どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム98 『ビオラの本音』

2015-07-25 03:25:39 | ポエム

 

     ビオラ

    (城跡ほっつき歩記)より

 

 

愉快魔と呼ばれる男がいた 筋書き造りが大好きなのだ

普通じゃないんだなその男 時には天才アジテーター

いうこと聞かなきゃ ぶっこわす・・・・なんて

自分の住む家だって 火をつけかねない

 

どちらかといえば爆弾マニア・・・・

起爆装置が完成すると もう我慢がならないんだ

敵か味方かなどということより 演出効果抜群と見るや

ひそかに練った計画を 一挙に実行に移すのだ

 

人ができないことでも 俺ならやってみせる

たとえ失敗しても 自分を笑えるぐらい腹も座っている

愉快を手に出来る場所なら 北でも南でも出かけて行く

謀略のエキスパートに ポーカーを仕掛けて勝とうというのだ

 

一方遅れてきたもう一人の男 自分も手柄が欲しいと羨んだ

滑らか舌ですり替えを連発し シラサギ踊りを舞いつづけ

川の雑魚を ほかのサギにも分け与えた

みんなこっちへ寄ってこい 数を揃えりゃ怖いものなしだ

 

本音を隠してビオラの花を 全国津々浦々にバラ撒いた 

花いっぱい運動を繰り広げ 美しい日本を作るのだ、と

ビオラの花言葉は誠実ですよ みなさん私を信頼しなさい

勝手に引き合いに出されたビオラは 青筋立てて猛抗議

 

いくら安価な花だって 馬鹿にするのもほどほどに

従順すぎる園芸種だって 怒る時には怒るのです

ビオラはビオラ パンジーはパンジー

もう すり替えは許しません

 

ハハハ稚拙なやり方だ 愉快なところがどこにもない

エキスパートを出し抜いた やんやの拍手を覚えているか

同じシラサギ舞わせても 湿った空気ばかりでは

色濃く残る徒労感 ポーカーやるだけの器量じゃない

 

世間知らずのエッチ君に 想定外のピンチを与え

魑魅魍魎を教えてやったのも 愉快な授業というわけだ

出る杭打ちの名人に 頭叩かれ少しは悟ったはず

ヒールを履かせて踊らせた ど派手イブニング・ニュースショー

 

ミーンミーンと蝉が鳴き パフォーマンスはまだ続く

YOU SAY お前ら何喚いても ぶっ壊すのは決めたこと

マグロも目を剥く 解体ショーを

待っているのは スシ好きセレブたち

 

どうだい 役者が違うだろう?

指揮者は独りで想を練り いきなり幕を開けるのだ

どうせ塵浮く舞台なら 華麗に舞って見せなくちゃ

楽器のビオラを手に取れば 愉快魔の血がまだ騒ぐ

 

たしかに あなたの言うとおり

だけど 約束しちゃったんですよ

私の立場もわかってください

同じ狸穴に住む身じゃありませんか

 

  


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