金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

160:井上荒野 『学園のパーシモン』

2010-09-13 08:48:39 | 10 本の感想
井上荒野『学園のパーシモン』(文藝春秋)
★★★★☆

絵の才能を持ちながら、それがきっかけになって
いじめにあうようになった木綿子。
容姿に恵まれながら、どこか欠落を抱える真衣。
女に関わる問題を起こして進学校から転校してきた恭。
女生徒との逢瀬を重ねる美術教師の磯貝。
3人の生徒と1人の教師が在籍するT学園は、
カリスマ学園長の病気で揺れている。
そんなある日、学園で昔からささやかれていた
「赤い手紙」が木綿子と真衣のところに届く――。

*****************************************

久しぶりの井上荒野。
学園ものとは、なんだか意外。
大部分が高校生視点なので、これまで読んだ作品とは
ちょっと雰囲気がちがうのだけど、好み。

真衣は生々しくオンナだなあ。
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159:アンソロジー『Lost and Found―さがしもの』

2010-09-12 15:06:09 | 10 本の感想
アンソロジー『Lost and Found―さがしもの (teens’ best selections 16)』(ポプラ社)
★★★☆☆

【収録作品】
永井するみ「ハンカチの木」
花形みつる「いっちゃん」
香谷美季「アヴァロンを探して」
長崎夏海「夢のない眠り」
石崎 洋司「神様のさいころ」

Fragile―こわれもの』と同じシリーズ。
このシリーズはまだ2冊しか読んでいないのだけど、
アンソロジーにしては出来に落差が少なく、
安定している印象。
しかし「アヴァロンを探して」は、
内容に比して文章が大仰で、なんだか滑稽だったな。

「Fragile―こわれもの」に収録されていた
花形みつる「アート少女」の続編が
本になって出ているらしい。
これは読みたい。
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158:アンソロジー『初恋リアル』

2010-09-11 10:52:05 | 10 本の感想
アンソロジー『初恋リアル (YA!ENTERTAINMENT)』(講談社)
★★★☆☆

【収録作品】
香坂直「初恋のたねは、ころんとゆれる。」
菅野雪虫「マッチ売りの少年」
樫崎茜「ローリングストーン」
片川優子「東京プリン」
椰月美智子「恋の石」

著者がみんな講談社児童文学賞出身ですね。
アンソロジーはやはり個々の作品の
出来・不出来の落差が激しい。
以下、一部感想。

「マッチ売りの少年」
菅野雪虫さんって、初めて読んだんだけど、
後味の悪さは勘弁してくださいって感じでした。
でも、作品としてきちんと完結していて、
過不足がなく、その点ではいちばん良かった。
たぶん、上手い作家さん。

「東京プリン」
『ジョナさん』である程度予想がついていたけど、
この作家さん、きっとこの、何を言いたいのかわからない、
ヤマなし・オチなしが作風なんだな。
『佐藤さん』はそうでもなかったけど。

「恋の石」
おそらく、このシリーズのターゲットである年齢層よりも
上の年齢の女性のほうが共感できるんじゃないかしら。
主人公がなぜ若い男の子に恋されているのか、
さっぱりわからない。
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157:岩井俊雄 『アイデアはどこからやってくる? 』

2010-09-11 10:33:55 | 10 本の感想
岩井俊雄『アイデアはどこからやってくる? (14歳の世渡り術)』(河出書房新社)
★★★☆☆

原稿に使えるかな?と思って借りてきたのだけど、
具体的な商品の説明が多くて、
字数の条件にも合わず、無理でした。

著者は「メディアアーティスト」。
縦に開く絵本や、視覚と聴覚を組み合わせた学期など、
自分がつくった作品を、そのアイデアの出てきた過程を
まじえつつ紹介している。
「こんな商品があるのか」というおもしろさはあったけれど、
本のテーマ「アイデア」に関わる内容としては
特に印象に残ることもなし。

それにしても、この「14歳の世渡り術」というのは、
コンセプトとして「よりみちパン!セ」みたいなのを
狙っているのだろうか。
児童書コーナーでも影の薄い感じだったけれど。
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映画:『愛と青春の旅だち』

2010-09-10 20:38:34 | 映画の感想
映画:『愛と青春の旅だち
★★★☆☆

パイロットを目指し、海軍士官学校に入ったザック。
上官のしごきに耐えながら、訓練を受ける中で、
町工場で働く娘・ポーラと出会い恋仲になるが、
幼い頃に母に自殺され、父に愛されなかった彼は
同期の仲間を助けることもせず、
ポーラと結婚するつもりもない。
上官や仲間たち、ポーラとのかかわりの中で
徐々にザックの内面にも変化が訪れるが……

*********************************

テーマ曲が有名な作品。
ストーリー自体は悪くないし、演技もいいんだけど、
わたし、リチャード・ギアの顔、好きじゃないんだよね。
性格的にいいところのない主人公は、
顔が好みじゃなかったらおしまいです!
というわけで、主人公に始終イラッとさせられっぱなしな
2時間でした。
同期の仲間の紅一点である女の子が、
そんなに出番はないんだけどチャーミング。
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156:筒井康隆 『時をかける少女』

