風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

京都・奈良 2018古都の秋 2-1(東山)

2019-01-25 | 近畿(京都・滋賀)
1日目からの続きです。

● 容赦ないモーニングコール

朝5時に起床。まだ外は真っ暗です。
ボーッとしながら顔を洗っていると、頭の上からジーとかピーとかいう音が聞こえて「起床の時間です!」と館内放送がかかりました。
続けてブザーが鳴り、少しずつその音量が大きくなっていきました。

極めつけに、部屋のドアをドンドンとノックされました。
(誰一人寝過ごさせないぞ!)という強い意志を感じます。

● 朝の法要

この宿坊を利用する宿泊客は全員、朝のお勤めに参加の義務があります。
みんなでロビーに集合し、薄いオレンジ色(木欄色というそうです)の衣姿の僧侶に案内されて、本堂へ向かいました。
金堂内にはすでに大勢の僧侶たちがずらりと揃っており、すぐに朝のお勤めが始まりました。

いろいろなお経を聞いてから、ひとりひとり焼香を上げます。
次は明王堂に移り、炎が燃え盛る護摩法要に参加。

● 庭園の見学

ふたつのお堂でお勤めを済ませた後は、庭園と宝仏殿の見学になります。



京都東山随一とされ、「利休好みの庭」と言われる名勝庭園。
中国の盧山をかたどって造られた築山の前に、池があります。
リアルを目指すために、あえて透明な水ではなく、濁りを残しているのだそう。



大書院に轢かれた赤もうせんの上で、お茶とおせんべいをいただきながら、庭園を鑑賞します。
贅沢な朝の茶事です。



ここのお寺はほかよりもきちんと朝のお勤めを行います。
収蔵庫の中に入れてもらい、長谷川等伯の描いた国宝の金碧障壁画を見られて、眼福。
彼の息子の書いた桜の絵は、貝を砕いた絵の具で描かれているため、明かりを消すと夜桜となって暗闇の中にふわっと浮かび上がりました。

● 食事の作法とあさげ

お勤めが全て済んだころには、空はもう明るくなっていました。
昨日よりも色鮮やかな紅葉になっています。





そのまま、朝食の席へ。
箸袋の裏に書かれた食事の作法5つをみんなで読み上げてから、いただきました。



● バスでもみくちゃ

食事を終えて部屋に戻ると、もう9時になっていました。
支度をして出発する頃には、きれいな青空が広がっていました。

智積院の門は、屋根がなく冠木を通した冠木門(かぶきもん)。
時代劇に出てくる関所の入り口のようです。



11月の連休はとても混む時期で、東山道を通るバスはどれも大混雑です。
なんとか乗りこんで、人の圧に耐えながら、ほど近い東山安井で下車。

● 安井金比羅宮

母が訪れたことがないという建仁寺に向かいます。
遠くから石灯籠が見えたので、近づいていくと、そこは安井金比羅宮でした。
見たこともないほど長蛇の列ができていて、びっくり。
まだ朝も早めなのに、すごい人気なのね。
あっけにとられているうちに、母は御朱印をもらっていました。



それは、例の縁切り縁結び碑の石くぐりをする列でした。
前にくぐったことがありますよ~。
境内はほぼ無人でしたが、秘密裏にしなくてはいけない気がして、コソコソ通ったものです。
今は列に並んでいるみんなに見られてしまうので、こっそり通ることは難しそう。
むしろみんなに見守られてるというべきか…。

林ざこばさんたちの絵馬が飾られていました。
「禁酒!三日間」とか「肝臓が2つあればいいのに」という飲んべえたちの心の叫びに、笑っちゃいました。



狛犬のそばに白猫。
似ているような、似ていないような。
ぽかぽかした日を浴びて、気持ちよさそうに丸まっていました。

● 建仁寺

建仁寺はすぐそばなのに、なかなか入り口にたどり着けません。
細い町道を迷って、ようやく中に入りました。
開く5分前で、長い行列ができていました。そんなに人気なの?



