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奄美大島など南西諸島で進む自衛隊基地建設 その3(K)

2018-01-07 | 沖縄
反戦自衛官、小西誠氏の講演

 この視察ツアーでは小西氏の講演もありました。以下は講演の抜粋です。

◆ 小さな島は攻撃を防げない
小さな島は周囲を囲まれれば防ぎようがない。そこで、自衛隊が考えているのは占領された後の島の奪還作戦を考えている。すると、島の人はどうなるのか。沖縄戦のように軍民混在戦になる。
 基地がなければ爆撃されない。実際に戦闘になれば奄美大島全体で地上戦も空襲も行われる。これは防衛白書に出ている。
 現在、海の下では対潜水艦、空もレーダーとジェット機で封鎖されていて、緊急時にはスクランブルがかけられるようになっている。島は守られている。

◆ 原因はアメリカの戦略変更
 アメリカはソ連が崩壊し脅威がなくなった時、「平和の配当」として軍事費を25%削減した。日本も北海道の戦車を600両から300両に減らした。
 1997年、日米ガイドラインで脅威をソ連から中国に切り替えた。その分、南西諸島の島々に島嶼防衛と称してミサイルやオスプレイを配備することにし、日本は軍事費を増加してきた。

◆ 中国は脅威か 領空侵犯はロシア13回、中国1回。領海侵犯も月3日程度で同じペース。
 今、中国は経済でも軍事費でも、日本よりも大きくなっている。しかし、お金をかけて警戒しても中国は来ない。領空侵犯と言うがソ連が崩壊してからロシアは13回なのに対し中国は1回台湾も1回しか領空侵犯はしていない(防衛省「平成28年度の緊急発進実施状況について」)。

◆ アメリカ・日本が勝手に決めた防空識別圏で中国封じ込め
 防空識別圏というのは緊急発進するよと言うものだが、領空よりもはるかに遠い地域に勝手にアメリカが設置したもので国際法の規定にはない。日本も1959年代に勝手に決めている。中国は自由に航行すると言っている。中国が国力をつけてきても米国はこれは許さない。勝手に決めるのではなく外交で話し合うべき問題だ。

◆ 自衛隊は住民を守るのか
 島嶼防衛戦は自衛隊と住民の混在戦つまり軍民混在戦になる。法律では自衛隊は戦闘に余裕がある時に住民の避難を支援するとなっていて戦闘優先になっている。住民を守るのは自治体になるが自治体は戦闘から住民を守れるのか。

◆ 日本はアメリカ言いなりで高い装備を買う
 今はヘリコプターの中心はCH 47と後継機種に変更している。このヘリコプターの方が兵隊もオスプレイが24名なのに対し50名と多く乗せられる。最大積載量もヘリコプターの方が大きい。日本はアメリカ言いなりで800億円もするイージスアショアを買うことにしている。

◆ 南西諸島が戦争に巻き込まれないための小西氏の提案
 1922年のワシントン会議の四カ国条約で、アメリカ・イギリス・フランス・日本が太平洋域の領土・権益保全と、島嶼部の非軍事基地化を約束した。実際にサイパン、グアム、テニアン、琉球、奄美、台湾などが非軍事基地化(=無防備地域)となった。無防備地域への攻撃は国際法で禁止されている。ところが1930年日本がワシントン体制から離脱し1944年には日本軍が沖縄に基地を建設した。そして奄美大島や沖縄が戦場となった。
 改めて無防備地域宣言をすることが再び沖縄や奄美大島を戦争に巻き込まないことになると思う。

◇【視察参加のメンバーからの情報提供】
 中国公船の領海侵入は左表のように、過去2年間で規則的に月2~3回となっている。
*月3回計10程度の意味(『高野孟のTHE JOURNAL2017.4.4より』)
 高野孟氏が知り合いの中国人ジャーナリストに中国側から事情を探って貰うと次の事実がわかってきた。
 中国の海警局には、北海と東海と南海の3分局があり、尖閣は東海分局の担当。その下に上海、浙江、福建の3総隊があってそのそれぞれが月に1回、出て行くことになっているから「月3回」となる。1回当たりは3隻が標準ユニットで、たまに都合で2隻になったり4隻になったりもする。目的は、中国が尖閣の領有権を主張していることを継続的にデモンストレーションすることなので、これで十分だ。余計なトラブルにならないよう、1回につき日本の主張する領海内に入るのは1時間半と決めていて、しかも15年冬以降は事前に日本の海保に「明日行きますから」と事前通告するようにしている。
──それは、中国側が一方的にルール化しているのか?
「その通りで、海保も暗黙の内にそれを受け入れている」


*接続水域とは、国家が通関、財政、出入国管理、衛生に関する法令の違反について防止や処罰を目的とした措置をとることができる水域。ただし国家の安全に対する侵害行為に対する規制は接続水域制度の対象には含まれていない。沿岸から24カイリの範囲で沿岸国が設定できる。領海は12カイリ。
**2016年8月1日を以て禁漁期が終わったので、翌2日に中国漁船が一斉に東海に出漁し、その一部が暫定措置水域を超えて尖閣領域に進入する可能性があったので、海警船70隻が出動し、そのうち15隻が3日から9日にかけて尖閣海域に入って漁船を管理・指導した(つまり暫定措置水域へと押し戻した)。大半の漁船に指導が行き渡ったので、10日に海警船は現場から引き揚げた。



奄美大島など南西諸島で進む自衛隊基地建設 その2(K)

2018-01-04 | 沖縄
奄美大島の自衛隊基地建設

 奄美大島には2つの自衛隊基地建設が進んでいました。大熊地区と節子地区です。
その広さに驚かされました。配置される隊員は全部で550人。警備部隊とミサイル部隊です(下図)。

ミサイル部隊は地対空、地対艦です。警備部隊は「災害を含む各種事態発生時に迅速に対処する」(防衛白書H28年度防衛白書)ものです。各種事態への対処とは、島嶼部に対する攻撃があった時に、機動的に展開・集中させ侵攻を阻止・排除することです(地元説明会への回答集)。
 基地建設費について、奄美大島単独では出ていませんが、H27年度~H30年度の防衛省の予算を見ると、1454億円であり、今後、石垣島の庁舎等の整備が加わります。ちなみにオスプレイ3機分342億円で認可保育園(90人定員)285園分ですから、この基地の予算を使えば、いかに社会保障が賄えるかがわかります。

防衛省の奄美・宮古の用地建基地設費と石垣の用地費への予算:4年間計1454億円
H27年度、32億円(奄美大島の用地取得費)
H28年度、195億円(警備隊等の配置に関連する奄美大島の造成工事等及び宮古島の用地取得)
H29年度予算、707億円(警備隊等の配置に関連する奄美大島及び宮古島の庁舎等の整備)
H30年度要求、552億円(警備部隊等の配置に関連する奄美大島及び宮古島の庁舎等の整備、石垣島の用地取得経費等)