2010-09-09 14:34:38 | 10 本の感想
筒井康隆『時をかける少女 』(角川文庫)
★★★☆☆

表題作のほか、2編を収録。

そういえば原作をちゃんと読んだことないな……と
思って読んでみたのだけど、唖然とするほどの
内容の薄さであった。
短編なので、仕方ないといえば仕方ないのだけど、
それにしたって「ぽかーん……」だった。
映画やアニメ化もされた古典的な作品だというのもあって、
なにかドラマチックな、感動的な物語を
勝手にイメージしていたのだけど、
SF要素が説明でさくさくと片づけられてしまって
まったく話に入り込めず。
映画は肉付けしてあるのかしら?
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映画:『バタフライ・エフェクト』

2010-09-06 23:13:57 | 映画の感想
映画:『バタフライ・エフェクト
★★★★☆

7歳のエヴァンは、突然記憶を失うという現象に
たびたび襲われていた。
幼なじみのレニー、トミーとケイリー兄妹と
過ごしている最中に、たびたび不幸な出来事が起こるが、
エヴァンにそのときの記憶はない。
大学生になり、記憶について研究していたエヴァンは、
当時の日記を読んでいるうちに過去の自分へ立ち戻る。
過去へ戻り、記憶を取り戻すことで
未来を変えることができると知ったエヴァンは、
ケイリーを救うために何度も過去へ戻るが……

*********************************

ケイリーを救うために何度も未来を改変するものの、
その選択が別の誰かを不幸にしてしまう。
その繰り返しに、やるせない気持ちに。
しかし、欠落した記憶を取り戻すことがタイムリープになって
未来を改変することにつながるという現象のメカニズムが
いまいちよくわからないな。

2,3とシリーズ化している模様。
2の評判がかなり悪いようなので、
1話完結ということにしておこう。
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映画:『さらば、わが愛 覇王別姫』

2010-09-05 16:07:30 | 映画の感想
映画:『さらば、わが愛 覇王別姫』(陳凱歌監督)
★★★★★

娼婦である母によって、捨てられるように
京劇俳優の見習いとして師匠のもとへ預けられた程蝶衣。
厳しい稽古と体罰に耐えながら成長した彼は、
女形として仲間の一人・段小樓とともに
トップ俳優の座に上りつめる。
「覇王別姫」の劇そのものに、蝶衣は小樓を愛するが、
小樓は娼婦の菊仙と結婚してしまう。
めまぐるしく社会が変容する激動の中国で、
京劇、そして俳優である二人を取り巻く状況は揺れ動き、
蝶衣・小樓・菊仙の愛憎入り乱れる関係は
悲劇へ向かうことになる。

****************************************

一人の男をめぐる三角関係の話だと思っていたら、
てっきり女だと思っていた主人公が男!
ホモセクシャルな感情が描かれているのだけど、
特に抵抗も感じず、彼の切ない恋情に
胸が締め付けられるような気持ちに。
小樓なんか、凡庸な小物にしか思えないんだけど、
蝶衣にとっては幼い頃の厳しい稽古を
ともに乗り越えた兄弟であり、
危機にさらされた京劇を受け継いでいくための
パートナーであるからこそ、
抜き差しならないことになっちゃったんだろうなあ。
激動の50年、時代の流れに翻弄されて
自分が救った捨て子に反逆され、
信じていた相手に裏切られる後半の展開がやるせない。

それにしても、レスリー・チャンの妖艶な美しさといったら!
「女よりも美しい男」ってほんとにいるんだね。
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155:内田樹 『日本辺境論』

2010-09-04 20:46:28 | 10 本の感想
内田樹『日本辺境論』 (新潮新書)
★★★☆☆

売れてるし、内容的にも、どこかの学校で
出題される可能性大!
……と思って買ってきたものの、読まずに放置していた

辺境の国として、そこにすむ人々として生きてきた日本人は、
常に自国以外のどこかに「世界の中心」を必要とし、
比較の中で自らを位置づけることしかできない――
というのがこの本の主旨。
これまでさまざまに書かれてきた日本論の総括であり
新しい発見はない、と最初にことわりがあったのだけど、
これまで日本論をそれほど読んできたわけではないので
問題はなし。新しい知識として受け入れられました。
途中、
「それは普通、こういう意味で言っているのでは?」
というのを、著者が都合よく解釈しているように
思えるところがあって、それが気になった。
そして、おもしろく読んでいたのは確かなのに、
読んでいる途中で数回寝てしまった。
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154:根本順吉 『月からのシグナル』

2010-09-03 15:02:23 | 10 本の感想
根本順吉 『月からのシグナル 』(ちくまプリマーブックス)
★★★☆☆

著者は気象研究家(故人)。
出産や死亡と月の満ち欠けの関係、
月齢と地震の関係、
吉凶を表す六曜の真偽……等
地球上の生物と月との関係について
暦の歴史や伝承を中心に述べた本。
最初の「月についての概説」は天文学上の
基礎知識の確認になっているのだけど、
知識があること前提の書かれ方で、
大部分、なにを言っているのかさっぱり。

本筋とは関係の薄いことだけれども、
カエサルとアウグストゥスがそれぞれ
自分の誕生月や戦勝記念に自分の名前をつけて、
それがJulyとAugustになった、という話は知らなんだ。
そして意外なところに藤原正彦氏が登場。
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