ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

スターリングラード

2008-11-03 20:39:01 | Weblog
今日は、ドイツ映画のDVDを観ました。タイトルは「スターリングラード」。
第二次世界大戦中の1942年、ドイツ軍がロシアに侵攻したときのお話です。
スターリングラードは、ドイツ、ロシア両軍の戦死者あわせて約100万人という
大激戦区だったそうです。

この映画を観るきっかけとなったのは、笠井潔さんの小説『哲学者の密室』。
『哲学者の密室』は、私がこれまでに読んだ本の中でも、
一気に読む本の幅を広げてくれた大著で、
小説中の重要人物、ヴェルナーSS少佐が経験したという東部戦線についても、
もう少し詳しく知りたいと思いました。

『哲学者の密室』の重要なテーマは、哲学者マルティン・ハイデガーの現象学。
「特権的な死の封じ込めである密室の殺人」から始まる考察にあります。

そして、「特権的な死」に対置されているのが、
戦場や絶滅収容所で、名もなく死んでいく人たちや、
生死の境も定かでない、永遠に続く死。

「スターリングラード」の印象は、台詞がよく考えられているということ。
『哲学者の密室』の作中で交わされていた哲学的な会話を補完してくれました。
特に、最後の方で、あるドイツ将校が「自殺は難しい」と言うシーンのあたりは、
この作品のシナリオをつくるまでに、
ものすごく深い哲学論争を、スタッフ同士で行ったのではないかと
感じさせられました。

ドイツという国には行ったことがないけれども、
いまでも変なアレルギー反応をしないで、
しっかり戦前・戦中の流れも含めて、
いまの学生にも哲学教育もしている国なのでしょうか。

戦争の映画は、むごいシーンも多くて、気がめいることもあるけれど、
「スターリングラード」は、観てよかったと思える映画でした。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ドイツの小説 (amo)
2008-11-07 20:43:50
ブログ開設がとても嬉しい。
楽しみに呼んでます。

ドイツ児童文学を一時期いろいろ読んでたんだけど、敗戦国同士、日本の児童文学と似ています。
戦い、戦争、に関わるエピソードがあると、物語のバランスを崩すほど「あの戦争はよくない、戦いは愚かだ、我々は酷いことをした」と語られる。
必要に応じて、ではなく、語らずにはいられない感じが、まだまだ立ち止まってしまう問題なのだなと思った。強く語りすぎて、物語から浮いてしまうのが難しい。

とはいえ、あちらはキリスト教国なので、最終責任を神や悪魔に投げがちで、気になるかなあ。
返信する
楽しみしてる。 (やまだ)
2008-11-04 12:44:44
ブログの更新、楽しみにしてるよ。
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祝・ブログ開設 (永遠のともだち)
2008-11-03 21:26:24
とうとうブログを始めたのね。
たくさんの本を読んでここで紹介してください。そうすれば、私が読みたい本はここで探すから
返信する

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