 基地づくりは奄美大島だけではありません。奄美の北の馬毛島から琉球列島の南端の与那国島まで自衛隊の基地づくりが進んでいます。


【奄美大島 大熊地区 奄美カントリー】


隊員が勤務する庁舎や、独身の隊員が生活する隊舎、整備工場、射撃場等が整備される予定です。この他に体育館やグランドなども予定されています。


【奄美大島 節子地区】
 節子地区は、山間部の国道58号線を挟んでA地区とB地区に分かれています。国道58号線にはトンネルを掘った新しい直線的なバイパスができ、地元の人はバイパスを通るようになりました。旧58号線を利用するのはほとんど自衛隊。旧道は事実上の自衛隊専用道路となりました。基地づくりが人の目に触れることは少ないのです。
 バイパスのトンネルの開通は2015年で、自衛隊の基地作りが始まったのは2016年。基地を作るためにバイパスが建設されたのではないかと思えると地元の基地反対の人たちは言っています。

▲瀬戸内A地区

地元住民団体作成

地元住民団体作成
 
▲瀬戸内B地区

地元住民団体作成

2番目の写真の境界の構造物はクロウサギの侵入を防ぐ柵です。

 山の伐採は基地作りだけでなく、辺野古の埋め立て用に山が削られ、切り出された石が道路に山積みにされていました。
 基地用地とアマミノクロウサギの生息地とを重ね合わせたのが下の図です。クロウサギの生息地に基地が作られています。

地元住民団体作成

奄美大島など南西諸島で進む自衛隊基地建設 1(K)

2018-01-03 | 沖縄
埼玉自治体問題研究所の所報「そよ風」2018年冬号に掲載したものです。

11.1~11.7 奄美大島現地視察レポート
奄美大島など南西諸島で進む自衛隊基地建設

 11月2日から5日まで奄美大島への自衛隊配備についての現地視察ツアー・アクション(主催 奄美の基地問題を考える会)に参加しました。本土のマスコミでは全く報道されていませんが、聞いて、見て、びっくり。知らない間に大変なことが起こっていました。読者の皆さんにぜひ知ってもらいたいとの思いで、今回は紙面を割いていただきました。

世界自然遺産の登録をめざす奄美大島
 奄美大島は鹿児島本土と沖縄本島のほぼ中間の洋上に位置する、沖縄本島の約8割ほどの面積を持つ島です。特徴的なのは島の多くの部分が森であると言うことです。山間部の自然は多様性と希少性を併せ持ち、世界に誇る豊かさを持っています。日本で2番目に広いマングローブ林や、アマミノクロウサギに代表される絶滅が危惧される固有種。そうした豊かな森が育む海洋部には美しいサンゴ礁が広がっています(奄美大島観光案内のHPより)。



 奄美大島の海は透明で4、5メートルの深さはある海底まできれいに見えます。少し先の海の色はサンゴ礁でエメラルドグリーン、アマミブルーです。島の85%を占める山々は昔のままの亜熱帯原生林です。多雨なので水も豊かで、足下の沢に冷たい水が流れ、周囲には木質のシダ(ヒカゲヘゴ)が4、5メートルの高さまで伸び、その緑の間をアゲハよりも大きな白いチョウ、ツマベニチョウや、羽先が透けた青色のリュウキュウアサギマダラが舞っています。気が付くと私たち一行(4人)の足元に10センチ位の黒い、足の長いクモ(日本で最大のクモ、オオハシリグモらしい)がいたので、大騒ぎになりました。入口だけでもこれだけの種類がいました。原生林は恐竜の時代の森を思い起こさせます。島の成り立ちと、残された原生林は世界有数の固有種の多い島となっています。そしていま、奄美市は世界自然遺産の登録を目指しています。

奄美空港から名瀬港に向かう途中の海辺で

名瀬港から西に向かっての港で

金作原原生林の入り口で。木生シダのヒカゲヘゴが中生代のように木よりも高く生えている

原生林にいた、多分日本最大のクモのオオハシリグモ

ピンボケですがリュウキュウハグロトンボ。そのほか、ツマベニチョウ、リュウキュウアサギマダラ、ツマムラサキマダラ、ヘリグロヒメトカゲも見ました。

住用町の日本最大(ではありませんでした。お詫びして訂正します。)のマングローブ林

加計呂麻島の南西にある「フーテンの寅さん」のロケ地にもなった徳浜

国会での質疑や政府案から見えてきた共謀罪の姿 「共謀罪法案の廃案を求める4.6大集会」から(K)

2017-04-14 | 共謀罪
治安問題に関する法律は必ず変質する そして、共謀罪は立憲主義をゆがめる
日本ペンクラブ 吉岡忍

 2つのことを言いたいと思います。治安問題に関わる法律は何年か経つと必ず変質すると言うことです。今政府は今回の共謀罪は内心の自由にも触れないし、一般の人には関わりがないと言うことを説明しています。過去のことを振り返ると今から100年前明治42年に公布された新聞紙法はどうだったでしょうか。時の政府は新聞・雑誌の発行条件を整えて整然とした発行体制を作るためだと説明しました。条文にあった「安寧秩序を乱し、風俗を乱す」、これを理由に内務大臣は政府批判、軍部批判の新聞や雑誌を発行禁止に追い込んできました。そして新聞雑誌の発行者、編集者、記者、筆者たちを逮捕してきました。結局この法律は敗戦の時まで続き36年間続き、戦前、戦中の言論を統制する役割をになった。
 治安維持法はこの法律はもともと朝鮮の政治犯罪を取り締まる、ここに源流がありました。日本には関係ないと説明されていました。ところが今から90年前、大正と昭和の2度にわたって改訂された結果、すべての社会活動を禁止する法律に変わっていました。そして違反者を死刑にするなど戦争が終わるまで猛威をふるう法律に化けていました。
 戦後はどうでしょうか。民主主義国家になった、そういう事はありえないと思っていないでしょうか。しかし国旗国歌法はどうでしょうか。平成11年に制定された国旗の掲揚や君が代の斉唱を強制するものでは無い、と当時の政府が説明していました。しかし、それから10年もたたないうちに学校では君が代斉唱、国旗掲揚が義務化され、そして今や先生や生徒は口パクでないか点検され、違反した教師たちは次々と職場を追われていきます。
 道徳教育と言うのはどうでしょうか。もともとこれは教育勅語に基づいて天皇制の教育を行う修身として戦前、戦中に行われてきたものを原型としています。昭和33年、あまりにも子どもたちがやんちゃだと言うので道徳と言う時間が作れました。公衆道徳を身につけると言うだけの話でした。今年、文科省は算数や国語の授業と同じように格上げし、ちゃんと日本人になっているかと言う点数までつけるものになりました。
 政府や権力者はこういう法律は一般市民を縛るものでは無いということを、そして、必ず社会の秩序ある発展と市民の安全、安心を図るものだと説明をします。けれどいつも、これらの法律をねじ曲げ、拡大解釈して市民の内心の自由、言論の自由に介入して、彼らが邪魔だと思う言論、思想を排除してきます。
 第2点、共謀罪は立憲主義をより歪めていくものだと言うことです。立憲主義は人権を保障し、三権分立を保障する憲法に基づいて、政府と国会、司法は律しられなければならないという民主主義の大原則です。あらゆる法律はこの原則に基づいて制定されています。しかし今度の共謀罪は、もう一つの全体を律するものを持ち込み、法律全体を運用しようとしています。これは憲法の原則を骨抜きにし、市民を監視し、内心の自由や言論の自由を踏みにじるものだと言わざるをえません。
内心の自由、表現の自由に関する法律はいつでも拡大解釈され、変質し悪用されます。それは歴史が証明し、今の政府の動きが証明しています。



