☆アニメ「地球へ…」の二次小説です
<用語>
木星軌道上の衛星メティス キースとジョミーが住む太陽系拠点
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム
「君がいる幸せ」
一章「黄昏の海」
閑話「セルジュのひとり言」(Jupiter Bilrost)
2年くらい前
「キース・アニアン大佐」
今は大佐ではないが、僕は心の中でそう呼んでいた。
大佐がメティスで暮らしていた時、改修が終わったビルレストの部屋に呼ばれた事があった。
丁度ジョミーも部屋に来ていて、その二人を見て惹かれあっているなと思った。
大佐が大戦後、人間的にずいぶん丸くなってきているのは感じていたが、それがまさか、ミュウのジョミーの影響でなんて思いもしなかった。
でも、地球で大佐の名を叫んだジョミーならそれも有り得るのかもしれないなと思った。
せっかくなので前からの疑問を聞いてみる事にした。
「地球で、キースはここに」と何故言ったのか?という疑問だ。
「地上に出た時は、僕もよく覚えてないけど、キースを助けたいと思っていたのは覚えてる。だから…じゃないかな?」と言いジョミーは笑った。
ジョミーに関しては、一般的にはMの世代交代で長になったと思われているが、アタラクシアの出身で成人検査の最中にソルジャー・ブルーにさらわれたタイプブルー。
人間として育ち、十四歳以下の記憶を持ったままミュウになり、長として成長。
ナスカを乗り越え、人間との対話まで導いたという経歴の彼。
その彼が今ここに、目の前にいる。
驚きである。
もちろん、僕もメンバーズエリートだから度々ジョミーに会う機会はあった。
その度に「ミュウの長」という怖いイメージと違うと感じていた。
こうしてオフの状態の彼は見た事が無かった。
なんというか、まったく普通の人なんだよなぁ…。
ドジだし…。
この日、どうも、調子が悪くなってたらしいブラインドを手で下ろそうとしたが届かずに苦労してたのを大佐が手伝ったのを見た。
けど、あれは…「その身長が欲しいーーー」って顔だった。俺も、それわかる。
力を使えば降りるだろうに、とも思わなくないけれど、ここビルレストでは使わない生活をしているようだった。
それと、大佐がなにか皮肉を言うと「うるさいなぁ」と結構単純に怒っている。
(大佐の皮肉は結構本気が入っていたりするのだが…)
二人が同じ場所で暮らすと聞いた時に、どちらかが、どちらかの勢力を牽制する為と思っていたが、大佐の護衛をしたいって言うのは本当だったのかと思った。
何となく、大佐を命がけで救ったという噂。地上で大佐を助けてと叫んだ事。今の彼。
全部がピタッと当てはまる気がする。
まあ、僕の心配は徒労に終わった訳だ。
実際に、ジョミーはジュピターとして任務をこなしているというし、見ていて何より良いのは大佐が楽しそうだという事。
二人は教育ステーションで同期になるはずだったと聞いた。
二人が失われた時間を再び巡っている気がする。
今日は久しぶりに友人と飲むかな。って気になった。
終
※『君がいる幸せ』第一章「黄昏の海」がこれで終わりました。
セルジュは動いてくれる良いキャラです。
<用語>
木星軌道上の衛星メティス キースとジョミーが住む太陽系拠点
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム
「君がいる幸せ」
一章「黄昏の海」
閑話「セルジュのひとり言」(Jupiter Bilrost)
2年くらい前
「キース・アニアン大佐」
今は大佐ではないが、僕は心の中でそう呼んでいた。
大佐がメティスで暮らしていた時、改修が終わったビルレストの部屋に呼ばれた事があった。
丁度ジョミーも部屋に来ていて、その二人を見て惹かれあっているなと思った。
大佐が大戦後、人間的にずいぶん丸くなってきているのは感じていたが、それがまさか、ミュウのジョミーの影響でなんて思いもしなかった。
でも、地球で大佐の名を叫んだジョミーならそれも有り得るのかもしれないなと思った。
せっかくなので前からの疑問を聞いてみる事にした。
「地球で、キースはここに」と何故言ったのか?という疑問だ。
「地上に出た時は、僕もよく覚えてないけど、キースを助けたいと思っていたのは覚えてる。だから…じゃないかな?」と言いジョミーは笑った。
ジョミーに関しては、一般的にはMの世代交代で長になったと思われているが、アタラクシアの出身で成人検査の最中にソルジャー・ブルーにさらわれたタイプブルー。
人間として育ち、十四歳以下の記憶を持ったままミュウになり、長として成長。
ナスカを乗り越え、人間との対話まで導いたという経歴の彼。
その彼が今ここに、目の前にいる。
驚きである。
もちろん、僕もメンバーズエリートだから度々ジョミーに会う機会はあった。
その度に「ミュウの長」という怖いイメージと違うと感じていた。
こうしてオフの状態の彼は見た事が無かった。
なんというか、まったく普通の人なんだよなぁ…。
ドジだし…。
この日、どうも、調子が悪くなってたらしいブラインドを手で下ろそうとしたが届かずに苦労してたのを大佐が手伝ったのを見た。
けど、あれは…「その身長が欲しいーーー」って顔だった。俺も、それわかる。
力を使えば降りるだろうに、とも思わなくないけれど、ここビルレストでは使わない生活をしているようだった。
それと、大佐がなにか皮肉を言うと「うるさいなぁ」と結構単純に怒っている。
(大佐の皮肉は結構本気が入っていたりするのだが…)
二人が同じ場所で暮らすと聞いた時に、どちらかが、どちらかの勢力を牽制する為と思っていたが、大佐の護衛をしたいって言うのは本当だったのかと思った。
何となく、大佐を命がけで救ったという噂。地上で大佐を助けてと叫んだ事。今の彼。
全部がピタッと当てはまる気がする。
まあ、僕の心配は徒労に終わった訳だ。
実際に、ジョミーはジュピターとして任務をこなしているというし、見ていて何より良いのは大佐が楽しそうだという事。
二人は教育ステーションで同期になるはずだったと聞いた。
二人が失われた時間を再び巡っている気がする。
今日は久しぶりに友人と飲むかな。って気になった。
終
※『君がいる幸せ』第一章「黄昏の海」がこれで終わりました。
セルジュは動いてくれる良いキャラです。