君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」二十話・閑話

2011-11-12 02:11:01 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」

  二十話 現在 
 後日談  
 子供だったのが無理やりに大人になったような…とは、当たっているのかもしれない。
 誰にでも子供時代はある。
 けれど、今の大人達に子供時代の記憶はない。
 子供時代が無いような人間達を相手していれば、僕はかなり不安定なモノに見えると思う。
 SD体制は記憶を消し、都合のいいようにして何百年もやってきた。
 それを人間は不満を持たずに受け入れてきた。
 それを壊したのが僕ら。
 人の記憶は大切だが問題はある。
 それがあると動けないようになってしまう場合もある。
 だけど、たとえどんな事がその人に起きたとしても、人にはそれを乗り越えられる力があると僕は信じている。  思っているより人は強い。

 記憶を見せる以外に出来る事は多い。
 その人の記憶から映像を取り出し見せる事も出来る。
 それが人物であるならある程度の情報があればその人を思考の中で映像を再現し、会話をさせることもできる。

 キースに今、会いたい人は?と聞いたら、
「ジョナ・マツカ」
 と答えたので、僕は情報を集めキース自身からの記憶も聞いて彼を再現してみる事にした。
 トォニィが殺した彼を再現させるのは僕にも辛いものだったが、キースの方も、心理的な波形があまりに微妙だったので、僕自身は再現させるだけで見ないようにして、彼に会わせた。
 マツカとキースがどんな会話をしていたかは僕は知らない。
 何が聞きたくて会ったのか。
 何が言いたくてそうしたのか、僕にはわからなかった。
 興味があると言えば、ある。
 自分がやった事なので、自分をたどれば見えると思うが、それをする気はなかった。

 何日かしてからキースが聞いてきた。
「お前が今、会いたい人は誰だ?」
「ブルーと答えると思っているよね?」と聞いてみると、
「ああ。そうだろう?」と返ってきた。
「別にいないよ」
「いないのか?」不思議そうに言うキースが言った。
「んー、今、会いたい人には、会ってるから。他はいないんだ」 
 にっこりと笑いながらジョミーが答えた。
 一瞬驚くキース。
 僕はその顔が見れたから蟠っていたものが流されていく気がした。
「言うようになったな…」
「自覚したからね」
「何をだ」
「それ、言わせるんだ…」
「お前が言うのを聞きたい」
 我がままだねと思いつつ。
「君を愛している。僕には君が必要だと自覚したんだ」

「今すぐ会いたくなった」
 キースは笑った。
「来れば?僕が行ったみたいに」
 と笑うジョミー。
「今度いつ会えるか?なんて思う日が来るとは思ってもみなかった」
「僕も」
 これが交信でなければ僕はキースに抱きついていたのでは?と思う程だ。
 自分でも感情が浮ついているのがわかる。
 こんな日が来るとは思っていなかった。

 消えたモニターの前に、ゆっくりと彼の幻影が現れる。
 僕に手を延ばして、僕の襟を掴んで引き寄せる。
 唇が触れる程に近づく…。
「お前は、もう離れていたくないと思う事は無いのか?」
 ごめん。
 キース…。
「僕にはそれは望んじゃいけない事なんだ」
「……」
 今だけ…、
 今、愛している。
 それじゃいけない?
 だけど、 
 先の事はそうなってみないとわからない。
 その時その時を生きた先が未来なんだ。
 僕は…望み願う。
 この先がある事を。
 ああ…。
 今は前だけを見て進もう。



   「星の祈り」 終


 閑話 キース
 それは、メティスで暮らしていた頃に、精神感応をしたいと、ジョミーが言ってきた。
 また地球が見たいのか?と聞くとそれとは違うと言う。
 僕の記憶を君に見せたい。と言うのだ。

 僕が持ってる十四歳までの記憶を君にあげたいんだ。
 パパやママ そしてサムのきっと君にもこれは必要だと思う。
 記憶がないのは寂しいことだから、
 せめて…僕には君にしてあげられる事が何もないから…。

 何も無いと思うのか?あるだろう?

 そうかな?
 でもね。今は記憶を見せたい。
 十四年分のすべてを渡すわけじゃないからすぐだし、怖くないよ。
 持ってて欲しいんだ。君に。
 人間らしく生きると決めたのなら持ってた方がいいと思うんだ。
 SD体制で皆が幼い記憶を無くしているけれど、無くしてしまったのと、無かったのとは全然違うと思うから…。
 記憶を無くしていない僕には、本当の辛さはわからないけれど…、
 でも、この記憶が無かったら…と思うと…。
 僕は僕でいられたかどうかわからない。

 だから、
 コレはきっととても大切なモノなんだと思う。
 持っていて欲しいんだ。
 君にも。

 キース
 あげるよ。君に僕のこの暖かい記憶を…。

「ねぇ、暖かい?」



 閑話 トォニィ
 ねぇ、知ってた?暖かいんだ。

 何が暖かい?