明治以来テロで殺害された人のほとんどが戦争に反対した人々、共謀罪は再びあの暗黒のテロ国家に
「安全保障関連法案に反対する学者の会」佐藤学さん

 4月1日、朝 新聞を見ておったまげました。閣議決定で教育勅語が容認される、学習指導要領に銃剣道。銃剣道と言うのは自衛隊がやっている訓練だけです。とんでもない時代を迎えています。教育勅語容認の言葉の中に憲法、教育基本法に反しない限り認める、という言葉が入っている。教育勅語は1948年に各院で排除と失効が決まっている。なぜ排除と執行が決まったのか。これは憲法と教育基本法とは全く相入れないと言うことで決まったわけです。この国会決議を閣議決定1つで覆してしまう、こんな首相は要りません。
 共謀罪、びっくりしました。テロ対策とんでもない。戦前の歴史を思い起こしてください。日本は世界有数のテロ国家でした。特に1930年代以降、特高警察を媒介にして何人の政治家が、何人の市民が、何人の知識人がテロの被害にあったでしょうか。この根幹をなすのは何でしょうか。治安維持法です。治安維持法がなければあんなテロ国家にはならなかったんです。私、今回、明治以来テロで殺害された人を調べてみました。ほとんどが戦争に反対した人々です。共謀罪がもし施行されたら日本は再びあの暗黒のテロ国家になってしまうのではないでしょうか。
 さらに今国会に議員立法として提案されている家庭教育支援法。国家のための人材育成になっているか、それを家庭でチェックすると言うのです。同じような通達が1930年に出ています。文部省から出されました。これは1942年に戦時家庭教育要項。これが出されたことによって隣組ができてしまった。みんなが監視役になって総動員で戦争に動員される体制、これを作り上げていくのが家庭教育支援法です。ここまで3点セット揃ったこの状態を一刻も早く抜け出しましょう。

今、起こっているのは「かこつけ」の政治
立憲デモクラシーの山口二郎さん

 今、起こっているのは「かこつけ」の政治です。安倍首相は南スーダンの平和にかこつけて自衛隊を出しました。安倍首相にとっては自衛隊を外に出し、武器を使う、それ自体が目的です。
 同じかこつけのポーズがそのまま共謀罪にも当てはまります。テロにかこつけて共謀罪。
 本来政策と言うのはみんなのため、きちんとした目的があってそれを実現するための手段であるはずです。しかし今、安倍政権が目指している政策は共謀罪にしてもことごとく政治家や官僚のやりたかったテーマを実現する。むしろ国民の生命や自由を抑圧するような、権力の肥大化を招くようなものばかりです。
 もう一つ私が感じるのは感情の堕落です。森友学園の問題の財務省のふざけた役人の態度、今や官僚は憲法で規定している全体の奉仕者、国民への公僕ではなくて、自民党政権の召使いに成り下がってしまった。このような役人たち、警察官僚や法務官僚が共謀罪と言う武器を手にしたら一体何が起こるのか、自民党に逆らうまっとうな神経まっとうな良識を持った市民をことごとく弾圧しにかかることはもう火を見るよりも明らかではないでしょうか。既にそのことは沖縄でもう起こっています。

テロの内容が書かれていない、準備行為の限定がない、殺人予備罪など現行法で取り締まれる
京都大学教授 高山佳奈子さん

 全く立法事実はない共謀罪法案をなぜ先に強行しようとするのか全く理解ができないのです。
 法案はテロ等準備罪と呼ばれていながら、テロ対策のための情報が条文には全く入っていないんです。脱税共謀罪と同じなんです。テロの内容が書かれていないんです。うその情報で国民をだまそうとする。これは民主主義に対する重大な攻撃だと思います。
 共謀罪の構成要件を限定したと言われていますが、処罰範囲が明確にされていない。組織的犯罪集団というのは既定の認定をしておりません。ある時点から捜査機関がそうだと言えばそうなってしまうわけです。「テロリズム集団」と言うのを無理矢理挿入したんだけれども、その後に「その他」って書いてあるので、どんな集団も該当してしまいます。
 準備行為が必要だと言われているけれども従来、予備罪や危険犯の処罰の時に必要とされていた実質的な危険が要件になっていないので、カレーを作る、お金をおろすといったような行為も含まれる、これも法案に、その他という言葉がありますので限定がない、と言うことになる。
 3月31日、自民党の法務調査会は党所属の国会議員宛に国民のための説明資料と言うのが出たんです。この中に嘘がいっぱい書いてあるんです。国連条約、これは2004年に出された立法概要の中で、もともと協約に処罰の規定のない国は導入する義務はなくて、それに匹敵するような対応すれば足りる、ということが明文に書いてあるんです。ブルガリアとノルウェー以外に共謀罪立法した国は知られていない。
 また自民党の文章の中には、現行法ではテロ組織は水道水に毒を混入することを計画し、実際に毒物を準備した場合にあってもこの時点で処罰することがありません、となっているんですが、こんなの殺人予備罪も成立するし、毒物劇物取締法違反でも処罰することができます。このようなあからさまな嘘を使って国民を騙そうとする。許すことができません。


リアルタイムの生の情報で、それぞれが根拠のしっかりした貴重な発言でした。このことを多くの人に知ってもらいたいです。

国会での質疑や政府案から見えてきた共謀罪の姿 「共謀罪法案の廃案を求める4.6大集会」から

2017-04-12 | 共謀罪
国会での質疑や政府案から見えてきた共謀罪の姿
4月6日「共謀罪法案の廃案を求める4.6大集会」に参加して

4月6日に共謀罪法案が、安倍政権から国会に提出されました。その日の午後6時半から日比谷野外音楽堂で共謀罪に反対する総がかり行動実行委員会の抗議集会が開かれ、3700名が参加しました。そこに参加した政党や団体からの発言は共謀罪の問題点がよくわかるものでした。紹介します。