1202年開創。800年の歴史を持つ、京都最古の禅寺。
凛とした空気が張り詰めていて、身が引き締まります。
シンプルこそが美しいと教えてくれます。



方丈、大雄苑(だいおうえん)の枯山水式石庭は、砂の芸術です。
中国の百丈山の眺めを模して造られたそうです。



華灯窓からのぞく庭。
絵みたい。もはや絵でしょう。



小さなコズミックワールドです。

● 庭にわ

建仁寺の部屋ごとに美しい庭園が望めます。
禅の精神に満ちた建仁寺の庭は、どれも完成された小さな宇宙のようです。



〇△□乃庭。
まじめでお堅いイメージの禅宗ですが、名前に遊び心を感じます。
どう読むか悩みますね。
そのまま「まるさんかくしかくのにわ」と読みます。
禅の四大思想、血水火風を模したものです。



本堂の石庭もきれい。鳩がその上をちょこちょこ歩いていました。
足あとつけないでね~。



紅葉が庭に色を添えています。



大書院と小書院にはさまれた、潮音庭。



360度どこからでも見られる『四面正面』の中庭として知られています。
絵になるわ~。

● 双龍の天井画

法堂(はっとう)の高い天井に生き生きと描かれた、天を守る双龍の天井画に圧倒されました。
2002年、小泉淳作。うーん、すばらしい。
素晴らしいとしか言いようがありません。



描かれているのは、五爪の龍。
五爪の龍は皇帝の象徴とされ、通常は龍は三爪です。
このお寺を開山した栄西は、中国からお茶のみを持ち帰って日本に茶を伝えた茶祖。
それを功労して、五爪の龍を描くことを許されたそうです。

● 風神・雷神

俵屋宗達画の国宝「風神・雷神図」。
こちらはレプリカで、オリジナルは京都国立博物館で厳重管理されています。



私はこの「風神・雷神図」の御朱印帳を持っています。
そう話したら、母は「じゃあ別のにしようっと」と、桃山時代のふすま絵「雲龍画」の御朱印帳を購入しました。

● レトロな通行人

境内を眺めていると、おや、芭蕉のような人が歩いてきました。



反対側からは、舞妓さん風の人が歩いてきました。



さらに、お坊さんたちが一列になって歩いてきました。



うーん、今の時代を忘れそう。



これも、葉裏からのぞいた紅葉。

● 摩利支天

それから建仁寺の隣にある摩利支尊天堂へ。
正式名称は、臨済宗建仁寺塔頭 禅居庵です。



狛犬代わりにお寺を護っているのは、摩利支尊天の神使のイノシシ。
境内には、ほかにもイノシシ像がたくさんあります。



京都御所のそばにある護王神社も、狛イノシシがいます。
来年の干支なので、年が明けたら大人気でしょう。

● えびす神社

摩利支尊天堂の向かいにあるえびす神社へ。
そういえば、恵比寿様を祀っている神社はありますが、大黒神社ってあるのかしら?

考えてみれば、大黒様はオオクニヌシノミコトですね。
大国主命は、天照大神と対をなす国津神の最高神。出雲大社のご祭神です。
なるほど、失礼しました。



境内には白太夫社がありました。
「しろたゆう」って読むの?城田優?

「しらだゆう」と読むようです。浄瑠璃「菅原伝授手習鑑(てならいかがみ)」の登場人物で、忠義心のあつい菅原道真の従者。
北野天満宮にも祀るお社があるそうです。

● 秋の川

少し歩くと鴨川に出ました。
いい天気の日で、水面に雲が映っています。



そばを流れる高瀬川も雰囲気がよく、美しい風情を醸し出しています。



秋の小川もさらさらゆくよ~♪

● 錦市場

にぎやかな河原町に出て、錦市場を散策。
反対側から歩くのは初めてです。
専門家御用達の刃物店、有次(ありつぎ)で、刀鍛冶の手元を見学。



カリカリ博士では、チーズたこ焼きを注文。
チーズなので熱がこもって、あつあつでした。



錦市場に来ると、母は必ず丹波の焼きポン栗を買って、ニコニコしています。



観光客が食べ歩きしながら、串を片手に細い路地をそぞろ歩きしていました。
その2に続きます。



最新の画像もっと見る

post a comment