風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

夏の終わりの房総の海(岩井)1-2

2019-12-12 | 千葉

 

その1からの続きです。

● 海の家はまじん

宿泊先は、岩井海岸のはまじん。
家の外には、やはり三色の紙のお花が飾られています。

宿泊できるのは一日2組のみ。毎回予約を取るのが大変ですが、今回も来ることができました。
ここではとても静かに、ゆったりとした時間を過ごせます。

 

ちょうど宿のおかみさんが玄関にいたので、「今年もよろしくお願いします」とご挨拶しました。

「この夏は、あなたたちが最後なんですよ」

そう、ここは海の家で、夏季期間限定の営業です。
もう一組はキャンセルになったとのことで、今回の宿泊は私たちだけのよう。

● 初めての1階

過去2度とも、小さなお子さん連れのファミリーと一緒で、その人たちが1階、私たちは2階に泊まりましたが、今回初めて1階を使わせてもらうことになりました。

古めかしくしっかりした造りの家。
壁は、昔ながらのキラキラ光る繊維が混ざり、触るとざらざらする綿壁(わたかべ)。
床の間も飾り棚もあり、祖母の家を思い出します。
一階は欄間(らんま)がある分、天井が高い~。

ここでの予定は、すべてが早め。
夕食は6時で、入浴は8時まで。
そのため、夕食前のまだ明るいうちに、離れのお風呂に入ります。

● ダイヤモンド富士

今回、夕食時間は30分遅らせてもらうことにしました。

「6時10分に、海岸でダイヤモンド富士が見られるらしいんです」と話すと、
「あら、この前うちの息子が撮影していたわ」とおかみさん。
海越しの富士山を見られるところに住んでいて、いいなあ! 

6時前にビーチサンダルに履き替え、2人で浜辺に向かいます。
菊池寛の歌碑がありました。


「遠あさの 海きよらかに 子等あまた 群れあそびゐる 岩井よろしも」

彼は昭和3年から昭和8年の間、岩井海岸に避暑に訪れていたそうです。

その歌の通り、遠くの方で泳いでいる子供たちグループと大人がいました。
でも、ビーチにはほかに人はいません。

 

そして、肝心の富士山は、全く見えません!!
「あれえ、富士山、どこ~?」

 

夕日は丸く見えますが、その下の厚い雲に隠れてしまっているのです。

しばらく海岸を散歩しながら、富士山が姿を現すのを待っていましたが、逆に雲の方が厚くなってきて、いつしか夕日も、見えなくなってしまいました。

 

「・・・宿に戻ろうか」

きれいな光景を見られずに、肩を落としましたが、それでも夕暮れ時のひとけのない浜辺の散策は、爽やかで心地いいものでした。

タオルドライしかしなかった髪の毛も、風ですぐに乾いたし。

宿のおかみさんに「見れましたか?」と尋ねられ、がっかり顔で「いいえ」とかぶりを振ります。
「それは残念。夕食どうぞ~」と言われて、サクッと気持ちが切り替わりました。(現金)


こういうのを見たかった…

● 金魚の洗い場

外の洗い場で足を洗っている時、タイル式の洗い場に、赤と黒の金魚の絵がついていることに気づきました。

「わあ、かわいい」

覗いていたら、左の隅に緑のバッタがいるのを発見。
こちらは本物。静かにとまっていました。

● 夕食

いつも、魚づくしの料理を食べさせてくれるこのお宿。
今回もおいしそうです。

 
三種のお造り、スズキ・金目鯛・ブダイ

どれもおいしい!
(今回の夕食に揚げ物は出ないかも)との推理で、お昼にしいらのフライをいただいたのですが、予想が当たりました。

● 24時間テレビ

おいしく食事をした後、TVをつけると、「24時間TV」をやっていました。
今日が放映日なのね。

オープニングに、東松島からの中継で、嵐の松潤が登場しましたが、私は彼ではなく、その背後に注目します。
東松島のどの場所なの~? 野蒜海岸? 去年行ったところの辺りかな?
暗かったので、結局よくわかりませんでした。