共謀罪は関係のない人も一網打尽 わかりやすい言葉で世論を高めよう
民進党 有田芳生議員

 NHKやフジテレビがテロ等準備罪と盛んに言っていますが、与党からの指摘もあって「テロリズム集団」と言う言葉が入りましたが、テロと言う定義はこの法律には入っていない。
 安倍首相は共謀罪の例えとしてオウム真理教の例を引き合いに出した。地下鉄サリン事件があった時オウム真理教の信者は在家信者も含めて国内に10,000人、ロシアには50,000人の信者がいる。全く事件に関係のないこのような人たちまで一網打尽に全部捕まえると言うのがこの共謀罪の本質です。
 近頃、実行準備行為等とこれまでの共謀罪とは違うと言い始めました。しかし国会の質問の中でカレーの中に毒物を入れる計画をしたときにカレーを作る事は実行準備行為なのかと質問したことに対し、金田法務大臣は答えられない。他の野党議員も質問したけれども40項目の質問に答えられない。
 1950年代に警職法(警察官職務執行法)反対のたたかいがあった。その時週刊誌が、「デートもできない警職法」と言う特集を組んだ。それがスローガンとなって全国各地に広がっていった。今度の共謀罪は「LINEもできない共謀罪」「カレーも作れない共謀罪」、野党も一緒になって全国に広めていきましょう。国会の会期末は6月18日まで、今日から数えて土日を除けば50日の戦いです。世論を高めてがんばりましょう。

国際条約はマフィア対策。オリンピックのテロ対策、警察白書では「世界との連携」
日本共産党 田村智子議員

 政府の説明ではオリンピックを開くためには国際条約が必要と説明してきましたが、この条約はマフィアを規制するもので、そもそも政府はこの条約を提案するときテロは条約の対象とはすべきではないと説明してきました。オリンピックの開催を決める時ドーピングは議題になったけれどもテロは議題にはならなかった。  2013年から政府はオリンピックに向けて、世界一安全なプロジェクトと言うのを積み重ねてきた。その作業工程表を見てもテロ対策のために新たな法律が必要と言う言葉は一切も出てきませんでした。
 平成28年度版警察白書、その特集はテロ対策。ここで挙げられているのは水際作戦のために世界の国々ともっと連携をとっていくと言うことと、他国の言語や文化や宗教をもっと理解した人の養成が必要だということが挙げられているだけで共謀罪と言うのは一切出ていません。
 テロ対策と言うのならばあの中東地域でこれだけ不安を引き起こしたイラク戦争そして入国禁止令まで出したアメリカの特定の宗教や国を敵対視する、このことを辞めさせて世界と強調してテロをなくすための運動をやることです。
 テロ対策を口実にして国民の思想に踏み込む、国民の集会の自由に踏み込むこんな危険な法案を絶対に許すことができない。国会周辺を歩いているのが花見なのか組織犯罪のための下見なのかそんなことがどうしてわかるのでしょうか。国民総監視で盗聴や尾行を繰り返し、そうやって組織犯罪を作り上げていくことがこの法律の目的ではないでしょうか。

277の治安維持法が出来るようなもの 犯罪の前の段階で処罰、捜査手法が一変する
社民党 福島瑞穂議員

 テロ等の「等」について質問書を出しました。するとその答えはテロ以外の全ての犯罪と言うことでした。 犯罪は既遂でなくては処罰されません。未遂、予備は例外です。刑法の予備罪は7つしかありません。全く手前の段階で何も公益侵害が起きていない、その段階から一網打尽に処罰しようとしています。277の治安維持法が出来るようなものだと思います。
 LINEも一斉メールも共謀罪が成立します。どうやってLINEやメールの共謀と認定するのでしょうか。金田法務大臣はメールやLINEも共謀の対象であり将来、盗聴法の対象も検討し得る、と言った。共謀罪ができたら捜査も一変します。
 共謀している集団があるんじゃないか、何かやってるんじゃないか。捜査手法が全く変わってしまいます。社会を変える共謀罪なんです。

相談の内容を日常的にチェック 公安調査庁は生協などもマークしてきた
自由党 山本太郎議員

 なぜ今共謀罪が審議入りしたか。理由は2つあります。1つは共謀罪を早く成立させたい。もう一つは森友問題、加計問題。これを封殺するためにそれよりももっと大きな問題を出す、それが共謀罪なんじゃないですか。彼らこそ共謀の中心にいる人間じゃないですか。ありえないです。共謀罪があっても、森友、加計問題は追求しようではありませんか。
 共謀罪と言うのは相談しただけでアウトだ。どんな相談をしていたのかチェックしなければならない、どんな準備をしていたのかチェックしなければ証明できない。日常的にチェックし続けなければいけない。という事は全員が犯罪者扱いです。この国にいる人を監視し続ける、そのためには盗聴するしかない。尾行するしかない。
 政府は一般の方々には関係のないことですと言っている。では一般の方はだとはどういう人たちのことなのか。1996年頃、公安調査庁の内部資料が流出した。公安調査庁というのは、外務省の外局で暴力的破壊行為を行うものをチェックし続けている。流出した内部資料を見てみると公安調査庁がマークし続けたのは、日本ペンクラブ、生活協同組合、原水協、アムネスティーインターナショナル、全国郊外患者の会。暴力的な企業活動によって傷ついた人々が声を上げるそんな団体がマークされる、そういうことが続いていた。政府が考える普通じゃない人たちとは、当たり前の声を当たり前のようにあげる人たちです。人々の生活を良くしようと言う人たちをマークし続けている。そういう人は全員アウトです。
 そうならないためにはどうするか。大きな声で、みんなにわかる言葉で。小学生にもわかる言葉でどんどん騒ぐことです。

共謀罪は国民運動を潰そうとするもの 73年前の沖縄を戦場にしたことが行われるのでは
沖縄の風 伊波議員

 共謀罪は戦争のできる国になるための法案だと思う。国の言うことを聞かないやつは捕まえてしまい、黙らせてしまえと言うことだ。軽微な犯罪で何度にもわたって逮捕され、山城博治さんは5ヶ月も拘留された。戦争ができる国になるためにはGDP 1%じゃダメなんです。2%必要なんです。だから今アメリカはNATOに2%出せと言っているんです。いずれは日本にも自己責任で2%出せと言ってくるでしょう。あと5~6兆円は防衛費に入れなくてはならない。その他には教育も福祉もあちこちカットしなければいけない。そういったことに反対する国民を黙らせる仕組みが必要だ。
 沖縄でも宮古島石垣島など南西諸島にはそのための自衛隊基地が着々と進められようとしています。
日本は戦争できる国に近づこうとしている。中国との戦争に日本をアメリカの盾にしていく。そう言う考え方なんです。そういったことに反対をしていく国民の運動をつぶしていく。そういうことにこの共謀罪があるんだろうと思っている。そういうふうに沖縄からは見えます。
 沖縄で自衛隊の基地作りが進んでいけば行くほど、かつて73年前の沖縄を戦場にしたことが行われるんじゃないかという懸念を持って、毎日100名、200名、多い時は400名、沖縄の人たちが辺野古に早朝から座り込みをしているわけです。

