ハツカネズミ
(ウェブ画像)より
思えば20世紀は
二十日鼠の天下だったなあ
産めよ増やせよと叱咤して
数の勢いで富国強兵を目論んだ
女たちは腹の休まる暇もなく
二十日鼠のように子供を量産した
男たちもまた血眼になって物を生産し
キラキラと輝く富の力に期待した
ところがどうだ
富はもう悪しき性格を帯び
二十日鼠の淘汰を始めている
スタインベックの時代へ逆戻りじゃないか
ジョージの夢は農場主になること
キャンディ老人の支援で実現しかかったのに
幼馴染の友だちレニーの不始末で
雇い主の怒りを買い悪夢と化した
愛するレニーは知恵遅れの大男
無邪気に夢物語を聞いてくれる無二の相棒
だけどレニーと一緒だと夢に近づけない
藪に隠れさせて背後から撃ち殺した
富の姿はいつも藪の中
ここまでしないと挑戦の資格すら得られない
スタインベックは冷徹なまでの眼光で
富の素顔を明らかにした
二十日鼠よ そんなにキョトンとするな
作家や詩人の表現に付き合うことはない
おまえは可愛いままで生きろ
いつまでも同じ轍を踏む人間を憐れめ
21世紀の夜明けはまだ遠い
暗い畑でネズミの巣を潰そうとする奴も
ロボットや人工知能を駆使して
新たな仕組みを作ろうとする者も同類だ
富が苦悩を救ってくれると考えるかぎり
地上に安らぎの時はない
グローバリズムも保護主義もやがて消滅し
混濁した闇だけが忍び寄る
参照=小説『二十日鼠と人間』(ジョン・スタインベック)および同じ題名の映画
アメリカでは、強欲な金融街などが貧富の差を極端に拡大させ、トランプ大統領を生み出してしまいました。
トランプ大統領は、批判的なマスコミやイスラム教徒等を激しく攻撃し、不寛容な社会は世界中に拡大していくのでしょうか。
トランプさんは自分の言ったことに急き立てられて、国と国との約束をどんどん反故にしてますね。
これからは二国間交渉によって、相手を威嚇してでも自国の優位を獲得しようとする強権体質が明白になったようです。
このような考え方の人が、権力を政府から国民に取り戻すというのですから、まさに悪い冗談・・・・ジョーカーじゃありませんか。
トランプ・ゲームのジョーカーは時に切り札としての力を発揮しますが、ピエロの絵柄に秘められた悪魔的な意味合いが浮かび上がってきそうです。
百年単位で世界の頂点を考えている中国と、知略に長けたロシア、この二国を相手に米国の瓦解が早まらなければいいのですが。
当面、鋤で叩かれる二十日鼠は移民やマイノリティーですが、切り札として利用される米国民だってうかうかしてられませんね。