 グランパがいるとシャングリラは暖かいんだよ。知ってた?

 それはね、きっと。
 君が安心していられる場所だから、家に誰もいないと寂しいよね?
 自分の家なのに、そう思うだろ?
 そこに誰か居ると安心するよね?
 それが「暖かい」んだよ
 親がいるだけで子供は安心して眠れるんだ。
 子供が安心して眠れる場所を与えてあげるのが親の仕事。
 それが僕達ソルジャーの役目。
 仲間たちが安心して暮らせるように。
 外で親鳥が戦い傷つき帰って来ても、そこに子供が笑顔で待っていてくれたら…。
 どこでも何度でも立ち向かえるんだ。
 僕達はそうならなきゃいけない。
 君は大人になってゆく。
 僕が君にしてあげられる事はもう少ないだろう。
 だから、
 今は、ここで…、眠っていいからね。
 僕の隣で眠って。

「ねぇ、暖かい?」



 閑話 ジョミー
 やってきた事の全てが正義だったなんて思わない。
 いい事だけを選んで生きていける訳じゃない事も知っている。
 したくない事もしたし、しなきゃならない事から逃げもした。
 理不尽さに泣いた日も、ただ力だけを揮った日も、諦めてしまった日も、
 でも僕たちは、それでも進まないといけないんだ。
 キースに十四歳までの記憶を渡した時、思い出した。
 僕はブルーにも記憶を渡している事を…。

 貴方は眠っていて、受け取ってくれたかもわからなかったけれど…。
 記憶がないままで、ずっといるのが辛い事だろうと思ったから…、
 だけど、あの頃の僕はまだ未熟で、不慣れで。
 十四歳までの記憶をちゃんと選んで送れていたかがよくわからなかった。
 ありとあらゆる事まで見せてしまっていたんじゃないだろうかと…。
 後で顔から火が出そうな程になったっけ。
 あれもきっと貴方は笑って許してくれるだろう…。

「うん、そうだね暖かいね」って笑ってくれる…。




  終


『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」十九話 ※BL風味(会話が過激?)

2011-11-12 02:06:48 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」

  十九話 現在  ※BLあり…会話が過激?

   戦艦ゼウス キースの部屋
「人を好きになる意味がわかったと言ったが本当に解ったのか?」
「どうしてこだわるの?」
「気になったからだ」
「言いたくないと言ったらどうする?」
「無理にでも答えてもらう」
「…性格が違ってるって言うんじゃなくて、元々からそういう性格だったね…。疑問があると突き進む…」
 分かっているなら早く答えろ。と言う顔で見てくる。
 仕方なく素直に答える事にした。
「好きになるって言い方をしたけど、本当は愛する意味は?と聞いていたんだ。愛は難しいから言いにくかった。愛する事は知っているけど…。親から子への愛なら親への愛も愛。友情も愛だし、僕がミュウたちを守ってきたのも愛があったから、地球や人類への愛もあった」
 何も言わずに聞いていたキースが少し厳しい顔をした。
「…それでは何故わからなくなった?」
 それは、多分…。
「僕自身が真剣に愛した事がなかったからだと思う」
「相変わらず、お前のは…許容量が広すぎる…。それなのに、愛した事がなかったのか?」
「すり抜けて行くものばかり追ってた気がする」
 僕は手を見た。
「わからなくなったのは、誰も僕を見てくれてないから…」
 戦後になってやっと自分は生きているんだと自覚が出来たキースには、ジョミーの言う意味が痛いほどわかる気がした。
 彼はミュウである以上、どこまでも「ソルジャー・シン」の名は付いてまわる。
 どこまでも人間ぽいこの男を、その強大な力は人間で無くさせてしまうのだろう…。
 そんな気持ちが自分はわかると思った。
「だから、僕は、ミュウの女達のように自分の命をかけても後悔しないような、愛し方がしてみたいと思ったんだ」

「じゃあ、俺を好きになれは、あながち間違ってはいなかったな」
「それは、僕に命をかけさせる程に、君を好きになれという事?」
「そうしたいんだろう?」
「ん、わからないな。僕に子供でも産めればすごくはっきりした形で理解できるんだけどね」と答えると、キースは黙ってしまった。
「……」
「ん?なに?」
「お前、俺の子を産みたいって思ってるのか?」
「!!」
「ち、違うーーー。そうじゃない」
 そうか、ソルジャーズみたいなクローンでなく、もし、僕が女だったとしたら、受精するその相手ってのが必要になるんだ。僕と僕ってわけにはいかないんだ…。でも、だからって…。
 キースは考え込んでしまったジョミーを面白そうに見ていた。
 彼はジョミーが他と考え方や感じ方が少し違うのを楽しんでいた。
 そして、助け舟を出すようにキースは「俺も愛はわからない」と言った。
 それに対してジョミーは事もなげに言った。
「キースは人を愛していればいいよ。僕はそんな君を愛するから」
 今こいつは俺に対して、最上の殺し文句を言ったのを全然、わかっていないなと思った。
 言われたのは嬉しかったのだが、ジョミーのそれは人類愛だ。
 キースは、人類愛=愛 の図式を恋愛に替えてやろうと思った。