次回は市民運動の方の発言です。

原発事故から5年9か月の南相馬市を訪ねて その2(K)

2016-12-14 | 震災と原発
仮設住宅を訪問

 仮説住宅に入居している高齢男性に聞きました。
 原発事故後、まず、体育館で避難所暮らしとなった。5月から天童市のホテル住まいになったが、部屋は狭く、父母と4人暮らし。要介護だった親との同居だったので生活時間が違い大変だった。仮設には2011年8月から入居することができた。
(仮説住宅は四畳半2間と、玄関と台所・風呂(合わせて四畳半二間分)などがついています。)
 仮設住宅は最初は出身行政区ごとにまとめるとしていたが、入居者が一度に申し込まないので、途中からは出身行政出身区ごとにまとめることはできなくなった。
住宅の改善については、みんなの意見で、火災になると長屋作りなので隣に延焼するのでストーブはダメ、プレハブなので冷暖房保温のためにペアガラスにする、フローリングから畳にする、風呂追い炊きにする、物置を設置する、ネズミが水道の配管をかじって水漏れするので修理する、天井に黒カビが生える、などを改善させてきた。それでも、冬にはガラス戸から水滴が床に落ちて、畳がふやけている。後付けの設備にかかったお金は、住人は負担しないが1軒で200万円だった。
 私は、これから自宅に戻ろうと思って小高区の自宅の屋根を200万円かけてリフォームしたが、畳を剥いだら床もボロボロだったので罹災申請をして解体し建て替えることにしている。仮設住宅はH30年の4月には出て行かなければならないが、大工さんが忙しくて解体や建設も間に合わない。地元以外の建築業者に頼んだ場合、家の解体から出る建築廃材の処理も20キロ圏内の建設業者が優先なので、遅くなり頼むこともできない。これも放射能を受けている建物のチェックということで必要なのだろう。
 借り上げ住宅や自主避難も来年の春には期限切れになる。仮設住宅はH30年度の春までに空けなければならないことになっているので、来年の春には集約されるだろう。しかし、H30年度の春にまでに移り住める家が無いなら、さらに延期もされるようになるのではないか。
 仮設住宅はここでは125戸あるが出ていった人もあり、現在の入居は72戸となっている。生業が回復しないので若い人は、このような避難先の仮設住宅の所では仕事が確保できない。結局、仮設住宅には隠居だけを残すことになる。高齢者だけの限界集落になる。
 現在、応援に来ている人の宿泊で町内のアパートも満杯になっているので、応援に来ている介護士などが代わりに仮設に入っている。

案内してくれた議員の話
 6.2mの防波堤を越えた津波にのまれた家や学校の跡、無数に積まれた1㎥くらいの黒い袋の群、5年9カ月たっても手がつけられない津波半壊の点在する家、外傷がないが戻れないで放置されている集落を案内しながら、地元の議員さんは言います。「今年7月12日に避難指示が解除されたが、一方で除染廃棄物の仮置き場を広げている。

国道沿いには除染した廃棄物が連なっている。

 3年間だけ田んぼを借りると言っていたが、それは5年間に伸ばされた。そして5年過ぎた今も、田んぼを潰して仮置き場を広げている。増設されると風評が広がり農業にいい事はない。放射性廃棄物の焼却炉(現地では減容施設と書いている)も作られ稼働している。除染で環境が悪くなっている。置き場がないと言うのなら、ここに置いて農地や農業をダメにするのではなく、電力を大量に消費している東京に持っていけばいい。汚染水のタンクが間に合わないと言うのなら東京湾に流せばいい。そうでもしないと福島の苦しみをわかってくれないのではないか。自分たちは東北電力を使っているのだから、と言う人もいる。」と言っていた。何のための除染なのかわからない。

福島の思いをみんなが声を上げなくては
 政府は解除基準を、これまで一般人に適用してこなかった20mSvに引き上げ、帰還させようとしています。さらに、借り上げ住宅の入居を終了し、自主避難者への支援を打ち切り、経済的に強要しています。それに対し、福島の若いパパやママは子どもを守るために抵抗しています。安心して学べるためには線量を1mSv以下になってからというのが何よりも大事だと思いました。こんな状況下では住人も戻らず、商店も成り立ちません。買い物もできなければ人は戻ってきません。
 しかし、政府は40年を過ぎた原発を相次いで再稼働させています。例外が例外でなくなっています。
 福島にいない多くの人々が声を上げなければ、緩和された解除基準が放置されていきます。子どもの健康が蝕まれ、子どもを守る若い親が締め上げられ、一部の地域の問題として容認されていきます。福島の人たちの、命が、健康が、くらしが脅かされていることへの心の叫びを、自分のこととして感じてほしい、そして声を上げてほしいと思いました。

原発事故から5年9か月の南相馬市を訪ねて その1(K)

2016-12-07 | 震災と原発
避難指示解除で住民の意識は

 12月1~3日、原発事故から5年9か月になろうとする南相馬市を訪れました。訪問先は避難先の鹿島区にある仮設の小学校、福島第一原発から20㎞圏内の南相馬市小高区の現状、鹿島区にある仮設住宅、小高から転居して鹿島区で花屋を始めた人でした。

 下図は避難指示区域です。H28.7.12から、南相馬市の南部の小高区は避難指示解除準備区域と居住制限区域でした。

 2016年7月12日に、居住制限区域と避難指示解除準備区域が一気に解除されることになりました。解除の要件は
1.空間線量率で推定された年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることが確実であること
2.電気、ガス、上下水道、主要交通網、通信など日常生活に必須なインフラや医療・介護・郵便などの生活関連サービスが概ね復旧すること、子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗すること
3.県、市町村、住民との十分な協議
(「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」改訂) (平成27年6月12日原子力災害対策本部決定・閣議決定)(抄)
とされました。
 つまり、これまで一時帰宅や製造業・農業の再会等は認められるものの宿泊は禁止されていた地域が、今回は20ミリシーベルト以下であれば、居住しても良いと規制緩和され居住制限が解除されました。20ミリシーベルトであっても住め、戻れと言うのです。
 ICRP(国際放射線防護委員会)は一般の人は1年間で1ミリシーベルト以下と線量限度が定めています。そして、20ミリシーベルトいうのは、緊急時の公衆の被爆レベル、あるいは放射線作業に従事する作業者についての線量限度で、5年間が限度です。20ミリシーベルト以下であれば、居住しても良い、などと言えるものではありません。


