金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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166:山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』

2022-07-19 19:34:54 | 22 本の感想
山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

十九歳のオレと三十九歳のユリ。
恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた――
「思わず嫉妬したくなる程の才能」と選考委員に絶賛された、
せつなさ百パーセントの恋愛小説。
第四十一回文藝賞受賞作。映画化。
 
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タイトルとペンネームのインパクトがすごい。
というわけで、ずいぶん話題になっていたデビュー作。
タイトルから、強烈にセクシャルな話を想像していたのだけれども、
特に生々しくセックスが描かれているわけではない。
歳上の女性との恋の始まりから終わりまでを描いた短編で、
特別に変わった要素はないのだけれども、
この空気感を誰にでも出せるかといったら
そうではないのだろうなあと思う。
あまりにも女性の願望がむき出しになっていると
こっぱずかしくなってしまうのだけども、
そういうところはほとんどなかった。
相手に振り回されつつ、
感情をぶつけあうことも、
感情に生活を侵食されることもなく、
いつの間にか終わっていく恋。

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165:矢崎存美『繕い屋 月のチーズとお菓子の家』

2022-07-19 19:19:21 | 22 本の感想
矢崎存美『繕い屋 月のチーズとお菓子の家』
★★★★☆3.5

【Amazonの内容紹介】

夢を行き交い「心の傷」を美味しい食事にかえて
癒やしてくれる不思議な料理人・平峰花。
リストラを宣告されたサラリーマンがうなされる
「月」に追いかけられる夢も、
家族を失った孤独な女性が毎夜見る
吹雪の中で立ち尽くす悪夢も、
花の手によって月のチーズやキノコのステーキに
みるみるかわっていく。
消えない過去は食べて「消化」することで救われる。
心温まる連作短編集。

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初めて読む作家さん。
ぶたぶたシリーズは知っていたが、未読。

悪夢に入り込んで、その原因をつきとめ、
悪夢を見ている人に原因を食べさせるというのがおもしろい。
食べてるの、コルクとは家なのに、
不思議とおいしそうなのよね。

内容紹介には「心温まる連作短編集」とあるけれど、
ほっこり系ではなく、やりきれない、微妙に嫌な話が多い。
母親にだまされていた女の人の話は後味が悪すぎる……。
リストラされた男の人の話は、
最後の家族とのやりとりにほろり。

最終話は、急に恩田陸のサイキックものみたいになった。
続きがあること前提で、
すっきりしないまま終わってしまった。

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