どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設19年目を疾走中。

ポエム82 『公国の花オレンジリリー』

2015-03-22 10:36:39 | ポエム

 

       オレンジリリー

 

      

あなたはヨーロッパアルプスの峪に生まれ

清らかな公国を築いた姫ですか

鏡のように磨かれた季節に息を詰め

小国の矜持を保っていますか

 

リヒテンシュタインの夏は透き通っています

ときめきの色はライトマゼンダに

悲しみの色はライトシアンに

風を混ぜてシェイクするのです

 

世界を歓喜させる切手帳はいつ売り出しますか

国花のオレンジリリーは健在ですか

ルビーのような瞳の野鳥は囀っていますか

姫の執事は6ヶ国語を操っていますか

 

小公国好きのジャパニーズ・ツーリストさん

わたしにも幾多の試練はあったのです

アルプスには隠された秘密が眠っています

オレンジリリーの話もそのひとつです

 

祖先はドイツ系のボヘミアン貴族と聞きました

神聖ローマ帝国初期の領邦国家ですよね

ハプスブルグ家の重臣だったことから

文化や芸術に理解が深かった・・・・

 

私の夫は地方貴族のフーゴです

リヒテンシュタイン城主の娘ハデリヒが私です

幼い頃は白百合のような姫と讃えられました

でも国は生き延びることが最大の使命です

 

オーストリアとスイスに挟まれて

ドイツ連邦国家に参加できなかった

やがて連邦は解体され公国は祝福された

山を敬い水を友とし花を愛せよとの国是とともに

  

あらあら貴方はとてもクレバーな人・・・・

歴史好きのジャパニーズ・ツーリストさん

最後に一つだけ謎かけをさせてね

私の国の国花はなぜオレンジリリーなの?

 

オレンジリリーの花言葉は

崇高ですかそれとも軽率ですか

  

  


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« どうぶつ・ティータイム(1... | トップ | どうぶつ・ティータイム(1... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
どちらかと言えば・・・ (知恵熱おやじ)
2015-03-24 23:15:04
本場のアルプスもリヒュテンシュテインも行ったことがありませんが、オレンジリリーの花は気取っていない感じで親しみを感じます。

花言葉は存じませんが、もし崇高か軽率かと言われれば私なら「軽率」がピタリのような気がしますね。親近感を覚えるというか。
花言葉 (tadaox)
2015-03-25 14:36:54
リヒテンシュテインは、ちょっと立ち寄った程度ですが、景観に恵まれた美しい国でした。
オレンジ・リリーが国花とは後から知りました。

花言葉は、お楽しみ。
たしかに親近感を覚える花ですね。
ありがとうございました。
野の花 (aqua)
2015-03-26 10:37:55
こんにちは

オレンジリリー
野に咲く百合にも似たような種がありますね
オレンジリリーを聞いて
ポエムを拝読すれば
なんと高貴な花だろうと思いました
でもすごく親近感が湧くのは
普段見慣れた百合に似ているからかも知れませんね
日本に来た百合も
素をただせばドイツ系なのでしょうか?

『鏡のように磨かれた季節に息を詰め・・・』なんて
どうしたらこんな素敵な文章が出てくるのでしょうか
素晴らしすぎますね!

いろいろ思いめぐらせ
楽しく拝読させていただきました
いつもありがとうございます
現在の園芸種は・・・・ (tadaox)
2015-03-26 22:27:57
(aqua)様、こんばんは。
詩の一節に注目していただき、ありがとうございました。
山間の村に流れる空気には、季節の香りが漂っているように思いました。

写真のオレンジ・リリーは、どのように作られたのかわかりませんが、原種となる百合は北半球の各所に自生していた百合の一つだと考えます。
リヒテンシュタインの国花となったいきさつも不明ですが、現在の園芸種よりは野性味の感じられる百合だったのだろうと想像します。

今週末には、桜が見頃になるのでしょうか。
花ほど人々を元気づけるものはないですね。

コメントを投稿

ポエム」カテゴリの最新記事