 津波の被害の5年9か月たっても手が付けられていない。

避難先の仮設小学校、何%の子どもが通っているか
 最初の訪問は仮設小学校です。校長先生が説明、案内してくれました。
南相馬市は南から小高区、原町区、鹿島区の3つに分かれています。南にある小高区は、福島第一原発から20キロ圏内で避難指示解除準備区域、すなわち年間1ミリシーベルト以上20ミリシーベルト以下の地域でした。20キロ圏~30キロ圏内の原町区や30キロ以上の鹿島区は避難指示区域に指定されてきませんでした。この区分は住民の避難状況や小中学校の在籍児童生徒数に現れています。


小学校の在籍率

 3.11東日本大震災・原発事故の年は、避難指示の出なかった原町区、鹿島区の小学校はそのまま存続しました。しかし、20キロ圏内の小高区の4つの小学校は移動を迫られ、鹿島区内の3つの小学校に分かれて移動することになります。
 4月22日、市の北部の鹿島区のそれぞれの小学校において始業式が行われ、その小学校内で授業が始まりました。そして、11月には鹿島小校庭に仮設小学校が作られ、4つの小学校はそこに移動しました。さらに、翌年4月からは鹿島中学校校庭に仮設校舎が建てられ、そこで4つの小学校の授業が再開されることになりました。小高区の中学校は鹿島区内の鹿島小学校校庭に作られた仮設校舎で授業が再開されました。H26年11月には仮設体育館も作られました。
 平成23年以降、クラスは一部まとめられました。市外に避難して学校に来られない子どもたちも多く、小高区の小学校在籍率は予定数の20数%と低く、1クラスに2人あるいは3人の教師が授業に当たると言うことも行われてきました。
 しかし平成28年度から小高区の各小学校は統合され、校長も一人になりました。学級数を合同することによって教室が空き、特別教室も作ることができました。
 今年度は3学期が終わった後に小高小に戻ります。来年入学する1年生は4校合わせて3名の予定です。
 これからの課題の一つに卒業生の問題があります。仮設住宅があるので鹿島中に転校しようか、あるいは仮設の家では隣の音がするので引っ越ししようか、引越しのお金はどうしようかなど、それぞれの家によって様々な問題を抱えています。だから6年生の子は、来年はどこへ行くとは話しません。
 小高に住んでいいと言うけれども今は線量が高い。校庭でも0.14から0.15あります。原町中央公民館も0.2と高い。運動は校庭で行いますが、ハイキングはバスで仙台に行きます。近くの公園も同じ線量です。花壇については土を農協で買ってきてプランターで栽培しています。

*心配な線量に児童数はどこまで回復するのか。親と子の悩みはまだまだ続きそうです。安心して学べるためには線量を1ミリシーベルト以下になってから地域の制限を解除することが何よりも大事だと思いました。そうでないと生産される野菜が心配、風評被害も広がる、健康も心配。こんな状況下では住人も戻らず、商店も成り立ちません。買い物もできなければ人は戻ってきません。

次回は仮設住宅での思いなど

原発再稼働と投票 新潟県知事選を参院選と比較する。

2016-10-20 | 震災と原発
 新潟県知事選は原発再稼動反対、TPP反対の知事が誕生しました。参院選では自民党は1人区で前回よりも9議席減らし、前回の参院選よりも10名近く減らしました。しかし、安倍首相はその後も川内原発に続く伊方原発の再稼動やTPP推進、社会保障の切捨てを進めています。今回の選挙は、原発立地県であり、農漁業の生産県でもあり、原発再稼動とTPP推進は県民生活の直結する選挙でした。県民はこの課題に「ノー」を審判しました。
 今年7月の参院選は戦争法が争点でした。今回は原発、TPPです。新潟県民の審判はどう違うのか。特に、電源立地交付金などにどう審判を下したのでしょうか。参院選との比較で考えます。

全般的比較
 まず、与党と野党の得票を参院選と比較します。参院選では野党が2000票の僅差で勝利しましたが、今回の知事選では62,000票の大差となりました。
 参院選に比べて投票総数は13万票ほど減っています。3か月の間に関心が薄れたということはないと思いますが、原発は雇用か命かの二者択一ととらえられていることもあり、審判しにくいという人もいて棄権が増えたのかもしれません。それは、野党は約32000票減、自公は93000票減という形で表れました。野党の32000票減は、民進党を支援する連合の中には原発推進の労働組合もあり、一方で自公には原発やTPPが争点となって、戦争法とは違った投票行動あるいは棄権に出たのかもしれません。

都市規模別比較
 投票行動の変化はどう表れたでしょうか。都市規模別、地域別に見てみます。
 自公は政令市、その他の市での落ち込みが目立ちます。一方、野党は政令市での減少は小さく、その他の市でも減少幅は自公よりも小さい。町村でも自公は減少しています。有権者数の違いもありますが、都市での変化が大きく影響しました。

政令市の新潟市内の変化
 得票率では、市全域で野党が大きく伸ばしています。参院選は平均で野党が下回っていましたが、今回は自公が減らし、野党が増えたのがはっきりとしています。


電源立地交付金は自公に有利だったか
 原発で恩恵を受けているのは立地自治体と周辺自治体です。資源エネルギー庁が発表した、県内主な自治体ごとの平成26年度電源立地地域対策交付金を活用した事業費は、柏崎市21億8246万円、刈羽村10億4422万円、上越市5億7358万円、長岡市1億4437万円、出雲崎町7030万円、阿賀町5799万円、湯沢町5707万円、魚沼市4602万円などです。さらに、原子力発電施設周辺地域の住民および企業に対し、原子力発電施設などの運転終了まで、給付金の交付が行われています。
 これが投票にどういう影響を及ぼしているのか。投票結果を見てみます。左からほぼ交付金の多い順です。

 交付金が最も多い柏崎市、刈羽村は自公が今回伸びました。長岡市も前市長が立候補したこともあり、自公が伸びています。阿賀町も伸びています。出雲崎町、阿賀町、糸魚川市、聖籠町、妙高市、佐渡市は若干の伸びにとどまっています。
 自公が伸びなかったか、多少減少したが自公が優勢の自治体は、津南町、村上市、胎内市です。このうち津南町の減少は目立ちます。
 与野党が逆転したところは湯沢町、魚沼市、十日町市、南魚沼市、三条市です。それぞれ野党の伸びが大きく、勢いがあります。
 引き続き野党優勢のところは上越市、新発田市、五泉市です。

