どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム236 『おかめ違いと思ったが』

2019-06-15 18:53:39 | ポエム

    おかめ蔦

   (城跡ほっつき歩記)より

 

 

おかめ ひょっとこ お神楽の

たれ目の出番と期待をしたら

あなたの名前は お亀さん

お亀蔦とはびっくりこん

 

たしかに形はカメのよう

水底にひしめく子亀の群れが

うようよ泳ぐ暗い池

言われてみれば うなずくばかり

 

ちょっと待ったと異議申し立て

頬ふくらますお多福さん

おかめとお多福の間には

深い因縁物語

 

大工の棟梁長井飛騨守高次は

一本しかない柱を採寸違い

短く切った失敗を

見かねた女房がアドバイス


無事に本堂が組み上がり

見届け安堵の女房のおかめ

委細が知れたら夫の不名誉と

みずから命を絶つ忠義


お陰で棟梁高次は名声を保ち

妻のおかめの名前にちなみ

福面お多福を付けた扇御幣をつくり

千本釈迦堂におかめ塚を供養


でもおかめ塚は大工の聖地

棟上げ式にはお多福面の扇御幣

女房の忠義と亭主の供養は

時代を超えて語られる

 

おかめ違いと錯覚したが

もとは同根 お亀蔦

おかめもお亀も名前の共有

おかめとお多福は面相の共有

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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