「命を掛けても惜しくない愛か。それは重くないか?」
「重い?」
「お前が言う愛は、人類愛や親が子に思う愛だ。その辺りはお前は十分に実践してきている。お前が人類も愛していて、その行く末も心配していなければ、でなければ、イグドラシルに降りたりしない」
「…そうかもしれない」
「そんな重い愛じゃなく。もっと違うのがあるだろう?」
「?」
「お前、いままで何人と経験した?」
「!」
「何人好きになったか?だ」
「…」
「ちゃんとした恋愛で…何人とだ」
「4人、5人かな?」
「それで何回経験してる?」
「か、回数?」
「そう、肉体関係が何回あったか?だ」
「それは、こ…答える必要があるの?」
「必要無かったら聞きはしない」
「…人数と同じくらいだと思う…」
「ミュウってそんなに禁欲主義なのか?」
「き、禁欲って……。他の人は知らないけど…」
「それが、もう一種の愛だ。お前はそこを飛び越えて重い方のばかりを追っているから、わからなくなるんだ。人を好きになって愛してからじゃないのか、命を掛けれる程の愛ってのは?」
 これでは、恋愛=愛ではなく、肉体関係=愛になってしまう。
 かなり強引な言い方だとキースにも思えたが、これくらい言わないと、きっとジョミーには、わからない。
「そうか…」
 命を作り出す過程で僕に足りなかったのは愛だったんだ。
 カリナもユウイを愛しているから、何があっても怖くなかったんだ。
「僕の中で、いつしか命と愛が別物になってしまっていた…。愛があるからなんだね」
 ボロボロとジョミーは泣き出した。
「バカだな。お前」
「機械人間に愛を諭されるなんて思わなかったよ」
「俺には子供時代が無いが、お前は子供からいきなり大人にさせられた感じがあったからな…」

「あ…れ?」
「?」
 それっきり何も言わなくなってしまったジョミーをいぶかしげに見るキース。
「どうした?」
 ジョミーはじっとキースを見ながら、
「君がちゃんと見れない」と言った。
「?見てるじゃないか?」
「ドキドキするんだ」
「…お前、今までの経験って何だったんだ?したいだけだったのか?」
「ち、違う。好きで愛してきたけど、どうしたんだろう…情けないな…僕はこんな感情も閉じ込めてきたってことなんだね…」

 ミュウになるという事。
 ソルジャーという重責。
 ナスカの責任、宣戦布告、地球へと。
 その役目を終えた僕は…。
 もう人でもミュウでも無くなっていた。そう思っていた。
 家族を作る事には憧れたけど、僕はどこか臆病になっていた。
 人を愛せない。
 いや、愛してはいけない。そう決め付けていた。
 カリナを失い、ブルーを逝かせてしまった。
 僕が愛する人は不幸になるんだと、だったら、誰も愛さずに。すべてを愛してゆこうと。
 でも、それはとても悲しい事だったんだ。

「僕はどうすればいいのだろう?」
 そう聞かれたキースは、今、はじめて、ブルーに会って話をしてみたいと思っていた。
 ジョミーは確実にブルーを愛している。
 それは心の底から、ジョミーの深層心理には彼がいた。
 深い海の底でジョミーを見守るブルーがいた。
 だからもう誰も他を愛するなんて出来ないのだろう。
 けれど、その一画に自分が入った。
 それは事実だ。
 今、ブルーならジョミーをどう受け止めていくのだろうと思っていた。
 どうやって愛してゆくのだろうと思った。
 結局はこいつは…、俺だけのものにはならない。
 いや、なれない。
 そうキースが思った時、
「僕だけの…ものになって…」
 聞こえないような声で、きれぎれにジョミーが言った。
 それはきっと心からの言葉だろう。
 自分は俺だけのものになれないのに、俺にはなれ。と言うのか?
 そんな事、もうずっと前から決まっている。
「いつでも俺はお前だけのものだ」
 お前が笑っていられる世界を、作っていくのが俺が生きるという事だ。

 半年前のあの時、俺はふわふわとどこでも行ってしまいそうだったジョミーを、繋ぎとめようと抱いた。
 思えばそんなのは一時の事で、腕の中に居る時間だけしか止めておけない事に気がつくべきだったんだ。
 でも今は違った。俺の中にも愛しているという自覚があった。

「何でも持っていけばいい。それがお前を俺のモノに出来る。唯一の方法なら」



  続く