 ほとんどの自治体は交付金をもらっていますが、それでも今回は逆転したところも多くありました。
これを地図上で色分けしたのが次の図です。

得票数、8区域で野党は増、自公票は大きく減。自公は4区域で増、野党減
 得票数は、交付金が多い柏崎市、刈羽村は自公の票が参院選、知事選とも野党を超え、今回は原発再稼働が争点となったためか、得票数も伸びています。自公の候補者は前長岡市長だったことも要因となって7000票あまり増えています。交付金の効果が見える一方、周辺地域では影響が少ないことも見えます。
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野党への期待の流れ広がるか、これからが本番
 見てきたように、特に自公は都市部で大きく減らしたことが、安倍政治への不信が広がったことが今回の自公の敗因ではないでしょうか。しかし、全体として投票数は減っています。県民の期待はまだ道半ば。これからも野党が信頼を広げられるのか、これからが本番です。

沖縄・高江支援に行きました 9月20日~23日(K)

2016-09-28 | 沖縄
沖縄・高江支援に行きました
 9月20日~23日高江支援で高江に行ってきました。

やんばるの森は貴重な亜熱帯林
沖縄・高江地区は豊かな自然のやんばるの森(やんばる(山原)とは、沖縄本島の北部のこと。森林が多いので山原と呼ばれたらしい。最近では、貴重な自然が残っている、大宜味村、東村、国頭村あたりを指すことが多いが、その辺りの亜熱帯林)の近くにあり、約150人が暮らしています。世界的にも希少な亜熱帯林のもとでヤンバルクイナ、リュウキュウアカショウビンなどの絶滅危惧種が生息し豊かな生態系をはぐくんでいます。しかし、この森の7800ヘクタールは広大な北部訓練場(米海兵隊ジャングル戦闘訓練センター)として、米軍が50年以上も居座り続けているのです。そればかりか「県民の負担軽減」と言いつつ、民家に近い高江地区にオスプレイパッドを建設し、オスプレイの訓練区域や上陸訓練のための提供水面も新たに作られました。すでに出来上がった直径75mの2つのオスプレイパッドでは訓練が開始され、夜間10時30分まで轟音が続き、子どもが勉強に集中できなくなり高江から1世帯が疎開しました。今は抗議行動が続いているのでオスプレイは訓練を控えているようで、見ることができませんでした。

やんばるの森にオスプレイ
オスプレイに関する反対決議は相次いでいます。
 2006年2月23日 高江区区民総会、ヘリパッド建設反対決議(2回目)
 2010年6月10日及び2014年3月19日に2回 大宜味村議会、東村高江地区へのヘリパッド建設に反対し、北部訓練場の無条件返還を求める意見書を可決。
 国頭村で、オスプレイ配備反対の意見書と抗議決議が全会一致で可決(沖縄タイムス2011年9月17日付)
 2015年2月23日 東村議会、ヘリ新着陸帯使用禁止決議。
 2015年6月29日 東村議会、オスプレイ飛行禁止と撤去を求める意見書・決議を可決。
 2016年7月21日 沖縄県議会、ヘリパッド建設に反対し建設中止を求める意見書を採択(賛成多数)。
そして、ヘリパッド建設反対の座り込みは、やんばるの生態系と住民の生活環境を守るために9年前から続いています。

毎週水・土が集会の日 そのほかの日も連日抗議活動。テントでは9年間、昼夜分かたず見張り
 9月20日、私は朝早く自宅を出ましたが、東村に着いたのは午後6時。高江は沖縄本島北部なので、その日は移動で1日終わってしまいました。埼玉からは思ったより遠かった。翌21日(水)、朝8時半ごろ私は高江のN1テントに着きました。このテントでは9年間、昼も夜も誰かが工事現場入口を監視しています。来る途中、ところどころに機動隊のバスが停車し、数名の機動隊員が出ていました。物々しい警戒で威圧しているようです。

(Voice of TAKAE(2015年6月28日改訂版より)

 毎週、水・土曜日はテント前で抗議集会が開かれます。当日も集会が行われました。当日の座り込みの参加者は約250人。平均70歳位の人たちが多い。地元の住民を中心に県内各地からも応援に来ています。うるま市から参加した人は「こちらには32、うるま市には80人くらいが集会をしている」と言っていました。沖縄県内の団体からの参加、県会議員や国会議員の伊波氏も来ていました。私たちのように県外からの参加もあります。


機動隊が参加者をごぼう抜き
 機動隊は東京、大阪、神奈川、千葉、愛知、福岡から来ています。今日の機動隊は沖縄県警。「今日は機動隊のバスが多い。7月22日の集会では500人の機動隊に座り込みを排除され、ダンプのバンパーにつかまって無理矢理引っ張られて指を切ったり、車の上から逆さに落とされたりしてけが人が出た。それを教訓に今日の抗議行動では決して無理をしないように頑張ろう。剥がされたらまた次回に座り込めば良い。決してあきらめない」と集会の百戦錬磨らしき進行役は参加者に注意事項をハンドマイクで伝えました。

 座り込みをしている地点から200メートルほど坂を下った所がカーブになっている。そのカーブを機動隊の人垣が蟻のように近づいてくる。「今日機動隊は300人。こちらは250人。がんばりましょう」と進行役がマイクを馴染みらしき人に渡した。その人はハリマオの替え歌で参加者を励ました。みんなは緊張感もあるが半分慣れているようで、笑ったり、気勢をあげたり、そうして機動隊を迎え撃とうとしていた。機動隊は10時ごろ坂の下に現れたが、20分くらいしてようやく目の前に現れた。近づいた機動隊の群れは道路を埋め尽くした。そして、集会参加者の排除にとりかかる。機動隊が座り込みの人たちに丁寧に「危険ですから移動しましょう」と声をかけるが、決して人の声に耳を傾けないで無表情に「危ないから移動しましょう」の連発だ。私たちは「高江のすべての住民が反対だと言っているのに何で作るんだ」の声も全く聞こうともしない。10分ほど対峙していましたが座り込みの端の方から1人ずつ無理矢理、みんなで組んでいた腕を引きはがし、5、6人で、手、足、胴を持ち上げて排除していく。そのまま道端に降ろすと、すぐにその周りを取り囲み、もうそこからは道路に出さない。

 そして全員が排除された11時ごろ警察の警備車両を先頭に、その後をダンプカーが砂利を搬入する。4代、4台、二台と合わせて10台、10トンダンプが砂利を運び入れた。250人が座り込んでも搬入されてしまう。自然豊かな中で育って暮らしことがなぜできないのか。なぜ米軍言いなりで沖縄の日本の貴重な生態系を明け渡してしまうのか。なぜそれを日本の警察が国民の血税を使って加担するのか。誰の税金だと思ってんだ。日本国民はこの横暴を、居住の自由の侵害を容認するのか。これが成功してしまうなら次は私たちの所かもしれない。日本中、どこでも強行されてしまう。だから許してはいけない。国民は「許さない」の声を上げなくてはいけない。

