君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」二話

2013-01-31 02:18:33 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」二話

 少し離れた場所から二人を見つめる者があった。
 キースとジョミー本人だった。
「あれが、僕たちの心象世界」
「現実じゃない…と…」
「……」
 ジョミーは隣に立つキースを見て静かにうなづいた。
「俺たちは、破滅に向かうと言いたいのか?」
「…違うよ。あの剣は今も二人に刺さっているじゃないか」
 抱き合った二人の姿は消えて、二人の胸には青い剣が血を滴らせながら刺さっている。
「俺たちは死んだのか?」
 信じられない表情のままキースが言った。
「それも、違う。ここもまだ心の世界…。あれが現実になる可能性もあるが…僕が見た以上…そうはならない」
「どこから分岐させたんだ?」
「僕が混乱した辺りで…二人に剣が刺さってる未来が見えたから…」
 と言いながらジョミーは剣を触り、それを消した。
「未来が?では、お前は記憶が戻っているのではないんだな」
「記憶はまだだ…」
 少し冷めた感じの声と同じ空気を漂わせ注意深く周りを視ているジョミーを見てキースは思った。
 未来を見る。
 それはジョミーが日常的にしながらも嫌っている行為だった。
 ここにいる彼は、その事に抵抗を感じつつも使わずにおれない戦士の顔をしていた。
 ここに避暑に来なければならなかった原因はジョミーの記憶が消失したからだった。
 十四年分の記憶。
 敵はそれを彼から奪い、何をさせようとしているのだろう?
「これは…ミュウの仕業なのか?」
「…それ以外に何が考えられるんだ?そして…僕に攻撃できるミュウなんて…彼しか…いない…」
「ジョミー。お前は記憶が無いなら知らないんだ。今は、お前に手を出す事が出来るタイプブルーがもう一人居る」
 
 パリン
 と小さくガラスが割れる音がした。
 ジョミーの顔が苦痛に歪んだ。
「ジョミー。どうした?」
「…そう、そんな事はわかっている。僕も思う…。どうして、僕はこんな愛し方しか出来ないのだろうってね…。好きな人に本当を言わないで、裏切るような行為を平気でしておいて、それでも、愛して欲しいとねだる。そうさ…それは、僕の我がままな甘えでしかない。だけど…」
「……」
 ジョミーが何者かの問いに答えるように話はじめた。
「僕は彼が好きなんだ。それは本当に、本当に好きなんだ。それは感じられる…十四年の記憶?それは…長い年月だ…それだけ過ぎればもういいだろうって?そう言うのか?君が!忘れろと言うのか?…だけど、僕は…まだ忘れられない。貴方を看取っても葬っても、まだダメなんだ!でも、どうしようもなく好きで…でも、それでも、何の記憶も無い。何の経験も思い出も無い状態なのに、彼が好きなんだ。どうして…こんなに…」
 キースにはジョミーが誰と話をしているのかがわかった。
 相手はソルジャーズのブルーだ。
 侮ることの出来ない手強い相手だ。
 この攻撃が二人に対にする物だったら俺がここに存在する理由があるはずだ。
 ならば…。
 キースはジョミーの腕を掴み言った。
「ジョミー。そんなに苦しいなら…このまま…俺を殺せ。お前は、以前のように今また自分が死ねば終われると思っていないか?それは駄目だ。そんな事はさせない。俺を殺せばいい。記憶が無いなら殺しやすいだろう。俺はお前にとって敵だ。俺はもう十分に人類の為に生きたと思っている。この先、俺が居なくても人類はやってゆける」
「キース、なぜ、そうなるんだ。どうしてその選択を僕にさせるんだ」
 思い出せジョミー。
 けれど思い出せないなら、そのままで…。
 その心のままで俺を殺せ。
「出来ない…」
「お前は残される者の苦しみを知っているな。そして、残してゆく苦しみも知った。そして、自分の身よりも他を思うのも知っている。だから、苦しむんだ。あいつは、ソルジャー・ブルーは何と言ったのかを思い出せ。生きるのを諦めるな。足掻きながらでも前だけを見て進めと言ったのだろう?」
「…キース…」
「それは、お前の人生を途中から狂わしてしまったあいつの贖罪だ。あいつはお前を見守り続けて、イグドラシルで、マザーの前でお前を導いた。生きろと言ったのだろう?覚えていないなら教えてやる。あいつは、自分の道を見つけて生きろと言ったんだ。そして、お前は人類の許に戻ってきた。人類とミュウの間に立つのを選んだんだ。お前が生き抜くのにブルーは必要だった。だから、俺は忘れろとは言わない。あいつと同じ声がお前に何を言っても忘れる必要はない」
「……」
「ソルジャーズのブルー。これ以上何を言っても俺はジョミーを信じる」
 キースは叫んだ。
「キース…君はどうして…」
「お前は自分を我がままだとよく言うが、俺にはお前は我がままだと思えない。人一人が生き抜いているんだ。我がままなんて言って当然だろう?ジョミー、お前が俺に中のマツカが許せないなら俺を殺せばいい。俺はお前のその思いも全部受け止めてやる」
「それが…僕の我がままな…の?」
「ああ。だが、俺の我がままでもある」
「命がけの我がままなんだね」
「ああ、そうだ」
「ありがとう。キース・アニアン。これが誰の攻撃だろうと、そう、たとえ、ソルジャー・ブルーだろうと僕は負けない」
 イグドラシル直後のジョミーなら自分の中に余りある力があった。
 今はそれが無いのはわかっていて彼らと対峙して負けないと言う自信。

「戦えと言うのなら、戦おう」
 ソルジャー・シンがそこに居た。




   続く