風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

伊ヶ谷港 (三宅島)

2010-03-14 | 東京

三宅島には、島の東側に三宅港、西側に錆ヶ浜港という大きな港が2つあり、火山ガスや風の強弱でどちらの港に接岸するかが決定されます。
この日は、風が強く波が荒いため、どちらの港にも接岸できず、年に1%しか船が接岸しないという伊ヶ谷港からの出港となりました。

見送りには、村長・副村長はじめ、市庁の関係者、村議会議員、宿泊先の方々などおおぜいが来てくれました。
ペンション・サントモのアツコさんと、スタッフの女の子の方の姿を見つけて、再会を喜びました。
まさかこの港からの出港とは思わず、三池港でしばし待ち、慌ててこちらに来たそうです。
色とりどりの紙テープを持ってきてくれていました。
これは、見送りのテープでしょうか。今まで映画などで見たことはありましたが、実際に自分が体験したことはありません。ワクワクします。

「今日は、風が強いから、テープはだめかなあ」と気にしつつも、アツコさんは村長さんにかけあって、直々にテープOKの村長許可をもらっていました。
私もテープの束をもらって、みんなに分けて回ります。

船内に入り、甲板に上がりました。みんな、手に手にテープを持っていますが、実は誰もやり方を知りません。
「たぶん、こちらがテープの端を持って、芯の方を投げるのよね」と言っているうちに、出向のドラが鳴りました。
次々に、テープが岸へと投げられて行きます。
私も見送りの人たちに向かって投げましたが、あまり遠くに行かず、海の間際に落ちたため、風で海中に落ちないよう、村代表の方が慌てて取りに行ってくれました。
見送りの人は、四方八方にどんどん投げられるテープを拾うのに大忙し。
送る側は、けっこう大変なんですね。



別れを惜しむ人々の背後で、クレーン船がテトラポットを吊り上げていたのが、なんだかシュールな光景でした。



ひとしきり投げ込みが終わり、船と岸を色とりどりのテープがつなぎました。
とてもきれいです。
私の赤いテープを持ってくれているのは、村代表のサクマさん。
運命の赤い糸のようで、好きになってしまいそうです。(冗談です)



そのうち、船はゆっくりと動き出しました。
テープは、どんどん伸びて行きます。
風にはためく無数のテープが、海の上を舞います。
お互い、ちぎれるほど手を振って、大声で「さよなら」「ありがとう」を言い合いました。



そのうち、テープが手から離れて行きました。
とてもとても美しい、別れの光景でした。



こんなきれいな別れを体験したことは、初めてのような気がします。
感動が胸にせまって、自然と涙があふれてきました。
ウルウルしていたら、隣にいた女子学生たちが私を見て「えっ!?」と驚いていました。
ノル氏には「また来ますよ」と言われました。
みんな、クールだわー。

忘れられない、美しい思い出になりました。



余韻に浸っていたら、あっという間に太平洋の荒波に揉まれ、フェリーは激しく揺れ出し、ようやくのことで中へと入りました。
帰りの航路もまたハードで、ずっと寝て過ごしました。



この画像はイルカさん撮影です。乗船中、私はぐったりしていましたが、こんなきれいな夕日を取る元気があったんですね…。



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