君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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同人に傾いているので入室注意★

オンラインな彼女と僕 7  (終)

2012-07-15 18:36:50 | オンラインな彼女と僕 (真城灯火)

 (ここまでのあらすじ)
リアル友人と始めたネットゲーム。
彼女は見る間にゲームにのめり込んでいった。彼女のPC名は、つぼみ。
彼女は普通の生活が出来ているのかとゲーム内の友人、林に心配される程だった。
実際、彼女は僕に金の無心をしてきていた。
そんな危うい中、つぼみと付き合いたいと言うPCが現れる。彼の名は高原。
ゲーム内のつぼみに侵食されるようにどんどんと変わってゆく彼女。
そんな、姿を見て辛い思いをしながら、僕はゲーム内で一人の女の子、サキを落とした。
だけど…僕はそんな事をしてはいけなかったのだ。
その頃、僕はシアといキャラと知り合った。
シアと遊ぶ僕につぼみは「あの子、気に入らない」と言ってきた。
シアが高原を狙っていると疑ったつぼみの嫉妬心は次第にエスカレートし、彼と話すPC全員に向かっていった。
その攻撃は、僕にも例外なく向けられ、僕は落ちた。

(主な人物紹介)
つぼみ・・・僕と現実で友人。僕は彼女に誘われてゲームを始める
高原・・・つぼみに告白をしたキャラ
京極・・・高原の友人、リアルでも友人
林・・・つぼみと僕と高原の共通の友人 深夜派
シア・・・林が紹介してきた初心者
あかね・・・つぼみが所属するコミュのリーダー
あかね・・・あかねの友人、リアルでも友人らしい

はるか・・・僕の友人
今泉・・・僕とはるかの共通の友人
明石・・・僕の友人、シアとも友人になる 僕と同じ深夜派
サキ・・・僕がゲーム内で落とした女の子
しおり・・・僕が所属するコミュのリーダー




  「オンラインな僕と彼女」

                -7-


 こんな数字の羅列のPCに、本当に恋が出来るというのなら。
 
 それを見せてもらおう。

 と僕は思っていた。


 僕はそれを見せつけられたわけだ。



 だけど、それは…本物なのだろうか…。
 


 それから僕は高原を調べだした。

 彼の過去を知る人物、一番は京極だろう。
 だが、彼はリアルフレだ…。
 やはり聞きにくかった。

 なので、僕は、林とあやか、あかねと、そして彼らを知る人物を探した。
 PKしてでも吐かせようと思っていたのだが、拍子抜けするくらいに簡単にわかった。


 何故なら、高原の過去には彼女達も絡んでいたのだ。

 以前、彼女達二人は高原を取り合っていたという事だった。
 そして、どちらかと付き合っていて、二人は一時険悪な状態になったのだと言う。

 もしかしたら、
 リアルで二人共に会っているかもしれない…。
 別々に会ったのか、三者懇談?修羅場?
 まあ、そんなのはどっちでもいい。

 過去のモメ事を、彼女達が許したから高原はここに存在しているのだけれど、
 この後、大混乱が起こるので、本心から許してはいなかったんじゃないかと思う。


 その時は、その事実を聞いた僕は半分キレたまま、
「本当の事を教えろ」
 と京極を問い詰めた。

 京極は、彼女達より以前にもそういう事があったのだと言った。



 正直、呆れた。

 高原にとってここは、、。


「攻略だけを楽しむ恋愛ゲーム」なのか…?


 ある種の狩り場だな…。



 だが、問題は…ソレがリアルでも通用してるって事だ…。

 僕が前に実践した「女の子の落とし方」は高原から教わったものだ。



 A子のように、離婚問題まで発展した「まやかしのリアル恋愛」

「一度だけでもいいから彼に抱かれたい」と思わせる恋。


 それは本物たりうるのだろうか?
 たとえ本物でなくても会えれば抱かれれば満足なのだろうか?
 それが、オンラインの恋なのだろうか?

 僕にはわからない。
 

 でも、嘘でも本物でも…

 多分、そこには、人を好きになったという気持ちはあり、
 良くも悪くも
「物語」や「ドラマ」のような恋だったとしても、
 事実(リアル)はここに存在するのだろう。
 

 それが偽物だと、きっと誰にも否定する事は出来ない。



 女は、会う前に気持ちだけが先に登りつめてしまうのだろうな。

 男は、逆に会ってからなんだろうな。

 

 結局、あのA子は友人の説得を聞いて会うのを止めて、
 二人で東京観光を楽しんで来たらしい。

 僕は美味しい「ラスク」を土産にもらった。









 しばらくして、

 高原とつぼみが別れた。



 その事で、

 ここに名前が出て来た関係者が、何かしら傷ついたのも事実だ。


 僕は前の事を知っていた林や京極を傷つけるような事を言ったし、
 シアも傷ついた。

 あやか、あかねも高原を責めて大騒動になった。
 林の所を含む合計三つのコミュ崩壊まで発展した。

 巻き込まれた人は多い。
 皆、無傷ではないと思う。
 
 つぼみは僕を傷つけて去って行った。
 その刃は彼女自身をも傷つけているのだろう。


 「まさみ」は何故僕に対して酷い事が出来たのだろう?
 それはここが「ネット」上であるからなのか…?

 知らない人が知らない人に喧嘩が売れる世界だから。

 けれど、彼女と僕は知らない仲では無い。


 きっと、もうそれすらもすべて彼女の中では過去の事で、
 それ程までに「彼」を好きになってしまった結果なんだろうな。

 何もしようとしなかった「僕」に彼女を責める事は出来ない。



 リアルで僕は、彼女との友情の修復を何度も試みた。
 何時間も電話をしたし、メールもした。

 だが、「会いに行く」事は出来なかった。
 高原との別れが彼女を深く傷つけていたのだ。




「いつか、また」




 僕達は、この言葉を最後にした。


 僕と彼女は、もう現実であろうと何処であろうと

 会う事はない。








 でも、そんな他人に平気で喧嘩が売れるオンラインの世界であっても…。


 シアの件で「それは死のうとした訳ではないよね?」
 と言った明石のように…。
 僕と色々無駄話をしたはるかや今泉のように…。
 高原を心配していた京極のように…。
 つぼみを心配していたあかね達のように…。


 この事件後、消滅や抹消や削除しか考えていなかった僕に、
 何も聞かず事情も知らぬまま
「深く考えずに動いてもいいんじゃない?」
 と誘ってくれた佐伯のように…。



 僕の回りはかなり優しい人たちで構成されていたようだ。


 偶然だが、しおりもここで恋をしていて
 現実が立ち行かなくなり辞める事になった。

 はるか、今泉は現実で大変な問題が起きていたし、
 僕もまた同じだった。







 でも、

 僕は、
 
 もう彼らに会う事は無いが、
 

 まだ「オンライン」の住人を続けている。






 






 実は、シアの事を高原と話した時の会話には、まだ少し続きがあるんだ。


「男だと思うんだけどね、僕は」
 と僕

「俺も男だと思う」
 と高原

「だよね」
 と僕

「それじゃ、さぁ、お前」
 と高原

「ん?」
 と僕


「お前は、どっちなの?」





「俺、つぼみに本気になれないんだよね」



「俺と、付き合ってみない?」


 
 









 さて。


 オンラインに住む不可解な怪物の正体は、誰だと思います?


「つぼみ」?

「高原」?

「僕」?

 
 それとも、他の誰かかもしれない…。  









                 ー終ー






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