(浅間と草津白根の見える場所)
晴れの日の浅間山
冬のあいだ遠ざかっていた山小屋を点検がてら、久しぶりに草津方面へドライブしてみた。
軽井沢から登っていくと、坂の途中に浅間山の景観ポイントがある。
明日(日曜日)は天気が崩れるとの予報だったので、晴れているうちに一枚写真を撮っておいた。
春から夏へと衣装替えをする浅間山の姿は、いつ見てもダイナミックで男っぽい。
そのまま版画になりそうな残雪の風景であった。
カラマツ林の中の小屋
10年ほど前にひと夏過ごした時の記憶は、今も鮮烈に覚えている。
地中から這い出てきたセミの幼虫が、物干し台の支柱にすがりついて脱皮するのを見届けたのもあの頃のことだった。
スズメバチに襲われて絶命するセミのあがきも、命のありようを教えてくれる教科書と言ってよい。
ひっきりなしの蝉しぐれが、秋になっても耳の奥に刻まれたまま消えることはなかった。
季節は徐々に移り
東京の桜はすでに八分咲きであったが、標高800メートルの高原では一足飛びの春は望めない。
カラマツの根元を覆った雪はなかなか溶けず、道路に面したあたりから徐々にぬかるんで春を迎える準備をしているのである。
ゆっくりと季節は移り、つかの間の夏を謳歌して再び秋へと輪廻していく。
夏バテした人間がいっとき英気を養い、再びシビアな競争社会へと戻っていくのと大差はないように思われる。
草津白根山を遠望する
草津白根山のカマ(火口)の水が変色していたとのニュースは、まだ記憶に新しい。
火山性微動もあったらしく、警戒レベルを一段階引き上げ、周辺への立ち入りを規制したまま今日に至っているはずだ。
山小屋から数百メートル離れた地点に、白根山を遠望できる場所があるので、国道を越えて嬬恋村に足を踏み入れる。
広々した畑は、まもなくキャベツやトウモロコシを生産するのであろうか。
このあたりの野菜は、浅間山と草津白根山の両方を見ながら育っていくのである。
嬬恋から見る浅間山
仕事の都合で一泊しかできないので、久々に六合村(現在は中之条町)の応徳温泉に浸かって来た。
村営から町営に変わったせいか、「くつろぎの湯」の看板と出入り口が変わっていたが、温泉の成分は今までどおりである。
午後の4時から5時にかけていくと、知った顔の二つや三つと出会うことができる。
40度を下回った程度のトロンとした湯に浸かって帰ると、体中から力が抜けて朝まで爆睡することになる。
やせ衰えていたぼくが健康を回復したのは間違いなく応徳温泉のおかげで、今更ながらこの温泉の威力に驚くとともに、かつての日々に思いを馳せるのであった。
左は白糸の滝方面
わかされ茶屋のあたりは、まっすぐ行けばが軽井沢、右側が鬼押し出し、そして左へ行けば白糸の滝方面の三叉路になっている。
帰りは曇り空のもと自動車の往来もすくなく、ドライブするには好都合であった。
昨日(土曜日)から今日にかけて、上野公園や千鳥が淵は人でごった返しているらしいが、ついつい人ごみを避けてしまうのは歳をとった証拠だろうか。
東京へ戻ったら、井の頭恩賜公園にサクラを見に行こうかという意欲は持っている。
「まだまだ」とカラ元気を装っているだけかもしれないが・・・・。
(おわり)
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農家の方が何十年もかけて作り上げてきた黒い土は豊かなポテンシャルを秘めていて、間もなく一面に育つ野菜の緑色が脳裏に浮かびます。
一枚の写真で二度楽しめる・・・やっぱり自然と折り合いをつける生活のある風景はいいなあー。
(知恵熱おやじ)さんの目の付け所はさすがですね。
山の姿だけでなく、足元の畑に注目・・・・たしかに黒々とした土は豊かな感じがします。
何十年もかけて耕してきたからこそのポテンシャル、う~ん、夏に向けて一気に広がる緑の風景が目に浮かびます。
このあたり寒冷地なので、農作物の適温期間が限られていて、それだけに一気呵成の生産へ秒読み中という感じです。
コメントありがとうございました。