(新)緑陰漫筆

ゆらぎの読書日記
 ーリタイアーした熟年ビジネスマンの日々
  旅と読書と、ニコン手に。

コラム 風の音~古代ペルシャの文明

2018-02-02 | 料理
コラム 風の音 古代ペルシャ文明のこと

まだこの冬の雪が降り出すまえのことである。”焼肉・ホルモンは松阪”、と聞いて松阪までドライブした。その道すがら、ミホミュージアムに立ち寄った。開館20周年記念ということで「桃源郷はここに」と題して特別展が開催されていたのである。このミュージアムのコレクションの名品が並べられていた。古墳時代(6~7世紀)から中国南宋や朝鮮王朝時代の陶磁器、それに平安時代以降の仏教美術などが、所狭しと並べられていて、目を瞠った。奈良時代の紫紙金字金光明最勝王経巻などなど興味深いものが少なからずあった。

 しかし最も驚いたのは南館で展示されていたエジプト、南アジア、中国・西域など世界のさまざまな地域から選りすぐった古代美術である。なかでも、ペルシャの金杯の豪華さ、その精緻な造形には驚嘆をしたのである。というのも。昨年秋に京都の国立博物館でみた「金印」のことが頭に残っていたからである。一片が2.3センチの金色に輝く国王金印「漢委奴国印」。後漢の光武帝が紀元57年に倭奴国に下賜したという。わが国は、まだ弥生時代。これを受け取ったわが先人たちは、光り輝く金印に驚き、かつその高い文明にひれ伏したであろう。後漢は洛陽に都があり、科学技術の進歩も著しかった。蔡倫による製紙技術の開発、渾天儀による天文学研究、全身麻酔による手術などなど。そして、この金印を見て私自身も、古代中国の力を感じたのである。

     

 ところが、古代ペルシャにかかると、そんなものは目ではない。ミホ・ミュージアムで陳列されていた黄金の装飾杯の豪華さ、獅子の形をした取っ手。、その装飾のきらびやかさは驚嘆意外の何ものではない。

 

金杯は黄金で作られており、三頭の雄ライオンが周囲に取り付けられている。キーラン洲のマールリーク遺跡から出土した。


これがいつの時代のものか。それを知って、目を疑った。紀元前1000年頃のものである。その頃はメディア人がイランに到来し定住した。そして王国を築いて、それを受け継いだペルシャ人が帝国を支配した。その頃の技術がどんなものか知るすべもないが、メソポタミアと表裏一体のイランの都市文明ではアフガニスタンの神秘的なラピスラズリなどを神官や貴人達が身にまとっていたようだ。時代背景を知りたいと、世界史の本『世界の歴史①人類の起源と古代オリエント』をひもといたが、まだよく理解するに至っていない。要は、中国後漢に先んずること1000年レベルでで高度な金属の加工技術を持っていたということである。もちろん、加工する資源もあった。

古代中国の工業技術がすごいと思っていたが、世界レベルでみると上には上があったのだ。何事も世界的視野でみることが重要だと思った次第である。













コメント (4)
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