君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」三話(Chiron/過去編)※流血含む

2011-09-22 01:50:44 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
木星軌道上の衛星都市メティスのビルレスト 二人が住む建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市

 『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」

  三話(Chiron)惑星キロン過去編
「ジョミー」
 …遠くで誰かが僕を呼んでいる。
「もう…いい」
 誰…?
 誰かが僕を、血まみれの僕を抱きしめている。
「……」
 目の前にはやわらかな金髪があった。
 僕が僕にすがって泣いていた。
「あぁ…」
 泣きながら僕の名前を呼んでいたのはドールのジョミー。
「…そうか…僕は力じゃなくて剣で…。殺された人たちがどれだけ怖かったかを教えようと…剣にしたんだ…そんな事を教えても…殺しちゃうのにね…」
 手にしていた青い剣が消える。
 僕からも抱きしめてあげたかったが僕の手は血で汚れていて出来なかった。
 ミュウの力で相手の自由を奪い動けなくして斬る。
 それはどれだけの恐怖だろうか…?
 手や髪や顔、全身が、まだ乾いてない返り血でべっとりしていた。
 僕は兵士や収容所の監視員たちを皆殺しにしていた。
 半端な殺し方はしていない。兵士たちにうめき声すらあげる者はいなかった。
 講堂から出られないようにしたので逃げられた者はいないはずだ…。
「ドール、無事だったんだ。離れないと君も血で汚れちゃうよ…」
 それだけしか彼に声がかけられなかった。
 僕は彼に笑いかけたかどうかすらわからなかった。
 でも、僕は笑っていたのかもしれない…。
 目の前の惨状が僕に「お前はもう人ではない」と教えていた。
 しばらくすると、リオが呼んだのだろう講堂にハーレイと医療班が来た。
 彼らはこの惨劇に言葉を失った。
 僕たちがここに着く前に収容所の人のほとんどが殺されていたので、二十人程しか生き残っていなかった。
 ミュウの医療班は彼らに暗示をかけて記憶を消し、兵士や看守は手違いから爆発事故にあったように見せかけるため収容所を内部から破壊した。
 シャングリラは惑星キロンを後にする。

 僕とドールをどうするかの話し合いがされていた。
 ソルジャーが血まみれのままではミュウ達にショックを与えてしまうからと言われ着替えたが、ジョミーはフレッチアの格納庫から部屋に戻ろうとしなかった。
 あれから僕はリオやハーレイと口をきいていない。
 フレッチアの前に寝転びシャングリラの格納庫の高い天井をただ見つめる。
「結局…救えなかったな」
 そうつぶやくとさまざまな事が浮かんできた。
 今回の事にはマザーは全く関係をしていない。
 邪魔になれば間単に殺すという判断を下せる人間が居ただけだ。
 命令さえあれば、罪も無い人々を殺す事の出来る兵士。
 暴力的な意識と圧倒的な軍事力。
 なのに、こちらにはこの「シャングリラ」一隻。
 解り合える日は訪れるのか?
 そして人に攻撃が出来ないミュウたち。 隠れて逃げ回るだけの日々。
 長老たちは昔の記憶で人間たちに敵意はあるが、教授は命の尊さを説いている。
 このままでは、いつか僕らは潰される。
 あの惨劇が今ここで起きてもおかしくない。
 防御セクション・思念波攻撃が出来る者を増やし、守りを固めて、そしてなお攻撃出来るようにしなくてはならない…。
 だが、本当に人類と戦う道を進んでいいのか?
 ミュウになってから知った事実。
 僕はその哀しい歴史を知っていると思っていた。
 次代のソルジャーという僕自身のの立場すら、解かっていると思っていた事だったんだ。
 だから、哀しい歴史を再び繰り返さない為には、僕はもっと強くならなくてはいけない。
 僕がミュウである事を受け入れられず、飛び出した僕を人類から救出する為に力を使い、ソルジャー・ブルーが眠ってしまった日。
 あの時、僕に力があるのなら、ブルーの助けになるのなら、ミュウになろうと思った。
 だけど、僕は彼の代わりにはなれない。
 僕は…貴方とは…違う。
 この先に戦いが待っているなら、せめて、もう一人強いミュウが居ればいいのに。
 ドールを作ったのはそんな思いからだった…。
 あの子は、エネルゲイアのシロエはどうなったのだろう。無事だろうか?
 そこまで考えた時、誰かが側にやってきた。
「ドール」
 答えずに彼は僕の隣に座った
「待ってたよ。君は力が使えるよね?」
 ドールは小さくうなずいた。
「やっぱり…兵士から逃げれたのも力のおかげか…」
 収容所の服からミュウの服に着替えた彼は僕と本当にそっくりだった。
 それを見ると辛くなる。
 ジョミーは身体を起こすとこっちに来てと、ドールを呼びフレッチアに乗り込んだ。

 船橋に通信をいれる。
「ハーレイ。ハッチを開けて欲しい」
 艦橋で協議中だった長老達は皆あわてた。
「ジョミー。何をするつもりですか?開けられません。せめて訳を言って下さい。それにフレッチァでは宇宙は無理です」
「わかってる。バリアを張って力で飛ばす。これを出すのは形だけだ。行く訳は…言えない」
 僕はモニターに隣に座るもう一人のジョミーを映す。
 それを見てハーレイは言葉に詰まった。
「…ダメです。なおさら開けられない」
(待ってください。ジョミー。僕も行きます)リオが格納庫に向かって走り出した。
「ハーレイ。リオ。長老たちお願いだ。一度だけいいから、僕の我がままを許して欲しい。無茶はしないし、絶対に戻る」
 そう言うとフレッチアのエンジンを始動させる。
 次第に音が上がりやがて安定した音に変わる。
 これで発進出来るはずだ。
「ハッチを開けて。開けてくれないと壊してでも行く。キャプテン・ハーレイ。今だけでも、僕の事を信じて欲しい」
「ジョミー…船の位置座標をそちらに送った。必ず、必ず戻ってくるんだぞ」
「ハーレイ!」ハーレイの後で長老たちの怒鳴り声がした。
 少しずつ格納庫のハッチが開き始める。
 発進位置まで移動したフレッチアはシャングリラから飛び出して行った。
(ジョミー!彼の事は僕にも責任があります一人で行かないで下さい!)
 駆けつけてきたリオが風に煽られながら叫んだ。




  続く