風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2019京都の初春 2-1(修学院)

2019-05-15 | 近畿(京都・滋賀)

1日目からの続きです。

● 前乗り後降り方式

前日は結構動き回ったため、夜は疲れてぐっすり寝ましたが、2日目も早く目が覚めました。
夕べから吹いていた強風は、朝起きてもまだビュービューとうなり声をあげています。

朝、100系統のバスに乗ろうとしたら、オレンジ色のビブスを着た市バスの人に「前から乗ってね」と言われました。
京都市バスは、後ろから乗って前から降りる方式ですが、一週間前から「前入り後出方式」の導入を始めました。
私が普段使っている横浜市内中心部のバスは前乗り方式。
一律料金なら、そちらの方が断然いいと思います。



ただ導入し始めたのは、いつも混んでいる人気の100系統のバスのみ。
それ以外のバスは、従来通り後ろから乗車します。
乗客の混乱を避けるためですが、前乗りと後乗りの両方の乗り方があるのがややこしい。
走り込んで乗ろうとした外国人が「ノーノー」と係員に止められて、乗車自体を止められたと思ってあきらめて去っていく様子をバスの中から眺めていました。
英語で説明しても、乗車拒否されたのかと焦る人の耳には、届きにくいかもしれません。

● 震える寒さ

東京はぽかぽか陽気ですが、京都はこの日も震えるほどの寒さ。
ダウンを着ている人も多く見かけます。
持ってきた服を着込みましたが、それでも足りないくらいです。



途中で一回バスを乗り換えて、修学院離宮道で降りました。
これから、初めて修学院離宮を見学します。
張り切って1時間も前に到着したものの、20分前にならないと受付が始まらず、中に入れてもらえません。
北風が寒い~。
じっとしていると冷え切ってしまうため、赤山禅院の方まで散策して、時間がくるのを待ちます。



離宮の前には、素晴らしく立派な蔵がありました。
重厚な観音開扉。梅窓がおしゃれ。中に入ってみたーい。

● 修学院離宮

時間になり、ガイドツアーが始まりました。
ガイドの野村さんは、奈良出身の自称ギバちゃん似の男性。
よくとおる大声の関西弁で、少し離れていても説明が聞こえてきます。
毎朝京都御所から自転車で通っているとのことです。


馬車が通れるように広げて両側に松を植えたという道


とても広く、見学ポイントは3つのエリアに分かれています。
私たちの最後尾から、皇室警察官がついてきます。



桂離宮では、茶室の縁側や柱以外のあるものほぼすべて、おさわり禁止でしたが、ここではエリアの境となる門や扉を開け閉めして移動します。
後ろの人のために扉を開けておいてあげる時も、(さわってる...)とちょっとドキドキ。



● 広大な敷地

ここは面積54万平方メートル。
「辺りを見渡す限りの景色は修学院の敷地ですよ。向こうに見えるあの山も」と教えてもらいます。
「一番遠くの山は比叡山なので、さすがに別の管轄ですが」
借景を利用して、さらに広々と見せる効果を出しているそう。



広い~。
でも那須の御用邸はここの20倍あるんだそうな。
もう想像できませんね。上には上があるものです。



日本庭園ランキングで毎年第1位に選ばれる足立美術館も、ほぼ同じ広さだそう。
桂離宮も庭園の評判高い場所ですが、足立美術館には勝てず、万年2位なのだそう。



客殿一ノ間の飾り棚は、大小5枚の棚板が霞がたなびいて見える「霞棚(かすみだな)」。
桂離宮の桂棚、醍醐寺三宝院の醍醐棚とともに「天下三棚」の一つとして知られています。

● 桂離宮との違い

ここは後水尾上皇が(桂離宮のような別荘を自分も持ちたい)と願って作ったもの。
桂の8倍の広さを持つのは、うらやましかったから?

小堀遠州がデザインしましたが、斬新すぎていまいち気に入らず、結局上皇自らが作り直したとか。
かなりの凝り性ですね。
造園状況が気になってたまらない上皇は、休みの日も女装までして庭の様子を見に来たんだそう。
天下の上皇がそこまで・・・。すごすぎる・・・。
変装してもバレバレだったため、作業員は手を抜けないと思ったのか、5年という異例の速さで完成したそうです。



桂離宮の庭園は細かく計算されて作られた緻密なもので、ファンも多いそうですが、修学院は自然をベースに作られており、かなりタイプが違います。
また桂離宮には宿泊施設がありますが、修学院にはなく、日帰り用の施設なんだとのこと。
大変ここが気に入っていた上皇は、年に数回は滞在し、40回近く訪れた時もあったそうです。


階段の先には行けません



進入禁止の石が置いてあります


敷地内に田圃があり、耕す人の姿が見えました。
8万平米の田畑を、近所の農家の人20名に貸して耕してもらっているそうです。



地名について教えてもらいました。
勉学にいそしむようなイメージの「修学院」ですが、元々修学寺(しゅがくじ)というお寺があり、それが地名になったそうです。

● かずかずの雑学

いろいろな雑学も教えてもらいました。
菊の御紋を使えるのは、天皇のみですが、桐の御紋の使用規制はないのだそう。



「みなさん、輿(こし)と籠(かご)の違いって言えますか?」
うーん、なんでしょう?
「輿は上に乗るもので、天皇の乗り物。籠は下にぶら下げるもので、将軍以下武士の乗り物です」
なるほど、そうなんですね。



ここには日々山に生息する様々な自然動物がやってきて、動物園状態なんだとか。
敷地内にはあせび(馬酔木)がたくさんありますが、鹿が食べないので繁殖しているそうです。

● 美女の話

ガイドさんが、宮内庁施設に訪れた大勢の見学者の中でも印象に残っている、美しい女性の話をしてくれました。

茶室

まずは女優の夏目雅子。
本名で申し込まれ、肩書を聞いたところ「舞台女優」と答えられたそうです。
「ここに座って、池を眺めていたら、風が吹いて、彼女の髪を揺らしていきました」
映画のワンシーンのようだったことでしょう。



チャールズ皇太子とダイアナ妃が皇太子に案内されて見えたこともあるそうです。
小さなあずまやにダイアナ妃の帽子が当たって日差しが落ちた瞬間、一斉にマスコミがパシャパシャとシャッターを押したそう。
「もちろん、そうした写真はお蔵入りになりますけどね」



● 龍が泳ぐ池

一番絵になる場所は、やはり池のあたり。
浴龍池といって、龍が泳ぐ様を模しているのだとか。
池の中の小島には茶室もあります。







1時間45分 たっぷり説明してもらい、いい時間を過ごせました。
桂離宮を見学した時には、前後にほかの見学グループが見えましたが、ここは全く見えません。
きっと違うエリアに行っているのでしょう。



● 鷺の森神社

その後、道を教えてもらって鷺の森神社へ向かいました。



「お旅所」になら何カ所か訪れる機会がありましたが、なかなか参拝できずにいた場所。
高い樹々の林の中にある、静かな神社でした。



そのまま林を抜けていったら、くねくね道になり、方角がわからなくなってしまいました。
困って、近くの家の前にいた人に尋ねて、バス通りへの行き方を教えてもらいました。
京都の人はイケズだと聞いていますが、右も左もわからなくなった私にとても親切でした。

その2に続きます。



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