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デンマークの社会保障 国民高等学校(日欧文化交流学院)のHPより(K)

2013-08-03 | 税と社会保障の一体改革
 8月2日政府の社会保障国民会議派最終報告書案の各論部分を公表した。医療・介護・年金・保育の全面改定を打ち出した。全面的に現状をさらに改悪する内容になっている。将来どんな社会をめざそうとしているのだろうか。
 福祉先進国と言われるデンマークを見てみる。直近のものということでデンマークの公的機関である日欧文化交流学院(国民高等学校)HPより引用する。


高福祉高税
 イギリスの手厚い社会保障は「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれますが、デンマークでは「ゆりかご以前から墓場以後まで」といっても過言ではありません。


 世界最高水準の社会福祉を支えるため、直接税38~62%、間接税25%と税率は決して低くはありませんが、一方で国の総支出額の4分の1以上が毎年、社会福祉関係に充てられています。つまり、高福祉を得るために国民の義務として高税を支払う合意がデンマークの国民にはあるのです。デンマークでは65歳以上が高齢者です。掛け金無しで年齢に達すれば年金が全員に支払われ、「国民総年金制」と呼ばれています。さらに、24時間介護体制など充実した福祉施策が実現しています。

 デンマークの高齢者福祉の基本方針は
 継続性
 自己決定
 自己資源の開発
 これまでどおりの生活を続け(継続性)、他人ではなく自分の決定でなされ(自己決定=個人尊重)、生きがい(自己資源の開発)を持ち生きる、という意味を持ちます。

ノーマリゼーション
 障害者は、デンマーク社会省の社会福祉局長でもあった故バンクミケルセン氏が提唱した「ノーマリゼーション」(社会的公平)の思想に基づいて、「障害のある人の生活条件を障害のない人の生活条件に可能な限り近付いた」生活が送れるようにあらゆる援助がなされています。


医療費無料、家庭医、歯科治療
 医療費は病気やけがの内容にかかわらず、原則すべて無料です。また、国民全員にかかりつけの家庭医が割り当てられており、病気などの際はまずこの家庭医に診てもらいます。統計によれば、医者が必要と国民が判断して病院にいく場合、85%がこの家庭医で解決するそうです。症状が重度だったり、専門医の診断が必要な場合には、家庭医から紹介を受けて総合病院に行くシステムになっています。こうした家庭医のシステムは医療費削減にも大きく寄与しています。

 ただ、歯科治療は特別です。18歳までの若者は無料で、65歳以上の高齢者は毎月一定額(小額)の歯科医療費を支払えば何回かかろうと無料です。小中学校には自治体専属の歯科医がおり、特に子供たちは卒業までに虫歯治療はもちろん、矯正もすべて終えて社会人になるのが普通です。成人は、治療は有料ですが、国から補助も下りるため支払う額は日本とたいして変わりません。

教育費は原則無料
 デンマークの幼稚園や保育園では原則、読み書きや算数を教えてはいけないことになっています。最近では親たちからの要望もあり、少しずつ教える方向にあります。ただし、今まで家庭にいた子供達がはじめて接する「社会」であり、遊びを通して人とのコミュニケーションの取り方、社会性を学ぶことがメインです。

 遊びが主体となっていた環境から学校という授業が主体となる環境に慣れるため、ほとんどの6才~7才児は0年生クラス(幼稚園クラス)に入学します。

 日本の小中学校に当たる国民学校は、「教育の義務」で9年制。1クラス定員28人。ただし、ほとんどの場合は自治体がこの枠の中で教室の大きさを考慮しながら確定し、25人が一般的といわれています。同じクラスで、ひとつの科目のなかで、子供の能力に応じて使う教科書が違ったり、同じ教科書でも進み具合が生徒によって異なることがあります。通常、4、5冊の教科書がひとつのクラス、科目で使われています。幼稚園などと同じで、1年間長く在学でき、10年生が存在します。

