたり旅(50) 




 なんだかんだで2時間半。
ようやくのことで、3泊4日の旅行日程が完成した。


 函館まで新幹線。
函館から札幌まで片道4時間の特急の旅。
3日間のレンターカがついて、旅の総額は税込み18万円。


 高いか安いか、さっぱりわからない。
生まれてはじめての鉄道旅行。
いままではどこへ行くのも車のハンドルを握り、2人で出かけた。


 居酒屋をはじめる直前。
これから忙しくなるからその前にと、2泊3日の旅に出たことがある。
いまから20年前の話だ。


 行先は能登半島。輪島の朝市と金沢の兼六園が目的だった。
このときも移動に使ったのは乗用車。
しかし歳を重ねてくると車の移動は、身体につらいものがある。


 JTBの窓口で、少しもめた。


 「函館からレンタカーで札幌まで移動する?。
 正気なの、あなた」


 「海沿いをいく高速なら、4時間。
 中山峠を越えていく最短コースは、260㎞あるけど
 空いているから4時間半。
 どちらを行っても4時間以上かかるけどね」


 「おなじ4時間でも電車なら、座っているだけで札幌へ行けるわ。
 あたしは嫌よ。
 ビール片手に駅弁を食べながら、札幌まで優雅にいきたいわ」


 「ビールに駅弁か・・・。
 電車旅ならではの醍醐味だな。確かにそいつは」


 「そう思うでしょ、あなたも」


 「おなじ4時間でも、中身に大きな違いがあるな。
 がんばって運転しょうと考えていたけど、なんだか気持ちが萎えてきた」


 「そう思うでしょあなたも。
 無理することはないわよ。骨休めのための旅行だもの。
 ねぇおねえさん。
 この人の気が変わらないうち、特急列車の座席を取ってください」


 「かしこまりました。
 特急・北斗で、札幌までお2人さまのご予約ですね。
 たしかに受け承りました。うふっ」


 いまはまだ6月。
宿はどちらも確保したが、JRの座席券が買えるのは旅行の一ヶ月前。
旅行代金の一部として手付金を払い、スーパーマーケットをあとにした。


 駐車場まであるいているとき、妻の携帯が鳴った。
ゴルフ仲間。ひとまわり下の美女からだ。
 
 「あなたのお店のコンペ・・・参加するわ。
 夏休み中ですもの。暇はたっぷりあります。
 9月1日の土曜日ね。8月は予定があるけど、9月ならだいじょうぶ。
 参加します2人とも。はい、よろしく」


 9月なら大丈夫よねと、妻が同意をもとめる。
え?。大丈夫ではないだろう。
27日から北海道旅行だ。たったいま決めてきたばかりだ。
戻って来るのは4日後の30日。1日おいて翌日は9月1日。


 旅行から中一日で、ゴルフコンペに参加することになる。


 「あら・・・どうしましょう、あなた・・・
 うっかりしていました、あたしったら。快諾してしまいました。
 いまから断りましょうか。ひとまわりしたの美女に」


 
  
(51)へつづく



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
スーパー北斗 (屋根裏人のワイコマです)
2019-11-05 19:03:24
この電車が、遅いんですよね
何処がスーパーなのか??と思うくらい
でも車で・・なんて発想はしないほうが
ほんと疲れますよ。
キュウリ収穫は今月いっぱい続く
のですね・・お疲れさまです
それだけ採れるということはそれだけ
花が咲く・・それだけの数受粉は
どうしているんでしょうね??まさか
蜂などで・・は無いでしょうから
ゴルフコンペ・・行くでしょう
9月の・・旅行の翌日・・グット
グットですよ。
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初めまして (miyan)
2019-11-07 19:08:54
今日はフォローありがとうございます。

どうぞよろしくお願いいたします。

旅はいいですね。羨ましい限りです。
電車の旅は気楽でいいですよね。
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