どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(175) 『興ざめの大相撲』

2014-03-23 01:57:43 | コラム

 

     『興ざめの大相撲』

 

 

    スポーツ報知より

 

 

 大阪場所もいよいよ千秋楽を迎えようとしている。

 野球賭博や八百長疑惑で存亡の危機に陥った大相撲も、白鵬はじめ力士や関係者の努力でなんとか持ち直し、今場所はかなりの日数満員御礼が出るようになった。

 相撲ファンのおっちゃんとしては、連日テレビの前で遠藤だ大砂嵐だ豊真将だと、話題の力士を応援して残り少ない人生を充実(他力本願で面目ないが・・・)させてきた。

 稀勢の里が綱取りに失敗した時には、大いに嘆き悲しみながらも自分なりに失敗の原因を分析したものだ。

 あがり症だとか気が弱いとか言われる精神面の弱点の他に、中途半端な受け相撲であることが相手につけ込まれる要因の一つではないかと考えた。

 白鵬や日馬富士を見るまでもなく、世はスピードの時代である。

 目まぐるしく技を繰り出す横綱をはじめとする攻め相撲の激しさに、おっとりした受け相撲は対応できなくなっているのだと思われる。

 栃錦・若乃花の時代、あるいは大鵬・柏戸の時代だったら、稀勢の里はもう少し相撲が取りやすかったのではないかと、タラレバの弊に陥りそうになっている。

 その点、大関鶴竜が先場所あたりから相撲っぷりを変えてきたのには驚かされた。

 いつも稀勢の里の陰に回って、可もなく不可もない成績に終始していたのが、ここ二場所で強烈な攻め相撲に大変身したからである。

 稀勢の里の失敗を、我が事のように反省し吸収した成果が、まもなく綱取りとなって現れそうな状況となっている。

 モンゴル勢が三人横綱を張って、日本人力士が下の方でチョロチョロしている図は見たくもないが、やがて現実となれば受け入れるしかないようだ。

 

 さて、しかし、鶴竜が強くなったのは認めるが、12日目から横綱がバタバタと負けだしたのはどう理解したらいいのだろう。

 (まさかモンゴル同盟なんて、ないよねえ?)

 テレビだか、ラジオだか、スポーツ紙だか、誰が口にしたのか忘れてしまったが、おっちゃんの記憶の中にはこの嫌な発言が確かに残っている。

 ナショナリズムがやけに目立つ時代だが、まさかそんなことはないだろう。

 よからぬ噂に惑わされては、せっかくの相撲が面白くなくなる。

 しかし、中盤まで磐石の相撲を取っていた日馬富士と白鵬が、相次いで「らしからぬ」負けを喫して興ざめしてしまったのは、おっちゃんだけではないだろう。

 もう一つ、不満がある。

 日馬富士の張り手である。

 稀勢の里の顔面に何発見舞ったことか。

 耳を狙うだけでなく、鼻から口の辺りまで捻り込むような執拗さだった。

 今場所、下位力士に張られたとき日馬富士が「横綱に向かって失礼だ」といったそうだが、張り手は元々「張り差し」という技を四十八手に入れて多様性を持たせたものだ。

 近頃のように「平手の暴力」がまかり通ったのでは、相撲道もへったくりもない。

 怪我から復帰した大砂嵐まで、勝ちたい一心で張り手を使いだした。

 このような現状を、親方や協会役員はどう思っているのか。

 個々に注意するのが筋だが、力関係で強く言えないのだろうか。

 概して日本人力士は紳士的に見えるだけに、相撲観戦の最終盤になってストレスが溜まるのである。

 

 稀勢の里は失敗を恐れずに、攻撃相撲に転換して欲しい。

 張り手のマトになる暇もないほど、突っ張って先手先手で相手を崩せば必ず勝てるはずだ。

 わずかな希望は、稀勢の里の巻き返し。

 豪栄道の進歩、それと遠藤の出世か。

 まあ、いろいろ異なる見方もあるだろうから、おっちゃんの世迷言と思って聞き流していただきたい。

 滅多に吹かない当ブログの春一番でありました。

 

     (おわり)

 

 

 * スポーツ報知様、画像の無断転載ごめんなさい。

 

 

 

 

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6 コメント

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同感 (サンミゲル○○)
2014-03-23 21:14:12
 相撲はあまり好きではないのでほとんど見ませんが、
このとことのモンゴル勢の勢いはすごいものがある、
でも今場所の様に横綱たちが終盤ガタガタ、結局鶴竜が
横綱になりそう、疑うわけではないが・・・
 もっとも日本人の力士たちがもっと頑張れば良いのだけど、
日本人にはハングリー精神が無くなってしまったのかナー。
 こんな事を言うと人種差別になってしまうのかナ。
返信する
一枚も二枚も上手のモンゴル人力士 (tadaox)
2014-03-23 22:45:52
(サンミゲル○○)さん、こんばんは。
同感とのコメントをいただき、心強い味方を得た気分です。
解説の北の富士さんも、曰く言い難い愚痴をこぼしていましたねえ。
鶴竜は立派だったし、日本人力士は不甲斐なさすぎという意見ももっともだし、ここまで弟子を育てられない親方や協会役員への不満も然りだと思いました。

さて、取り組みに戻りますと、思いっきり攻めさせれば、琴奨菊は強い。
だから、日馬富士と白鵬が負けたのは不思議でも何でもないのでしょう。
だけど、鶴竜には勝てなかった。思いっきり攻めさせてもらえなかったからだ。(勝負の行方に理屈を言うなと嗜められそうですが・・・・)

(サンミゲル○○)さん、ハングリー精神云々は人種差別じゃあないでしょう。
日本人力士には、根性を注入すべし。
白鵬だって痩せっぽちで、モンゴルに帰される寸前だったというじゃありませんか。
出発点は日本人と同じ、それがこうまで差がつくとは、北の富士さんの嘆きがよくわかります。
ありがとうございました。


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信じたくない (更家)
2014-03-24 07:40:35
なるほどね~・・・

私も、日馬富士と白鵬が相次いで負けたときは、ここで何故?という感じでした。
でも、私としては、ご推測のナショナリズムが原因だとは信じたくない、という祈りの気持ちです。

遠藤の将来性に期待したいと思います。
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祝福しましょう (tadaox)
2014-03-24 14:17:21
(更家)様、ありがとうございます。
鶴竜は立派です。祝福しましょう。

遠藤の将来性に期待する気持ちはよくわかります。
稀勢の里、豪栄道の奮起にも期待しています。
返信する
春一番 (aqua)
2014-03-25 18:59:02
tadaoxさま こんばんは

相撲がお好きなのですね
相撲ブームが去った頃に
遠藤とか個人名の力士が出てきて
また相撲も面白くなるかも知れませんね

どうせなら
一郎とか太郎とか名前はどうでしょう?
一応国技なので
伝統と品格を重んじ ダメなんでしょうか?

でもモンゴル勢が強すぎた頃から
私的には面白くなくなりましたので
もう少しインパクトがないと
若者の相撲離れは
仕方ないと思います
アッ 私は若者ではありませんが・・・


滅多に吹かないtadaoxさまの春一番
もっと吹いて欲しいです^^




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吹き終わりました (tadaox)
2014-03-25 21:03:04
(aqua)様、こんばんは。
ゴミが目に入らないよう、春一番の日はサングラスとマスク着用を・・・・なんちゃって。

相撲に限らず、政治なんかでもなかなかモノを言えない状況が作られてしまう。
人々が術中にはまっていると気づくと、ときどき旋風が巻き起こるのです。

お付き合いいただき、ありがとうございました。


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