おなかが落ち着いてから、もう一度お風呂場でさっとシャワーを浴び、浜辺の汐を流します。

● 鳴り続く笛太鼓

宿に着いてからずっと、近くで笛や太鼓の音が響いています。

どうやらこの日は、町のお祭り日のよう。
岩井地区の全ての山車が集まる、岩井地区合同祭礼だそう。

たしか前の時も、ちょうどお祭り日に当たっていました。私たちは当たりがいいわ。
でもその時は暑さに負けて、外に行かずに部屋でお囃子の音色を聴いているだけでした。

今回は、前ほど暑くはありません。
そして夕方の海を見たため、なんとなく外に出やすい気分になっています。

 ● お囃子の音の方へ

そこで、音色を頼りに、出かけてみることにしました。

「お財布持ってく?」
「置いてく」
「わたあめ買えなくなっちゃうけど?」
「そう、買わないため」

もう日が沈み、暗くなっています。
電灯のない海への道は、少しの距離でも暗くて足がすくみます。
及び腰で、音が聴こえてくる方に向かいました。

海岸沿いに出ると、ほのかに明るくなります。
音のする方は、これまで行ったことがない道。

● 山車がずらり

歩いて行くと、暗闇の中にぼおっと浮かび上がってくるものがありました。

それは、山車のようでした。
全部で12基がずらりと並んでいます。

そのどれもに太鼓がついてあり、ハッピ姿の青年たちが、かわるがわる叩いています。
それでずっと音が聞こえ続けていたんですね。

大勢の人たちが周りを取り囲んで、彼らを見守っています。
浴衣姿の人も多く見かけます。

昔ながらの夏祭りの過ごし方といった感じ。
昭和期にタイムスリップしたような気分になりました。

● 海神への奉納

木製の山車には立派な彫刻が施されており、近くまで行ってしげしげと見入りました。
南房総地域で有名な彫刻師の一門・後藤流の作品だそうです。

青年会のメンバーの家族なのか、小さな子供たちも、一生懸命太鼓を叩いていました。将来有望です。

出店は5,6軒ありましたが、わたがし屋さんは来ておらず、代わりにお面屋さんがいました。

広い会場は、おそらく岩井海岸の駐車場。
すぐ目の前は海で、波が押し寄せる音も聞こえます。
海ぎわで行われるこのお祭りは、海神様への奉納演奏なのでしょう。

過ぎゆく夏を惜しむように海へ空へと上がっていく、笛と太鼓の音。
人々の熱いパッションを感じました。

● 義手の野球少年

(いいものを見たな~)と満足して、宿に戻ります。

それからは、涼しい部屋でのんびり。
お茶やお菓子をつまみながら、24時間テレビをみて、ゴロゴロ過ごします。

『両手でバットを振りたい 義手の野球少年 夏の挑戦』という企画で登場した、義手をはめて野球の試合に出る14歳の少年を見守ります。
筋電義手というものを初めて知りました。
脳から伝達された意思が電流に乗って手が動く仕組み。
自分の意志に沿って義手を動かせるなんて、すごいAIテクノロジーですね。

● うたたね寝落ち

祭礼が終わったのか、いつの間にか、太鼓の音も止んでいました。

歯も磨いて、布団も敷いて、あとは寝るばかりの体制になって、なおもゴロゴロ。
しだいに強い眠気が襲ってきました。

普段は真夜中過ぎまで元気ですが、この日はまだ10時前。
あれー、眠くなるの早すぎじゃないー?

でも気持ちがいいので、ちょっと目をつぶってみたら、その瞬間に眠りに落ちたようです。

一度目覚めて、「あれ、私寝ちゃってたの?」と言いましたが、もはやへろへろの寝ぼけ声。
ベスも隣の布団で横になっており、反応はいま一つ。

 (真夜中過ぎに『生さだ(=今夜も生でさだまさし)』を観ようと思っているのに…)
と思いながらも、身体を起こすことができず、そのまままた意識を手放しました。

そうして、知らぬ間に1日目が終わりました。

2日目に続きます。

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