 日本の高校に当たるジムナシウムへの進学率は約45%。ほかは約55%が専門学校に進み、残りが就職します。さらに高校から大学への進学率は約10%。ほかは就職か、上級の専門学校に進みます。デンマークでは教師になるには教える知識、かつ技術を学ぶため、教育大学に通わなければなりません。
 18歳以上は成人となり、仕事を止めたり、別の職場を求める場合、その間にゆっくり勉強したり、リフレッシュできるように国民高等学校が役立っています。

農業
 豚肉の生産や酪農が盛んで、各国へ輸出をしている農業大国として知られています。経済水準は平均して高く、国民一人当たりのGDPは常に世界のトップ10にランクインしています。
EUに加盟していますが、ユーロを導入しておらず、自国通貨のデンマーク・クローネを使用しています。

「OECD Factbook 2013」で調べてみました
それでも日本より高い労働1時間当たりのGDP 最新の購買力平価によるUSドル換算


日本より高い国民一人当たりのGDP

  



「強い経済、強い日本」のヒーロー待望論 でいいのか(K)

2013-08-02 | 事務局のつぶやき・研究所では
 久しぶりです。民主的自治体を作るためには行動もと、選挙も忙しくて休んでしまいました。自民党の大勝ですが、一方で対抗軸のはっきりしている党も伸びたことで抵抗と建設への足がかりになります。
 さて、「強い経済」「強い日本」を望む声は何を意味するのか。しばらく前の本「イタリア人と日本人、どっちがバカ?」の一部を紹介します。

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イタリアは、明日の日本か?-日本人への警告
 日本の大衆に、だんだんとアメリカ型の「自由主義」と「個人主義」が浸透してきたということです。もっと簡単に言えば、「他人に大きな迷惑をかけなければ何をしたって自由」という考え方です(実際には、他人に何も迷惑をかけていない、というのは本人の勝手な思い上がりだったりするのですが)。これは社会の「秩序」と「調和」を重んじてきた日本人の伝統的なメンタリティーとは、完全に異質のものです。それは外国人の私からすると、まるで黒い髪の日本人が、金髪のかつらをかぶっているようなものに見えます。
 そしてその結果、この社会に何がはびこってきたか。それは、他者に対する「無関心」と、どうせ自分の力では社会を変えることなどできないのだという「ペシミズム=無力感」、そしていつか日本に「ヒーロー」が現れて、この国を覆っている閉塞感を打ち破ってくれるだろうという考え方です。この「ヒーローの出現」を待望するという態度は、この本の第1章でも触れた、現在のイタリア人の傾向と相通ずるものがあります。日本型の「アッテンディズモ」(自ら動かず嵐が過ぎ去るのを待つ)と言っても良いかもしれません。イタリアのそれが危険であるのと同様に、日本型の「アッテンディズモ」も、この国の社会の健康を著しく損なっている、最も危険な「病気」の一つです。
 誰か強いリーダーに、この国を「引っ張って行ってほしい」というのは、民主主義の社会に生きる人間としては、横着すぎる発想なのだという事に、日本人は気が付くべきです。巨大な船「日本丸」は、この本を読んでいるあなた方一人一人の大衆が、オールを握って動かし、皆が協力して舵をとって、針路を決めるべきものです。それを人任せにして、自分は何も考えずにただ乗っかって、どこか「良いところ」に連れて行ってもらおうというのは、甘すぎます。民主主義というものを、ただ「多数決の論理で物事を決める」という「手続き論」に、矮小化してはなりません。民主主義国家の「主権者」になる、というのは、実は、かなり面倒なことでもあります。難しい問題に頭を悩ませることもあるでしょう、果てしない議論に疲れてしまうこともあるでしょう。でも、もしそれがいやならば、北朝鮮や、カダフィ時代のリビアや、アサド政権のシリアのような国に住むことを、甘んじて受け入れなければなりません。あなたは、それを望みますか?
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 自分で考え、自分で行動してこそ民主主義=民衆が主人公になる。日本国憲法にある国民主権ということはこういうことではないでしょうか。