あけましておめでとうございます。2020年が激動する世界と日本にとって少しでも良い年になることを、平和と安定、社会的公正の実現へ前進できる年になることを、心から願っています。今年もよろしくお願いいたします。
さて、昨年末には、ホセ・クーラが2020年11月に14年ぶりに来日する(!?)という大サプライズ情報が、びわ湖ホールの2020年度プログラム発表で明らかになりました。前回、前々回の記事でご紹介しましたが、バーリ歌劇場日本ツアーでのヴェルディ・アイーダです。1月3日現在、まだクーラの公式カレンダーは更新されていないため、まだ半信半疑ですが、続報を楽しみに待ちたいと思います。
バーリ歌劇場来日ツアーは、びわ湖だけでなく、全国各地で12公演ということもイタリアで報道されていました。いま日程が判明しているのは、11/14びわ湖、続いて11/16の浜松も公式に発表されています。キャストはどうなるのか、クーラはびわ湖ホールのほかにも歌うのか、もし歌うならそれはどこか、とても気になります。ぜひキャンセルなく来日が実現してほしいと思います。
→ 2020年1月初旬時点での、バーリ歌劇場ツアーとクーラのびわ湖ホール出演に関するブログ記事
今回は、年末年始に更新されたクーラのフェイスブックでの投稿を紹介したいと思います。また昨年の末から始まったハンガリーでのチャリティー活動など、最近の活動に関する情報もあります。12/31のモスクワでの大晦日コンサートについても沢山の情報が入ってきていますが、それについてはまた後日、まとめて紹介する予定です。
≪年末年始のメッセージーークーラのFBより≫
モスクワ音楽院大ホールでのジルベスターコンサートのため、新年をロシア・モスクワで迎えたホセ・クーラ。フェイスブックに「赤の広場」でのカウントダウンと花火の様子を掲載してくれました。一家そろってモスクワに行き、リハーサルやコンサートで多忙だったとは思いますが、家族で年末年始を過ごすことができたようです。
●FBに掲載された新年のごあいさつ
”さようなら2019-こんにちは2020。今夜00:00にクレムリンの上空の花火ーーモスクワからのHappy new year!”
●モスクワに向かう前(12/28)に掲載されたメッセージ
親愛なる皆さん。私は大晦日コンサートのリハーサルと公演のため、明日モスクワに向かう。コンピューターは持っていかない(家族に殺されるので...)。
2020年が皆さんにとって、最高の年になることを願っている。
2020年が、多くの意味で、私たちに非常な困難を与えるだろうことは秘密ではない。だからこれまで以上に、私たちは皆一緒に強くなり、お互いを見守り、互いに助け合い、お互いを守り、喜びを与えなければならない。そして、とりわけ悲しい瞬間にともに居なければならない。
いつものように。そう。しかし2020年は、「いつも通り」の年ではないだろう。だから、愛のコミットメントを増やす必要がある。
人類はそれを必要としている。さもなければ、影から、私たちの存在を彼らの利益のために操作している者が勝つ。
Peace & Love
José
≪ハンガリーでのチャリティー活動≫
2019年秋から、ハンガリー放送芸術協会の首席客演アーティストに就任したクーラ。さっそく、多彩な活動が展開されています。コンサート、レコーディング、そしてクーラ作曲の新作オペラの世界初演の日(2020/1/29)も迫っています。そして年末の時期には、いくつかのチャリティー活動にも参加しました。
●未熟児で生まれた子どもたちを支援するキャンペーンへの協力
公共メディアと慈善団体による、早産などで特別な治療を必要とする赤ちゃんを支援するチャリティ活動。クーラが協力を呼びかける動画に出演しています。ハンガリー語の吹き替えが被さって、クーラが何を言っているのか理解できないのは残念です。
●チャリティーオークションへの出品
クーラが出品したギフトボックス。ホセ・クーラとオリガ・ボロディナが出演、C・デイヴィス指揮のサン=サーンス「サムソンとデリラ」 (全曲)2枚組CD、1996年にロンドン・ロイヤルオペラハウスでのサムソン出演時にクーラが着用したかつら(!)、メッセージカード付、サイン入りです。すでに落札されています。
●”音の彫刻”オークション
クーラがコンサートなどで何回も出演している音楽ホール、Mupa(ブダペスト芸術宮殿)を中心としたチャリティ活動のようです。ホールに出演したアーティストの音楽のイメージを、著名な彫刻家が木工作品にして、それをオークションにかけて販売するという企画らしいです。売上金は、ある貧しい地区において木工工場で雇用を増やす事業に使われるとのことです。
クーラをはじめ、指揮者のアダム・フィッシャー、イヴァン・フィッシャー、ズービン・メータ、歌手・演出家のローランド・ヴィラゾンら、多くのアーティストが参加して、自分の音をイメージした作品にサインをしました。実は少し前までは、それぞれのアーティストのページが公開されていて、そこにアーティスト紹介と各人による音楽ファイルが掲載されていたのですが、現在はアクセスできなくなっています。
写真は、”音の彫刻”にサインするクーラと、完成した彫刻です。
今回は、昨年末のハンガリーでのチャリティ活動について紹介しましたが、クーラはこれまでもチャリティに熱心で、可能な限り協力してきました。アーティストとして社会への関心を常にもち、自由と平和と社会的公正を求めるクーラにとって、当然のことなのだと思います。
そのことは、年末のメッセージにもよく表れています。激動の世界、困難な課題は山積し、紛争、難民問題、貧困、気候変動と環境破壊・・そのもとで多くの人々が苦しんでいます。クーラはそういう世界だからこそ、愛と連帯、互いの協力と尊敬を忘れず、世界を変えるチャンスを求め続けることを訴えているのだと思います。
今年は16年ぶりに、クーラの来日が実現するかもしれません。びわ湖ホールの公式発表によると、オテロでもサムソンでもなく、またオペラアリアコンサートやアルゼンチン歌曲のリサイタルでもなく、なんと初来日時の演目であるアイーダの青年将校ラダメスです。57歳のクーラが、円熟の解釈と表現力を久しぶりの日本で見せてくれるのを、そしてそれが本当に実現することを、楽しみに待ちたいと思います。
*画像はメディア、関係機関のFB、動画などからお借りしました。