ringoのつぶやき

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急落したオリンパス株を「潰れない」なら買ってもよいか?

2011年11月08日 16時35分11秒 | ケンミレコラム

■今回のまとめ

1)オリンパス株急落の原因は「損失飛ばし」。
2)上場企業は、倒産しなくても上場廃止という可能性がある。
3)チャート分析では下げ止まりそうな株価まで下がっているが、内容を考えれば買ってはいけないといえる。

「損失先送り」報道でオリンパス株が急落しましたが、過去の例から考えますと、倒産しなくても上場廃止の可能性がある事件と考えられます。上場廃止となった企業の例とチャート分析から見たオリンパス株の見方をレポートします。

本日、寄り付き直前にオリンパスが過去の損失計上を先送りしたとの発表があり、売り注文が殺到して同社はストップ安まで急落しました。投資家心理を冷やすとともに、オリンパス1社で日経平均を12円程度押し下げることになったようで、日経平均も小幅続落で始まりました。

損失先送りの内容はオリンパスの発表によると、「企業買収で支払った手数料を複数のファンドを通す等の方法により、損失計上先送りによる投資有価証券等の含み損を解消するためなどに利用されていた」とのことです。

企業買収の仲介をした投資助言会社の中心が野村證券出身ということから、野村ホールディングスも連想から大幅下落となりました。

オリンパスによれば、1990年代から損失先送りが行われていたとのことですから、思いだされるのが、「山一證券の不良債権飛ばし」事件です。

「飛ばし」とは、会社の資産運用で買った株が買い値を下回っている場合、決算時には損失として計上しなくてはいけないのですが、この株を決算期が違う会社に転売して損失計上を先送りするという仕組みです。簡単にいえば、評価損を関連会社などに「たらい回し」にすることです。

株式市場が右肩上がりのときであれば、株価上昇でいずれは評価損がなくなるために、損失を「飛ばし」ても表沙汰にはなりません。しかし、90年台のバブル崩壊で株価が回復せず、「飛ばし」の事実が明らかになったということです。

オリンパスの場合も損失を「飛ばし」ていた可能性があり、不透明なM&A(企業買収)資金との関係が明るみに出てきたということです。

山一證券のときは「飛ばし」の事実が発覚したことに加え、多額の簿外債務によって自主廃業となりましたが、オリンパスが今後どうなるかはまったくわからないことです。

ただ、「オリンパスほどの会社は簡単に潰れない」と考える方は多いでしょうし、個人的にも潰れないと思います。ただし、「株式投資」の場合は別です。

なぜなら「法令違反で上場廃止」となれば、株式投資では「紙くず」になってしまう可能性があるからです。JAL(日本航空)の場合を例にすれば、今でも普通に営業していますが、株を持っていた人たちは大きな損をしています。また、2004年にはカネボウの粉飾決算が判明してその後上場廃止となりましたが、今でも営業をしています。

ただし、JALやカネボウの場合、実質の内容は債務超過でしたから、今回のオリンパス事件とは単純に比較はできません。しかし、株式市場に上場することと、会社が存続することは別の意味といえます。

700円台まで下がったオリンパス株をチャートでチェックしますと、今の株価水準は、何度も下げ止まっている価格で、ちょうどケンミレ抵抗ラインも引かれている水準です。

チャート分析だけで考えれば、歴史的な底値圏と判断して買いたくなる可能性もあるのですが、会社は残っても上場を維持できない可能性がある以上、オリンパス株を買うことは「いちかばちかの賭け」です。

山一證券が自主廃業する直前に、証券会社にいたときの先輩が山一株を「どうせ潰れない」といって買ったことを覚えています。結果はご存知のとおりで、なくなってしまいました。証券会社で働く社員でさえ、会社がどうなるかなどわからないことです。

オリンパス株は、しばらくデイトレーダーの投機対象になって値動きが荒くなりそうですから、急反発することもあると思われます。「あのとき買っておけばよかった」と感じる動きもするでしょう。しかしながら「君子危うきに近寄らず」と考えて、値ごろ感で買ってはいけない株だと注意して欲しいと思います。

レポート担当 : ケンミレ株式情報 市原 義明



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