少人数の平日は10tダンプが続々と
 翌22日のテント前にはやっと20人程度でした。その後に参加者も来ましたが、それでも3 0~40人でした。機動隊は50~60人ほど。参加者は道路わきに封じ込められましたがそれでも声を上げました。基地内に入ったダンプは20台に達しました。昨日の残りを今日埋め合わせをしてしまいました。毎日、高江に集まらないと阻止できない。来られないとしたら日本の各地で声をあげないと阻止できない。

 隣の国頭村の決議では、「北部訓練場の一帯は貴重種の生息地域であり、配備されると自然環境の悪化や村民の生活環境が脅かされる」と指摘。配備計画の撤回と同飛行場の即時閉鎖、無条件撤去を求めた。沖縄県知事も「沖縄にこういう形で基地がおかれるというのは、私たちからすると容認しがたい」と強行に反対をしています。住民の総意、強硬への反発の県に対して強行することは、民主主義に反する。地方自治に反する。生態系の破壊という点では人類の英知に反する。科学に反する。なおのこと、日本各地で声をあげなくてはならない。

武力対武力では戦争の危機も
 同じ日本人同士がエネルギーを消耗する。これを高見の見物で防衛局と米軍が笑って見ている。一方、国民の中には米軍との共同が大事、それが正義と思っている人もたくさんいる。そして、辺野古や高江への基地建設を認めている。それが安倍内閣を支持し、安倍首相が強硬な姿勢に出る。しかし、力と力の関係で戦争を止めることができるだろうか。
 先日、私たちが地元の駅前でスタンディングをしている時、北朝鮮のミサイルに“対話での解決”を訴えたら、「そんな理想言ったってだめだよ」と言うのがいた。「核と核で威嚇しあっても解決しない。核と核、核戦争が起こってしまうかもしれない」と言ったら、「そんなこと起こりっこない」と言う。だったら核配備の必要もない。それなのに核対核を言う、この矛盾。

対話による解決しかない
 北朝鮮は、アメリカの侵略を理由に先軍政治を行っています。国の主権は世界が保障すべきです。「ならず者国家」などと言って干渉・攻撃の対象にすることはいけない。それが北朝鮮の先軍政治(すべてにおいて軍事を優先する)を正当化しています。一方、北朝鮮の核兵器開発は問題で、これまでの北朝鮮の非同盟諸国会議での発言と矛盾するものです。
 一方、北朝鮮には食料生産、経済発展の問題があります。その国を支援するとか、輸出するかどうかは輸出国の自由です。貿易は商取引です。攻撃の矛先が向かえば、輸出しなくなるのもやむを得ません。しかし、支援は根本的な解決にはなりません。食料や経済はその国が解決しなければならない問題です。そのために互いに協力し合うことは可能です。
 非同盟諸国会議の《平和5原則》(①双方の領土保全および主権の相互尊重、②相互不可侵、③双方の国内問題への相互不干渉、④平等および互恵、⑤平和的共存)などの立場に立って話し合うことが大事だと思います。

 中国も平和への脅威になっています。中国の狙いは経済発展のためのエネルギー、天然ガスの確保でしょう。しかし、それは温暖化を考えたとき間違っています。再生可能エネルギーの開発こそすべきで、そこに日本が技術協力をする、それが本当の国際貢献、平和への道ではないでしょうか。そういう話し合いができないのでしょうか。


2016参院選、比例代表にみる野党共闘と改憲勢力(K)

2016-07-14 | 憲法問題
2016参院選、比例代表にみる野党共闘と改憲勢力
       *本文中、民進党は2016年以前は民主党の議席数、得票数。

野党共闘は効果を発揮

 民進党の得票増は野党共闘によるものか、維新との合流によるものでしょうか。
 下の表は参院選比例代表の主な政党の獲得議席数の推移です。



獲得議席数の推移

 民進党は前回比で4議席増で、維新が減らした2議席以上に増やしています。維新との合流に、「期待しない」は67%、「期待する」は26%だったので、合流よりも野党共闘による効果と考えます。
 全体の傾向は、自民は改選比では大きく、前回比でわずかに増やしています。民進は改選比では大きく減らしていますが、前回比では回復傾向にあります。共産は改選比増ですが、前回比では横ばいです。野党共闘は比例区でも増加の効果をあげました。一方、公明はほぼ横ばい、維新は分裂を受けて減っています。


 議席に表れませんでしたが、野党共闘の効果は民進だけでなく共産、社民、生活の各党にも表れています。
 おおさか維新の票は2013年参院選比で約100万票のマイナスですから、民進党への維新の票は約100万票、寄与したと考えられます。今回、民進党の票は2013年の民主党の票と比べて、460万票増えていますから、維新からの票を除くと360万票、純増ということになります。野党共闘によるものと考えられます。共産党、社民党、生活の党も86万、28万、12万、得票率で0.9、0.3、0.1%増えています。ちなみに公明党は得票率を減らしています。野党共闘は野党各党に効果があったと言えます。

改憲勢力は60%
下のグラフは参院選比例代表の各党の得票率の推移です。

 与党・改憲勢力は60%にも達しました。2013年と2016年、与党・改憲の勢力は変わっていませんが、「みんなの党」が解党し、それが主に民進に来たように見えます。改憲勢力と野党共闘が明確に分かれました。与党・改憲派は約60%、野党共闘は40%の勢力図となっています。

 今回の参院選によって、改憲勢力は2/3の議席を占め、改憲の発議ができることになりました。発議の後には国民投票がありますが、これは憲法96条によってその投票の過半数が必要とされています。今回の比例の得票を見ると、次のグラフのようになります。国民投票への得票率が2013年の参院選、2014年の総選挙の政党への得票率と同じと考えると、憲法「改正」派が多数になります。


 安倍首相は自民党の党則により、2012年9月26日の自民党総裁選挙で総裁となったことから、最長可能な在任期間は2018年までとなる。これは同時に、安倍氏が首相でいられる期間も最長2018年までとなるが、首相に任期はない。
 今、確実に言える最も早い次期、国政選挙はアベノミクス解散による総選挙が2014年12月14日に実施されたので、総選挙は2018年12月になる。従って、安倍首相が自分の任期中に憲法改正を成し遂げようとするならこの時までに国民投票も実施されていなければならない。
 選挙を通じて憲法問題を知らない人は多かった。秋の国会から憲法を変えるための憲法審査会が開かれるという。議論の中身に注目しつつ、平和と民主主義、基本的人権を守る憲法の姿を広める時間はそう多くはない。